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睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の症状、定義
はじめに
日本では、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)の有病者数は、軽症を含めると約2,200万人(33%)、中等症以上で約940万人(14%)と推定されています。しかし、SASに対する持続気道陽圧(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)療法を在宅で使用している患者数は約50万人にとどまり、大きなギャップがあります。これは、自分の病状に気付かない、あるいは放置している「潜在的SAS患者」が多数存在することを示しています。
SASは、日中の慢性的な眠気、仕事効率の低下、抑うつ状態などを引き起こすだけでなく、高血圧、冠動脈疾患、心不全などの循環器疾患や脳卒中、さらには突然死のリスクを高めることが報告されています。SASのスクリーニングと適切な管理を行うことは重要な課題です。
睡眠時無呼吸の定義
睡眠時無呼吸は、自覚症状の有無にかかわらず、1時間あたりの無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)が5以上と定義されます。AHIは、睡眠1時間あたりの無呼吸および低呼吸の合計回数を指します。無呼吸は10秒以上の気流停止、低呼吸は10秒以上の気流低下(50%以下)と3%以上の酸素飽和度(SpO2)低下を認める場合を指します。AHIが5~15回/時を軽症、15~30回/時を中等症、30回/時以上を重症と分類します。
無呼吸は、中枢性無呼吸(Central Apnea)、閉塞性無呼吸(Obstructive Apnea)、混合性無呼吸(Mixed Apnea)に大別されます。中枢性睡眠時無呼吸(Central Sleep Apnea:CSA)は、心不全や脳血管障害を有する患者で高頻度に見られますが、SAS全体の数%にすぎないため、ここでは閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSA)について説明します。
自覚症状と問診
OSAはさまざまな症状を呈し、診断には問診が重要です。典型的な症状は、睡眠中の大きないびきや呼吸停止であり、ベッドパートナーからの情報も重要です。自覚症状としては、日中の過剰な眠気が典型的ですが、その頻度は20%程度とされています。
- 睡眠中の症状:いびき、喘ぎ声、激しい体動、呼吸困難、胸部圧迫感、中途覚醒、頻尿など。
- 日中の症状:起床時の頭痛、口渇、倦怠感、日中の眠気、集中力低下、抑うつ・不安などの精神症状。
病的な眠気を評価するための代表的な質問票として、エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale:ESS)があり、11点以上の場合は病的な眠気ありと判断されます。睡眠の質を評価する指標としては、ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index:PSQI)がありますが、これらは自己評価であり過小評価される可能性があることを考慮すべきです。
合併症
中等症・重症以上のOSAは、放置すると脳・心血管障害により予後が悪化することが報告されています。高血圧は特にOSAと高い合併率があり、OSA患者の約50%に高血圧が見られます。OSAは二次性高血圧の原因の一つともされ、また、冠動脈疾患、心房細動、不整脈、心不全などの循環器疾患との関連も報告されています。
OSAを治療しないと、原疾患のコントロールが難しい場合があります。OSAはインスリン抵抗性とも関連しており、これがアテローム血栓性脳梗塞や脳出血を誘発することもあります。OSAに合併する心房細動が心原性脳梗塞を引き起こすこともあります。