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子供・小児のLDLコレステロール高値は「体質」ではないことがあります
15歳未満の家族性高コレステロール血症(FH)── 診断の目安、薬を考えるタイミング、ご家族の検査まで
2026.07.12 更新
「子供のコレステロールが高い」と言われたら
── 小児の家族性高コレステロール血症(FH)
学校の健診や、ほかの病気の血液検査で「お子さんのコレステロールが高い」と言われて、驚かれたのではないでしょうか。太っているわけでもないのに、なぜ──。実は、生まれつきの体質のことがあります。そして、その体質は早く見つけるほど、将来の心臓の病気を防げます。
この記事で答えること
子供のコレステロールが高いのはなぜ? いくつからが「高い」? 薬はいつから? 家族はどうすればいい?
🔑 まずここだけ押さえる
- 子供のコレステロール高値には、家族性高コレステロール血症(FH)という生まれつきの体質が隠れていることがあります。約300人に1人と、めずらしくありません。
- 15歳未満では、未治療のLDLコレステロールが140 mg/dL以上が「高い」の目安。家族歴とあわせて診断します。
- 診断がついたら、まず食事・運動などの生活習慣から。それでも下がらないときに薬を考えます。
- 薬(スタチン)を考えるのは、10歳ごろが目安。生活習慣を整えてもLDLが180 mg/dL以上続く場合です。
- お子さんが見つかったら、ご両親・ごきょうだいも必ず調べます。親御さんの心筋梗塞を未然に防げることがあります。
1子供のコレステロールが高いのは、「体質」のことがある
子供のコレステロールが高いと聞くと、「食べすぎ?」「太っているから?」と考えがちです。もちろん肥満や食生活の影響もありますが、太っていなくてもコレステロールが高い子供はいます。そして、そこには生まれつきの体質が隠れていることがあります。
それが家族性高コレステロール血症(FH)です。肝臓がコレステロールを回収する仕組みに、生まれつき不具合がある体質で、赤ちゃんのときからずっとLDL(悪玉)コレステロールが高い状態が続きます。頻度はおよそ300人に1人。学校の1学年に1人はいる計算で、けっしてめずらしい病気ではありません。
大切なのは、血管の老化(動脈硬化)は、高いコレステロールにさらされた「年数 × 濃度」で進むということ。FHのお子さんは生まれたときからスタートしているので、そのぶん早く進みます。だからこそ、早く見つけて早く手を打つ意味があるのです。逆に言えば、子供のうちに見つかったのは、とても幸運なことです。
2いくつからが「高い」? 診断の目安
15歳未満では、次の3つを組み合わせて判断します。
| ① お子さんのLDL | 未治療で 140 mg/dL以上(何度か測って確認します) |
|---|---|
| ② 家族歴 | 親・ごきょうだいに FHと診断された方がいる |
| ③ そのほかの家族歴 | 親のLDLが 180 mg/dL以上、または祖父母・親に若くしての心筋梗塞・狭心症(男性55歳未満・女性65歳未満) |
①と②がそろえば「FH」と診断します。①と③なら「FHの疑い」として、しっかり経過をみます。また、家族歴がはっきりしなくても、LDLが250 mg/dL以上あればそれだけでFH、180 mg/dL以上なら「FHの疑い」として扱います。
「疑い」でも、やることは変わりません。生活習慣の指導をしっかり行い、ご家族の検査を進めます。数値が高い状態が続けば、お薬も検討します。「疑い」は「まだ様子見でいい」という意味ではないとお考えください。
🔖 思春期は数値が下がることがあります
思春期に入ると、生理的にLDLが10 mg/dLほど下がることが知られています。そのため一度の採血だけで判断せず、何回か測って確かめます。「一度下がったからもう大丈夫」ではないので、続けて見ていくことが大切です。
3治療 ── まず生活習慣、薬は10歳が目安
診断がついたら、まずは食事と生活習慣からです。成長期ですから、極端な食事制限はしません。総エネルギーは年齢・身長に見合った量をきちんととったうえで、脂肪の質を整えます。動物性の脂を控えめにし、魚・野菜・大豆・きのこ・果物をバランスよく。伝統的な和食のかたちが、そのままよいお手本になります。運動の習慣をつけること、そして生涯たばこを吸わないことも、この時期からの大切な指導です。
それでも生活習慣だけでLDLが十分に下がらないことは、めずらしくありません。LDLが180 mg/dL以上の状態が続く場合、10歳ごろを目安にお薬(スタチン)を考えます。男女は問いません。目標はLDL 140 mg/dL未満です。
「子供に薬なんて」と不安に思われるのは当然です。ただ、小児へのスタチンは、肝臓や筋肉、そして成長や思春期の進み方に影響しないことが確認されています。最小量から始め、飲みはじめの1か月後に血液検査を行い、その後も定期的に確認しながら進めます。長く続くお薬になりますから、保護者の方にも、そしてお子さん本人にも、納得いただいたうえで始めます。
🔖 女の子の場合
スタチンは妊娠中には使えないお薬です。そのため女の子に始めるときは、あらかじめご本人と保護者の方に、将来の妊娠を計画する際にはお薬をいったん止める必要があることをお伝えしています。今すぐ心配することではありませんが、大切な約束事です。
4お子さんが見つかったら、ご家族も調べます
FHは親から子へ2分の1の確率で受け継がれる体質です。ですから、お子さんがFHと分かったということは、ご両親のどちらかもFHであるということになります。ごきょうだいにも、2分の1の確率でいらっしゃいます。
これは、とても大事な意味を持っています。ご両親の世代は、ちょうど心筋梗塞や狭心症が起こりはじめる年代です。お子さんをきっかけに親御さんのFHが見つかり、心筋梗塞を未然に防げたという例が、実際にたくさんあります。お子さんが、ご家族の血管を救うことがあるのです。
そのため、お子さんがFH(またはその疑い)と分かったら、ご両親・ごきょうだいにも一度コレステロールを測っていただくようお願いしています。採血1回で分かります。
5医療費の助成があります
小児のFH(ヘテロ接合体)は小児慢性特定疾病の対象です。より重い型(ホモ接合体)は、これに加えて指定難病にも該当します。いずれも医療費の公的な助成を受けられます。長く付き合う体質ですから、こうした制度はぜひ活用してください。手続きについては、診察の際にご案内します。
🔖 当院の役割
当院では、お子さんのコレステロール高値について、ほかの原因(甲状腺の病気、腎臓の病気など)がないかを確かめたうえで、FHかどうかを判断し、生活習慣の指導と経過観察を行います。ご家族の検査もあわせてお引き受けします。
お薬による治療が必要と判断される場合や、より重い型(ホモ接合体)が疑われる場合は、専門的な治療ができる施設へおつなぎします。まずは「相談する窓口」として、遠慮なくお声がけください。
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監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献
- 日本小児科学会・日本動脈硬化学会 合同:小児家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022.
- 日本小児科学会・日本動脈硬化学会 合同:小児家族性高コレステロール血症診療ガイドライン フォーカスアップデート2025.
- 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
📚 脂質異常症シリーズ
- 第33回:コレステロールの病気で医療費助成は受けられる? → 前の記事へ
- 第34回:「子供のコレステロールが高い」と言われたら(この記事)
- シリーズ全34回の一覧を見る →
この記事を最後に更新した日:2026年7月12日
