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「肥満症」は全身の病気です ― 生活習慣病の“源流”という考え方

肥満との違い・11の健康障害・今治市のかとう内科でできる評価

肥満症 全身疾患 生活習慣病予防 今治市・かとう内科|2026.10.09 更新
🩺 肥満症を知る

「肥満症」は全身の病気です
― 生活習慣病の“源流”という考え方

「太っていること(肥満)」と「治療が必要な状態(肥満症)」は、医学では分けて考えます。肥満症は見た目の問題ではなく、血糖・血圧・脂質・肝臓・腎臓・血管・睡眠など、全身に影響が及ぶ病気です。だからこそ、早く見つけて手を打つほど、いくつもの病気をまとめて予防できる可能性があります。

この記事でわかること

  • 「肥満」と「肥満症」はどう違うのか
  • 肥満症が“全身疾患”といわれる理由
  • 診断の考え方(BMI・内臓脂肪・11の健康障害)
  • 治療の土台と、今治市のかとう内科でできること

🔑 まずここだけ

分かれ目は体重の多さそのものではなく、肥満に「健康障害」が伴っているかどうかです。肥満症は糖尿病・高血圧・脂質異常症・脂肪肝・睡眠時無呼吸などの“源流”に位置します。上流で手を打てれば、下流の病気をまとめて防ぎやすくなります。

1. 「肥満」と「肥満症」は違います

結論からお伝えすると、肥満(BMI 25以上)そのものは病名ではなく、そこに健康障害が加わって初めて「肥満症」という治療の対象になります。体重が多いこと=病気、ではありません。

日本肥満学会の基準では、BMI 25以上を「肥満」と定義します。そのうえで、次のいずれかを満たすと「肥満症」と診断されます。

肥満症と診断される条件(いずれか)

① 肥満に起因または関連する11の健康障害のいずれかがある
② 腹部CTなどで内臓脂肪面積100cm²以上が確認される(内臓脂肪型肥満)

さらにBMI 35以上を「高度肥満」と呼び、これに11の健康障害または内臓脂肪型肥満が伴う場合を「高度肥満症」と区別します。

区分 目安・条件
肥満 BMI 25以上(それだけでは病名ではありません)
肥満症 肥満+(11の健康障害のいずれか/内臓脂肪型肥満)
高度肥満 BMI 35以上
高度肥満症 高度肥満+(健康障害/内臓脂肪型肥満)
「見た目は標準的でも、内臓脂肪が多い」というタイプ(内臓脂肪型肥満)は、検査をして初めて分かることがあります。体型だけでは判断できない点が、この病気の難しいところです。

2. なぜ“全身疾患”なのか ― 源流に位置する肥満症

肥満症が重要なのは、それ自体よりも、糖尿病・高血圧・脂質異常症・脂肪肝・睡眠時無呼吸といった生活習慣病の“上流(源流)”にあるからです。内臓脂肪が増えると、血糖・血圧・脂質の異常や脂肪肝、いびき・無呼吸などが、つながって起こりやすくなります。

近年は、心臓・腎臓・代謝(血糖や脂質)が互いに影響し合う一続きの問題として捉える見方(心・腎・代謝=CKMという考え方)も広がっています。肥満症は、その流れのいちばん上流に位置づけられます。

肥満に関連する「11の健康障害」

肥満症診療ガイドライン2022では、減量によって改善が期待できる健康障害として、次の11が挙げられています。複数の診療科にまたがるのが特徴です。

分野 主な健康障害
代謝 耐糖能障害(2型糖尿病・前段階)、脂質異常症、高尿酸血症・痛風
循環器 高血圧、冠動脈疾患、脳梗塞・一過性脳虚血発作
消化器 非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝)
呼吸・睡眠 閉塞性睡眠時無呼吸・肥満低換気症候群
腎臓 肥満関連腎臓病
その他 月経異常・女性不妊、運動器疾患(変形性関節症・腰痛など)

これだけ幅広い臓器に関わるため、ひとつの診療科だけで完結しにくいのが肥満症です。全身を見渡せる内科の視点が、最初の入口で生きてきます。

3. 多くの人が「気づかれていない」のが現状です

結論として、肥満症は患者数の多さに比べて、診断・治療にまだつながっていない方が多いことが指摘されています。ある国際的な調査では、日本での肥満症の診断率や、診断後に再受診へ進む割合は、いずれも高くないと報告されています。

背景には、肥満が長い時間をかけて増えてきた事情もあります。国の調査では、日本人男性の肥満の割合は1970年代から現在までに、おおむねどの年代でも大きく増えてきました。「よくあること」だからこそ、病気として見つけにくいのです。

📑 根拠

肥満症の診断・診療の実態に関する報告、および肥満者割合の長期推移(国民健康・栄養調査)から、肥満症は「数は多いが、診断・継続治療に至りにくい」状況が示されています。だからこそ「見つけて、続ける」こと自体に意味があります。

4. 治療の土台は生活習慣 ― 薬は“補助”です

大切な原則として、肥満症治療の土台はあくまで食事・運動・行動の見直しであり、薬物療法はそれを支える補助的な位置づけです。薬だけで完結する治療ではありません。

近年は、肥満症に対して国内で承認されたGLP-1受容体作動薬などの薬物療法も選択肢のひとつになりました。ただし効果には個人差があり、食事・運動との併用が前提です。また肥満症は減った体重を「維持」することが難しい慢性の病気であり、続けて関わっていくことが何より大切になります。

減量中の骨や筋肉の変化については、GLP-1治療中の骨と筋肉を守るには?で詳しくまとめています。

薬の種類・費用・注意点(自由診療となる場合の説明を含む)については、当院の「肥満外来」のご案内ページで詳しくお伝えしています。本ページは病気そのものの一般的な情報提供を目的としています。

【追記】開発中の薬に関する最新の試験結果

2026年7月、開発中の「レタトルチド」について、重度肥満に心血管疾患を合併した方を対象とした第3相試験の速報が発表されました。数字の大きさだけでなく、副作用や中止率、まだ分かっていないことも含めて整理しています。
→ レタトルチド第3相TRIUMPH-2・3——糖尿病・重度肥満で何が分かった?

WHOが子ども・思春期の肥満ガイドラインを公表(2026年10月)― 治療の土台は生活習慣

2026年10月7日、世界保健機関(WHO)は、子どもと思春期の肥満の管理について、初めての世界的なガイドラインを公表しました。子ども(0~9歳)向けと思春期(10~19歳)向けの2つに分かれています。WHOによると、2024年に肥満のある5~19歳は世界で約1億7,000万人にのぼり、この年代の肥満の割合は、1990年の2%から8%へと約4倍に増えています。

どちらのガイドラインでも、治療の中心は食事・身体活動・行動の見直しを計画的に組み合わせた取り組みで、強く推奨されています。保護者などの見守りのもとで行う、デジタル技術を使った支援(デジタルヘルス)は、条件付きで推奨されています。WHOは、子どもと思春期の肥満のケアの土台は薬や手術ではない、と強調しています。

薬・手術についてのWHOの考え方

① 0~9歳:薬による治療、減量・代謝改善手術、減量を目的とした医療機器は推奨されていません。
② 10~19歳:承認された薬は、指導のもとで行う複合的な生活習慣プログラムで期待した効果が得られなかった場合に限って、検討してよいとされています。手術は、重度の肥満がある場合に、厳しい条件のもとで検討してよいとされています。

治療の目標は、体重を減らすことだけではなく、健康状態や日常生活の機能、心身の健やかさを良くすることに置かれています。不安や落ち込みが肥満につながる行動に影響することがあり、体型への偏見やいじめは心の健康を損ないます。そのため、心のケアも早い段階から一緒に行い、家族と協力しながら、成長段階に合った方法で長く支えることが大切とされています。また、治療だけでは子どもの肥満の増加を止められないとして、健康的な食事や体を動かす機会を選びやすい環境づくりも求めています。

子どもの肥満は成長の途中にあるため、この記事で紹介した大人の基準(BMI 25以上)ではなく、性別や年齢に応じた基準で判断します。また、WHOの推奨は、日本で子どもへの肥満症治療薬の使用が認められたという意味ではありません。お子さんの体重が気になるときは、大人向けの食事制限や薬の情報をそのまま当てはめず、かかりつけの医師にご相談ください。

参考:WHO:子どもと思春期の肥満に関する世界的なガイドラインの公表(2026年10月7日)/WHO guidelines on the integrated management of obesity in children(0~9歳)/WHO guidelines on the integrated management of obesity in adolescents(10~19歳)

5. 今治市・かとう内科でできること(入口+紹介)

当院の役割は、まず「これは治療が必要な肥満症かどうか」を診察と検査で見極める“入口”になることです。そのうえで、必要に応じて適切な専門施設へおつなぎします。

具体的には、診察に加えて、採血・腹部CT(内臓脂肪の評価)・腹部エコー・体組成測定(InBody)などを用いて、全身の状態を一度に見渡します。糖尿病・高血圧・脂質異常症・脂肪肝・睡眠時無呼吸といった関連する健康障害を、内科としてまとめて確認できる点が、最初の一歩としての強みです。

一方で、減量・代謝改善のための手術など、より高度な治療が必要な場合は、当院では行わず、適切な専門施設へご紹介します。「広い入口で受けとめ、専門が要るところは確実につなぐ」という考え方で診療しています。

Q. BMIが25を超えたら、必ず治療が必要ですか?

いいえ。肥満(BMI 25以上)そのものは病名ではありません。分かれ目は、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの健康障害が伴っているかどうかです。健康障害がなければ、生活習慣の見直しが中心になります。

Q. 見た目は普通でも、肥満症のことはありますか?

あります。内臓脂肪が多い「内臓脂肪型肥満」では、体型が標準的に見えても、検査で初めて分かることがあります。体型だけでは判断できないため、気になる方は一度評価をおすすめします。

Q. 肥満症は治りますか。薬をやめると戻りませんか?

肥満症は、減った体重が戻りやすい慢性の病気です。だからこそ、食事・運動を含めた「維持の方法」まで一緒に考え、続けて取り組むことが大切になります。

Q. 何科にかかればよいですか?

肥満症は全身に関わるため、まずは内科でご相談いただくのがよいと思います。当院で全身の状態を評価し、必要に応じて専門施設へご紹介します。

監修

医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号029447)/日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)/日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310

参考文献

日本肥満学会 編『肥満症診療ガイドライン2022』ライフサイエンス出版, 2022/Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384(11):989-1002.(STEP1試験)/Iwabu M, et al. J Diabetes Investig. 2021;12(5):845-858./厚生労働省 国民健康・栄養調査(肥満者割合の推移)/World Health Organization. WHO guidelines on the integrated management of obesity in children/WHO guidelines on the integrated management of obesity in adolescents. 2026.

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療の必要性や薬剤の適否は、必ず医師の診察のうえで個別に判断します。効果や安全性には個人差があり、効果を保証するものではありません。

この記事を最後に更新した日:2026年10月9日

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