かとう内科は脳神経内科(パーキンソン病)、いびき外来、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、痛風、肥満、風邪の診療を行っている今治でおすすめの内科です。土曜日診察あり。
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睡眠ポリグラフ検査(PSG)と光電式容積脈波法(PPG)
近年、光電式容積脈波法(PPG)を用いたウェアラブルデバイスが広く普及し、脈拍を計測することで、自律神経活動の評価を通じて睡眠・覚醒の判定精度が向上しています。PPGは反射や透過する光の量を計測する手法であり、これを用いた脈拍変動の周波数解析によって、より正確な睡眠状態の把握が可能となっています。
従来、睡眠計測のゴールドスタンダードは睡眠ポリグラフ検査(PSG)でした。PSGは、脳波や心電図、筋電図、呼吸などを同時に測定できるものの、入院を伴い多数の電極を装着する必要があり、患者にとって大きな負担がかかるため、日常的な記録には不向きです。そこで、睡眠医療の現場では、患者自身が記録した睡眠や生活リズムの情報を基に指導が行われてきました。
しかし、近年の技術進展により、センサやバッテリーの小型軽量化、データ保存や送信技術の向上が実現し、患者に負担をかけずにさまざまな生体情報を簡便に計測・収集できるようになりました。PSGと類似の機能を持ちながらも、脳波チャネル数を抑えたデバイスや、自宅で筋電図や眼球運動を計測できるデバイス、睡眠時無呼吸症候群を検出するPATプローブやオキシメータセンサを内蔵した機器が市販されており、一部は医療機器として利用可能です。また、三軸加速度、心拍、皮膚温などを計測する腕時計型や指輪型のウェアラブルデバイス、振動センサで体動や心拍、呼吸を取得するマットレス型デバイス、ベッド足下に設置するタイプのデバイスも開発されています。
腕時計型ウェアラブルデバイスによる睡眠計測の現状
課題と展望
PSGは精密な計測が可能である反面、患者に負担が大きく、実生活での睡眠を反映させることが難しいです。一方、腕時計型ウェアラブルデバイスは簡便に着用でき、日常生活における睡眠の長期的な記録が可能です。しかし、脳波や眼球運動、筋電図は計測できないため、得られるデータからの推定に頼る必要があり、その信頼性には注意が必要です。また、センサ部が皮膚に正しく接触しない場合の計測不良や、デバイスの着用忘れ、使用継続率の低下も課題として挙げられます。
しかし、ウェアラブルデバイスのデータと簡易脳波計のデータを同時に取得することで、テーラーメイド型の判定アルゴリズムを構築し、限られたデータからでも睡眠段階の推定精度を高める試みも報告されています。
近年、多種多様な睡眠分析・改善のための製品やサービスが登場しており、企業が健康経営の一環として導入するケースも増えています。これらの「スリープテック」と呼ばれるサービスは、その精度や改善効果のエビデンスが公表されていないことも多く、注意が必要です。ただし、睡眠時間の把握や生活リズムの確認には非常に有効であり、簡便さと導入の容易さから、今後も現代人の生活改善に大きく貢献することが期待されています。