中枢性睡眠時無呼吸症候群のと閉塞性無呼吸症候群の違い

中枢性と閉塞性は明確には分けられない

睡眠時無呼吸という病状は、一般的には「閉塞性」(呼吸道が物理的にふさがる)と「中枢性」(脳の指令が欠ける)の二つに分けられます。しかし、心臓が不調の人々の中には、一晩で主な症状が閉塞性から中枢性に切り替わる、またはその逆のことが起こる人もいます。

また、特殊な状況として、閉塞性睡眠時無呼吸の治療として使用されるCPAP(持続陽圧呼吸療法)を使い始めると、新たに中枢性睡眠時無呼吸が現れることがあります。これは、かつては「コンプレックス睡眠時無呼吸」と呼ばれていました。これらの事例は、閉塞性と中枢性の睡眠時無呼吸は完全には分けられないことを示しています。

中枢性睡眠時無呼吸症候群は非解剖学的特性が強い

閉塞性睡眠時無呼吸について述べましたが、これらの原理を応用して中枢性睡眠時無呼吸の病状も説明することができます。例えば、呼吸が不安定だったり、人が簡単に覚醒する特性がある場合、中枢性睡眠時無呼吸が起こります。

具体的には、呼吸が不安定であると、呼吸の量が上下しやすく、それに伴って二酸化炭素(CO2)の量も変動します。CO2の量があるレベルまで下がると、呼吸が停止し(中枢性無呼吸)、そのレベルを「無呼吸閾値」と呼びます。呼吸が不安定であると、この無呼吸閾値を下回りやすく、無呼吸を起こします。

また、人が容易に覚醒する特性があると、短時間の覚醒が起こり、それに伴って呼吸量が一時的に増大します。これにより、CO2の量が急速に下がり、それが無呼吸閾値を下回るため、中枢性無呼吸が起こります。

中枢性無呼吸症候群は心不全がベースにあることが多い

CPAP治療を始めた患者の約2-20%に治療をしていても睡眠時無呼吸が出現します。その原因としては、CPAPに慣れずに覚醒しやすくなるため、または呼吸の不安定性が顕著になるためと考えられています。特に心臓が不調であると、中枢性無呼吸が出現しやすくなり中には、Cheyne-Stokes呼吸という特殊な呼吸パターンが見られることがあります。これは肺でのガス交換とその結果のCO2変化を感知するまでに時間がかかるため、呼吸が一定のリズムで増減する現象です。そのような状況に対処するためには、必要に応じてASV(二相式気道陽圧呼吸療法)や酸素の併用など、他の治療への切り替えが推奨されています。

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