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  • ウゴービvsゼップバウンドvsレタトルチド 肥満症治療薬、減量効果が特に高いのは?

肥満症治療薬、最も効果的なのは?最新研究から解説

近年、肥満症の治療に使われるGLP-1受容体作動薬が注目されています。では、どの薬が最も減量効果が高いのでしょうか?最新の研究結果をもとに、一般の方にも分かりやすく解説します。

※この記事は、肥満症治療薬の「減量効果」を比較した内容です(2025年1月時点の研究にもとづいて公開し、2026年8月に最新情報を追記して更新しました)。なお、レタトルチドを2型糖尿病の方に使った最新の試験(Lancet・TRANSCEND-T2D-1)については、三重作動薬レタトルチドとは(糖尿病の最新データ)でくわしく解説しています。

そもそもGLP-1受容体作動薬とは?

デュアルG、トリプルGが開発中

GLP-1受容体作動薬は、もともと糖尿病治療のために開発された薬です。この薬は、食後の血糖値の急上昇を抑え、さらに脳に作用して満腹感を持続させることで食事の摂取量を減らします。その結果、体重の減少が期待できます。

現在、GLP-1受容体作動薬に加え、GIP受容体やグルカゴン受容体にも作用するデュアルG(GIP/GLP-1)やトリプルG(GLP-1/GIP/グルカゴン)受容体作動薬も開発されています。デュアルG受容体作動薬はGLP-1とGIPの両方の作用を活かし、インスリン分泌を促進しながら満腹感を高めることで減量効果を強化します。一方、トリプルG受容体作動薬はこれにグルカゴン受容体の活性化を加え、エネルギー消費を増やすことで、さらなる体重減少が期待されています。

最新研究の結果:どの薬が最も効果的?

カナダ・マギル大学の研究チームが行った研究(2025年1月発表)によると、以下の3つの薬剤が特に高い減量効果を示しました。

  1. レタトルチド(Retatrutide):トリプルG受容体作動薬。試験では48週間で体重が最大22.1%減少。
  2. チルゼパチド(Tirzepatide、商品名ゼップバウンド):デュアルG受容体作動薬。72週間で最大17.8%の体重減少。
  3. セマグルチド(Semaglutide、商品名ウゴービ):GLP-1受容体作動薬。68週間で最大13.9%の体重減少。

これに対し、従来のGLP-1受容体作動薬であるリラグルチド(Liraglutide、商品名サクセンダ)は、26週間で最大5.8%の体重減少と、やや控えめな結果でした。

表にまとめると、次のようになります。

薬剤(商品名) 分類 試験期間 最大の体重減少
レタトルチド トリプルG
(GLP-1/GIP/グルカゴン)
48週間 約22.1%
チルゼパチド(ゼップバウンド) デュアルG
(GIP/GLP-1)
72週間 約17.8%
セマグルチド(ウゴービ) GLP-1 68週間 約13.9%
リラグルチド(サクセンダ) GLP-1 26週間 約5.8%

※上記は、カナダ・マギル大学のチームが2025年1月に発表した解析にもとづくものです。4剤を同じ条件で直接比較した試験ではなく、それぞれ別の「肥満症を対象とした試験」の結果を並べたものです。試験の期間・対象・条件が異なるため、数値の単純な大小だけで「どれが一番」と言い切れるものではありません。

※レタトルチドは、2026年時点でも日本では未承認(開発段階)です。また、上の数値は肥満症を対象とした試験のものです。同じレタトルチドでも、2型糖尿病の方に単剤で使った最新の試験(2026年6月・Lancet、TRANSCEND-T2D-1)では、40週間で体重が約15%減少という結果でした。対象や条件が変わると結果も変わります。くわしくは三重作動薬レタトルチドとは(糖尿病の最新データ)をご覧ください。

【追記】レタトルチドの第3相2試験について

2026年7月に、レタトルチドの第3相試験TRIUMPH-2・TRIUMPH-3の速報が発表されました。ただし対象となる患者さんが試験ごとに異なるため、他の薬の試験成績と同じ表で単純に比べることはできません。この点を含めて別記事で整理しています。
レタトルチド第3相TRIUMPH-2・3——糖尿病・重度肥満で何が分かった?

【2026年8月・追記】セマグルチド(ウゴービ)の新しい用量・剤形について

2026年7月、EUでセマグルチドについて2つの動きがありました。ひとつは注射Wegovyの週1回7.2mg用量の承認、もうひとつは経口Wegovy25mg(飲み薬)の承認です。これらは上の表とは別の試験の結果ですので、上の表を書き換えず、行を分けて整理します。

数字を並べて「最も優れた薬」とは言えません

この記事の表は、同じ条件で薬剤を直接比較した試験ではありません。試験の対象者、糖尿病の有無、期間、用量、生活指導、解析方法が異なります。減量率の数字だけを並べて「最も優れた薬」と決めることはできません。

薬剤・剤形/用量 成分 投与 試験・期間 平均体重減少
(解析方法)
EUでの状況 日本での状況
注射Wegovy
2.4mg
セマグルチド 週1回 注射 STEP UP
72週
約17.5%
(trial product estimand)
承認済み 肥満症で使用可
注射Wegovy
週1回7.2mg用量
セマグルチド 週1回 注射 STEP UP
72週
約20.7%
(trial product estimand)
週1回7.2mg用量が承認 7.2mg用量は未承認
経口Wegovy
25mg
セマグルチド 1日1回 内服 OASIS 4 約16.6%
(trial product estimand)
肥満・過体重の体重管理適応で承認 肥満症用の経口25mg製剤は未承認

※7.2mg用量の20.7%は、糖尿病のない肥満症成人を対象としたSTEP UP試験のtrial product estimandによる、72週時点の平均体重減少率です。同じ試験でセマグルチド2.4mgは17.5%、プラセボは2.4%と報告されています。

※経口Wegovyの16.6%は、OASIS 4試験のtrial product estimandによる平均体重減少率です。上の表(マギル大学の解析)とは対象・期間・解析方法が異なるため、そのまま並べて比べることはできません。

※EUの製品情報では、7.2mgは週1回の高用量として扱われており、患者向け文書には2.4mgを3回注射して7.2mgとする記載があります。単独の「7.2mg製剤」「7.2mgペン」という製品があるわけではありません。

※経口Wegovyには、空腹時の服用など、食事・飲水に関する決まりがあります。また、いずれも吐き気・下痢などの消化器症状が報告されており、用量が増えるほど注意が必要です。効果・副作用の出方には個人差があります。

副作用や注意点は?

研究によると、これらの薬剤は一般的に安全性が高いとされています。ただし、以下のような副作用が報告されています。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 便秘

これらの副作用は軽度のことが多いですが、場合によっては薬の使用を中止する必要があることもあります。なお、これらは主に海外の試験で報告されたもので、効果や副作用の出方には個人差があります。

肥満治療薬の課題

今回の研究では、減量効果の高さが確認されましたが、問題点も指摘されています。

  1. 継続的な服用が必要
    減量効果を維持するためには、長期間薬を使い続ける必要があります。
  2. コストの問題
    これらの薬剤は高価であり、継続的な使用には経済的負担が伴います。当院は続けやすいように、お財布にやさしい価格にしています(ウゴービ0.25mg:2100円/本)。

まとめ

最新の研究によると、レタトルチド、チルゼパチド、セマグルチドが特に高い減量効果を示していることが分かりました。現在、レタトルチドは開発段階ですが、近い将来、より強力な肥満症治療薬として登場する可能性があります。

肥満症治療は、薬だけでなく、食事や運動の習慣も重要です。自分に合った治療法を見つけるためにも、医師と相談しながら進めていくことをおすすめします。

【2026年8月・追記】その後の動き

この記事の公開後も、肥満症・糖尿病の治療薬は大きく動いています。2026年6月、2型糖尿病を対象とした第III相試験(TRANSCEND-T2D-1)がLancetに掲載されましたが、レタトルチドは2026年時点でも日本では未承認です。チルゼパチド(ゼップバウンド)は2026年5月、日本で中等症以上の睡眠時無呼吸症候群にも使えるようになりました。

また2026年7月には、EUでセマグルチドについて、注射Wegovyの週1回7.2mg用量と、経口Wegovy25mg(飲み薬)が承認されています。いずれもEUでの承認であり、日本ではその用量・剤形として未承認です。飲むタイプのGLP-1については、非ペプチド型のオルフォルグリプロンも海外で登場しており、経口Wegovyとは別の薬です。分子の成り立ちや服用条件が異なるため、記事内で分けて整理しています。

なお、この記事は「肥満症治療薬の減量効果の比較」をテーマにした記事です。レタトルチドの糖尿病に関する最新データや三重作動薬のしくみは三重作動薬レタトルチドとは、糖尿病そのものの考え方は糖尿病を学ぶ(総合ガイド)でまとめています。

あわせて読みたい

参考資料:Novo Nordisk. Q2 2026 Investor Presentation./Novo Nordisk. 2026年第2四半期決算発表./European Medicines Agency. Wegovyの経口剤形に関する承認情報./European Medicines Agency. Wegovy製品情報(注射7.2mg用量)./Amgen. Second Quarter 2026 Financial Results./McGill大学チームによる解析(2025年1月)/TRANSCEND-T2D-1(Lancet、2026年6月)

2026.08.06 更新
※この記事は、新しい医学的知見や承認状況に応じて適宜内容を見直しています。

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