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  • コレステロールは閉経で上がる?女性が知っておきたい更年期と脂質の話|今治市・かとう内科

女性のコレステロールは、閉経を境に変わる

更年期・HRT・妊娠中、それぞれの注意点

 
🟠 脂質異常症シリーズ 第30回

コレステロールは閉経で上がる?
女性が知っておきたい、更年期と脂質の話

「これまで健診でひっかからなかったのに、50歳をすぎて急にコレステロールが…」——更年期前後の女性にとても多いお悩みです。なぜ上がるのか、どう付き合えばいいのか。HRT(ホルモン補充療法)や妊娠中の注意点まで、やさしくお話しします。

この記事のテーマ

女性のコレステロールは、閉経を境にどう変わって、どう管理していけばいいの?

🌅 この記事のポイント
  • 閉経前の女性は、同年代の男性より動脈硬化の病気が少ない傾向があります
  • 閉経で女性ホルモンが減ると、LDLや中性脂肪が上がりやすくなります
  • 閉経前の管理は生活習慣の改善が中心(高血圧・糖尿病・喫煙・FHは例外)
  • HRTは更年期症状の治療が主目的。脂質を下げる“ためだけ”には行いません
  • 妊娠中・授乳中はスタチンを中止。HRTは婦人科と連携して進めます

1女性のコレステロールは、閉経を境に変わる

女性のからだは、女性ホルモン(エストロゲン)にずいぶん守られています。エストロゲンには血管を守る働きがあるため、閉経前の女性は、同じ年代の男性に比べて動脈硬化の病気が少ないのです。

ところが閉経でエストロゲンが減ると、その“守り”が弱まります。閉経の年齢は中央値で50.5歳ほど。その前後5年、合わせておよそ10年間が「更年期」にあたります。

🌸 閉経前
  • エストロゲンが血管を守る
  • 男性より動脈硬化の病気が少ない
  • 脂質の数値も比較的落ち着きやすい
🍂 閉経後
  • LDL(悪玉)が上がりやすい
  • 中性脂肪(TG)も上がりやすい(内臓脂肪が増える)
  • Lp(a)という“やっかいな脂質”も高くなりがち

「生活は何も変えていないのに、数値だけ上がった」と感じる方が多いのは、こうしたホルモンの変化が背景にあるからです。あなたのせいではありません。まずはそこを知っておいてください。

2閉経前の管理は「生活習慣が中心」——でも例外に注意

では閉経前はどうすればいいか。実は、閉経前の脂質異常が将来の心臓病に直結するという強い証拠は、今のところほとんどありません。ですので基本は、食事・運動・体重・禁煙といった生活習慣の改善が中心です。いきなり薬、という年代ではありません。

ただし、次のような場合は閉経前でも“別枠”で考えます。放っておけない要素だからです。

閉経前でも注意が必要なケース
要素 女性での影響
高血圧 女性の脳梗塞の、はっきりした危険因子です
糖尿病 女性ではより影響が大きく、虚血性心疾患のリスクが男性より高まる傾向(約44%増との報告)
喫煙 喫煙女性は心筋梗塞が3~8倍に
FH(家族性) 体質的にLDLが高い病気。女性でも薬物療法を考えます
💡 FHのアキレス腱には男女差があります
FH(家族性高コレステロール血症)の手がかりになるアキレス腱の肥厚は、基準に男女差があります(女性のほうがやや薄めで該当:超音波で5.5mm以上、X線で7.5mm以上が目安)。当てはまりそうな方は、第3回・第8回のFH記事もぜひ。

⚠ 妊娠中・授乳中

妊娠中・授乳中のスタチンは禁忌(使えません)。妊娠を希望される方・妊娠中の方は、必ず事前に主治医にお伝えください。中止のタイミングも含めて一緒に確認します。

3HRT(ホルモン補充療法)ってどうなの?

更年期の話になると、「ホルモン補充でコレステロールも下がるって本当?」とよく聞かれます。順番に整理します。

HRTの“主目的”は、更年期症状の改善

HRTはあくまで、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)などの更年期症状をやわらげるための治療です。更年期症状は8割もの方が経験するといわれ、つらい症状の改善が第一の目的です。子宮のある方は、エストロゲン単独だと子宮内膜への影響が心配されるため、黄体ホルモンを併用します。飲み薬・貼り薬などの形があります。

脂質も多少よくなる。でも“脂質のため”には使わない

HRTを行うと、結果として総コレステロール・LDLがおおむね 15~20% 下がり、HDL(善玉)は上がり、Lp(a)も下がる傾向があります。「じゃあコレステロール対策に!」と思いたくなりますが、ここは大事なポイント——

🩺 ここが大事
脂質を下げることだけを目的にHRTを行うことはしません。HRTにはメリットだけでなく注意点(後述)もあるため、あくまで更年期症状の治療として適応を判断し、脂質改善はその“おまけ”と考えます。

始めるタイミングが大切(タイミング仮説)

HRTは「いつ始めるか」で意味が変わります。閉経後まもなく(10年未満)・60歳未満で、血管がまだ健康なうちに始めると、動脈硬化を抑える方向に働くと考えられています。一方、動脈硬化(プラーク)ができあがってから、あるいは60歳以上で新たに始めると、かえって心臓病・脳卒中・血栓のリスクが上がる可能性があります。

HRTを行えない・慎重に考える主なケース
区分 主な内容
行えない
(禁忌)
乳がん(既往を含む)/原因不明の不正性器出血/急性の血栓性静脈炎・静脈血栓塞栓症(既往を含む)/心筋梗塞・冠動脈硬化の既往/脳卒中の既往
慎重に
考える
肥満/60歳以上または閉経後10年以上での新規開始/血栓のリスクが高い/冠攣縮性・微小血管狭心症の既往/重症の高中性脂肪血症/コントロール不良の糖尿病・高血圧

このように、HRTは「合う人・合わない人」「始めどき」がはっきりある治療です。だからこそ、HRT自体は婦人科で相談・管理するのがいちばん安心です。

🤝 当院の役割(内科)
当院(内科)では、コレステロール・血圧・血糖の管理を担当します。HRTについては婦人科と連携し、必要な方は適切にご紹介します。「内科と婦人科、両方からあなたを見る」体制が、更年期世代の女性には安心です。脂質は、閉経の前後とも生活習慣の改善が基本。半年ほどみて改善しなければ、スタチンなどの薬も検討します。
😊 今日のまとめ
女性のコレステロールは閉経を境に上がりやすくなりますが、それは自然な変化。閉経前は生活習慣が中心(高血圧・糖尿病・喫煙・FHは別枠)、HRTは更年期症状の治療として婦人科と連携。妊娠・授乳中はスタチンを中止。あなたのライフステージに合わせて、一緒に管理していきましょう。
▶ 次回(第31回):心筋梗塞・狭心症をした人のコレステロール
一度心臓の病気をした人は、再発予防がいちばん大事。LDLをどこまで下げる?退院後の管理について、入口+紹介の立場でお話しします。

🔗あわせて読みたい(診療案内)

▶ 糖尿病の診療について
糖尿病は女性でより影響が大きい病気。血糖とコレステロールはセットで管理します。当院の糖尿病診療はこちら。
▶ 高血圧の診療について
高血圧は女性の脳梗塞の危険因子。更年期世代の血圧管理も、お気軽にご相談ください。
🩸 コレステロールについて(解説一覧) → 基準値・検査・薬・食事から、家族性高コレステロール血症(FH)まで。
この記事の監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献
  1. 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
  2. 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.2022.

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