睡眠時無呼吸症候群の検査と治療

  1. 簡易睡眠検査 簡易睡眠検査は、被験者が自宅で自己装着して測定することが可能な検査です。SpO2(経皮的酸素飽和度)を測定し、3%の酸素飽和度低下指数(ODI)や無呼吸低呼吸指数(AHI)を算出します。ただし、脳波検査が含まれないため、睡眠段階を判定できず、睡眠時間は自己申告となるため、実際よりも長く評価されることが多い点に注意が必要です。そのため、3%ODIやAHIは過小評価される可能性があります。また、SpO2の変化は年齢や体重により異なる場合があり、高齢者や肥満患者はSpO2低下を引き起こしやすいことがあります。

  2. 睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography: PSG) PSGは、睡眠段階、呼吸状態、いびき、心電図や体位など、多種類のパラメータを統合的に測定する検査で、睡眠呼吸障害の診断や病態把握に不可欠です。睡眠の判定は脳波・眼電図・オトガイ筋筋電図により行われ、呼吸は鼻と口の気流や換気量を測定することで判定されます。無呼吸・低呼吸の重症度は、SpO2の測定により評価されます。

治療

現在、日本では簡易検査でもAHIが40回/時以上の重症OSA患者には、鼻腔持続気道陽圧療法(nasal CPAP:nCPAP、通称CPAP)を導入することが可能です。AHIが40回/時に満たない場合や、自覚症状が強い場合、あるいはさらに詳細な評価が必要とされる場合には、PSGを行い、AHIが20回/時以上の場合は健康保険でCPAP療法の適応となります。

  1. CPAP療法 CPAP療法は、睡眠時に鼻マスクを使用し、気道に適切な圧力を加えた空気を送り込むことで、気道の閉塞を防ぎ、無呼吸・低呼吸を改善する治療法です。OSAに対する標準的な治療法であり、AHIの有意な低下、日中の眠気の改善、血圧の低下などの効果が報告されています。

  2. 口腔内装置(Oral Appliance: OA) CPAP療法が困難な患者やアドヒアランスが悪い患者、軽・中等症でCPAPの適応を満たさないが症状が強い患者には、歯科において口腔内装置(OA)を健康保険で依頼することが可能です。

  3. 舌下神経電気刺激療法 舌下神経電気刺激療法は、2021年に日本で保険収載された新しいOSA治療法です。適応患者は、CPAP療法が不適応または不忍容のOSA患者であり、BMI30未満、AHI20以上、中枢性呼吸障害が25%以下などの基準を満たす必要があります。治療は、特定の施設で、研修を受けた医師のみが行います。試験では、AHIの改善や眠気、睡眠の質の向上が報告されています。

おわりに

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、潜在的患者が多い疾患であり、さまざまな症状や合併症を引き起こし、予後にも影響を与えることがあります。典型的な症状以外にも、コントロール不良の高血圧や夜間頻尿など、多岐にわたる症状からもSASを疑い、適切な検査や治療を行うことが重要です。これにより、合併症のリスクを軽減し、患者の健康維持に寄与することができます。予防医学的にも、SASの早期発見と治療は重要な意義を持っています。


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