肥満症治療薬 ゼップバウンドが発売決定

投与最大期間は72週間 3月19日発売予定

【新薬情報】肥満症治療薬「ゼップバウンド®皮下注」について

こんにちは。今回は新たに収載される肥満症治療薬「ゼップバウンド®皮下注」についてご紹介します。

■ ゼップバウンド®とは?

ゼップバウンド®(一般名:チルゼパチド)は、イーライリリー社が開発した肥満症治療薬です。既に糖尿病治療薬として使われている成分ですが、今回肥満症に対する効果と安全性が認められ、2024年4月19日より保険収載・使用が可能となる見込みです。

用法・用量としては10mgの5.5mLキットで、薬価は1キット8,999円に設定されています。ピーク時の市場規模は319億円と予測され、投与対象患者数は約13万人と見込まれています。最大72週間(約1年半)の投与が可能とされています。

■ ゼップバウンド®の特徴と適応

ゼップバウンド®は、週1回の皮下注射による治療薬で、肥満症のほか、2型糖尿病合併の方にも使われる予定です。すでに同様の薬剤である「マンジャロ®」(チルゼパチド)の糖尿病適応とは異なり、今回のゼップバウンド®は「肥満症」に特化した薬剤として保険適応が認められます。

薬剤費は「BMI≧35kg/㎡」の重度肥満症の方を中心に、「食事・運動療法を6ヶ月以上行っても効果不十分な方」に限り適用されます。また、BMI≧27kg/㎡以上で肥満に関連する疾患(高血圧・脂質異常症など)を合併する方も対象になる場合があります。

■ 期待される効果と注意点

ゼップバウンド®は「GIP/GLP-1受容体作動薬」として、食欲抑制やインスリン分泌促進、体重減少効果をもたらすことが示されています。臨床試験でも大きな体重減少効果が確認されており、従来の肥満治療薬では得られなかった高い効果が期待されています。

ただし、効果を得るためには継続的な食事・運動療法との併用が不可欠です。また、胃腸障害(吐き気、下痢など)の副作用も一定割合で報告されており、投与開始後の注意深い観察が必要となります。

■ 当院での取り扱いについて

当院でもゼップバウンド®による肥満治療をご希望の方には、今後の情報収集と準備が整い次第、順次対応を予定しております。詳しい適応や費用、治療内容についてご相談を希望される場合は、お気軽にご予約ください。

肥満は「病気」としての側面もあり、適切な治療により生活の質(QOL)向上や合併症予防が期待できます。これまでなかなか体重管理がうまくいかなかった方も、新しい選択肢としてゼップバウンド®による治療を検討してみてはいかがでしょうか?

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