• トップ
  • ブログ
  • 睡眠時無呼吸の治療で血糖は変わる?CPAP・減量・新薬|今治市・かとう内科

睡眠時無呼吸を治すと、血糖はどう変わるのか

CPAP・減量・新しい薬という3つの柱と、それぞれの注意点

糖尿病 睡眠時無呼吸(SAS) 交差・深掘り かとう内科ブログ

睡眠時無呼吸を治すと、血糖や日中の調子はどう変わるのでしょうか。じつは、睡眠を整えることが血糖管理の追い風になることがあります。さらに、2026年には肥満をともなう睡眠時無呼吸に対する新しい薬も登場し、選択肢が広がりました。この記事では、CPAP・減量・新しい薬という3つの柱と、それぞれの注意点を、わかりやすくお話しします。(睡眠時無呼吸と糖尿病が「なぜつながるのか」は、関係・気づき編をご覧ください。)

CPAP(シーパップ)― まず整えるべき土台

睡眠時無呼吸のもっとも標準的な治療がCPAP(持続陽圧呼吸療法)です。鼻に当てたマスクから一定の空気を送り、寝ている間にのど(気道)が塞がるのを防ぎます。これにより、いびきや日中の眠気が和らぎ、夜の眠りが安定します。

うれしいことに、CPAPをしっかり続けると血糖(HbA1c)やインスリンの効きが改善したという報告もあります。睡眠時無呼吸による「夜の体の緊張」がほどけ、インスリンが働きやすくなるためと考えられています。ただし効果には個人差があり、機序も完全に解明されたわけではありません。毎晩しっかり使うことが、効果を得るうえで大切です。

CPAPで期待できること

・いびき・日中の眠気がやわらぐ、夜の眠りが安定する
・血糖(HbA1c)やインスリンの効きが改善する場合がある
・血圧の安定や、心臓・血管への負担軽減につながりうる

減量 ― 根っこに効く一手

関係・気づき編でお話ししたとおり、肥満は睡眠時無呼吸・糖尿病の共通の土台です。だからこそ、体重を減らすと、睡眠時無呼吸・血糖・血圧がそろって良い方向に動くことが期待できます。首まわりの脂肪が減れば気道の塞がりが軽くなり、いびきや無呼吸がやわらぎます。

実際に、減量によって睡眠時無呼吸が大きく改善し、CPAPを手放せる方もいます。近年の大規模な研究でも、体重が十分に落ちると、CPAPを使っていた方のかなりの割合が「CPAPが要らない水準」まで改善したと報告されています。睡眠・体重・血糖は、まとめて整えるほど好循環に入りやすいのです。

大切な注意点

改善は体重が落ちている間に続くものです。体重が戻ると睡眠時無呼吸も再び悪くなることがあります。また、CPAPをやめてよいかは必ず検査で確かめてから判断します。自己判断での中止は危険ですので、主治医とご相談ください。

新しい薬の動き(2026年)

2026年には、治療の選択肢に新しい動きがありました。肥満をともなう中等症以上の睡眠時無呼吸に対して、減量効果のある薬(チルゼパチド)が、2026年5月に承認されました。体重を減らすことを通じて、睡眠時無呼吸そのものをやわらげるという考え方です。減量に用いられるGLP-1系の薬も、肥満をともなう方では選択肢になりえます。

薬についての大切なこと

これらの薬には使える条件(適応)や、向き・不向きがあり、誰にでも使えるわけではありません。吐き気などの副作用が出ることもあります。また、薬で減量できても体重が戻れば睡眠時無呼吸も再燃しうるため、生活習慣の見直しと一体で考える必要があります。使用するかどうかは、お体の状態をみたうえで医師とよくご相談ください。当院でも、ご希望や状態に応じてご説明します。

睡眠を整えると、血糖の「足かせ」が外れる

睡眠時無呼吸という見えない足かせが外れると、それまで下がりにくかった血糖が、管理しやすくなる方がいます。睡眠・体重・血糖を切り離さず、まとめて整える──これが、糖尿病とつきあううえで遠回りに見えて近道になることがあります。眠りが深くなると、日中の活動や食欲、気分も整いやすくなり、生活全体の好循環につながります。

当院でできること

当院は睡眠時無呼吸の検査・治療を地域で数多く手がけており、CPAPの導入から継続の管理まで行っています。さらに、糖尿病・肥満・血圧をあわせて診られるため、睡眠と血糖を切り離さずに、ひとつの医院で並行して整えていけます。

当院でできること/専門におつなぎすること

当院でできること:ご自宅でできる簡易検査、CPAPの導入と継続管理、糖尿病・血圧・体重の管理、減量のサポート。睡眠と血糖を一体で見ていきます。

専門におつなぎすること:入院での精密検査や、外科的な治療など専門的な対応が必要な場合は、連携施設へご紹介します。「日常の管理は当院、高度な検査・治療は専門へ」という形で必要な方を必要なところへつなぎます。

よくあるご質問

CPAPを使うと、血糖は良くなりますか?

しっかり続けることで、血糖(HbA1c)やインスリンの効きが改善したという報告があります。睡眠時無呼吸による夜の体の緊張がほどけるためと考えられています。ただし効果には個人差があり、CPAPだけで血糖が十分に下がるわけではありません。食事・運動・薬による糖尿病の治療とあわせて続けることが大切です。

痩せたら、CPAPはやめられますか?

減量によって睡眠時無呼吸が大きく改善し、CPAPを手放せる方もいます。ただし、やめてよいかは検査で確かめてから判断する必要があります。また体重が戻ると再び悪くなることがあるため、自己判断で中止せず、必ず主治医とご相談ください。当院では、検査で状態を確認しながら一緒に判断していきます。

睡眠時無呼吸に効く新しい薬があると聞きました。

2026年5月に、肥満をともなう中等症以上の睡眠時無呼吸に対して、減量効果のある薬(チルゼパチド)が承認されました。体重を減らすことを通じて睡眠時無呼吸をやわらげる、という位置づけです。ただし使える条件や向き・不向き、副作用があり、誰にでも使えるわけではありません。ご関心があれば、診察のときにお体の状態をみてご説明します。

CPAPや治療に保険は使えますか?

睡眠時無呼吸の検査やCPAP治療は、一定の基準を満たせば保険が使えます。減量の薬については、適応や条件によって扱いが異なります。くわしくは、検査の結果やお体の状態をふまえて診察でご案内しますので、お気軽におたずねください。

― あわせて読みたい(生活習慣病の三兄弟)―

監修:加藤 丈陽(かとう内科 院長)
日本内科学会 総合内科専門医(029447)/日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)/日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
かとう内科 〒794-0821 愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310(1986年開業・19床)

※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。治療の選択や薬の適応は一人ひとり異なります。実際の診断・治療は必ず医師にご相談ください。
参考:日本循環器学会ほか「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン」/厚生労働省 最適使用推進ガイドライン(チルゼパチド・閉塞性睡眠時無呼吸症候群、2026年)/SURMOUNT-OSA試験(N Engl J Med 2024)/Martínez-Cerón E, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2016。2026年時点の情報に基づいて作成しています。

PAGE TOP