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脂肪肝は肝臓だけでなく血管のリスクも上げる
治療の基本は減量、脂質にはスタチン、線維化が進めば専門医へ
「脂肪肝」と言われたら
── MASLDとコレステロール
健診で「脂肪肝ですね」と言われたこと、ありませんか? お酒をほとんど飲まない人にも多く、日本人の約3割にみられます。実はこれ、肝臓だけの問題ではなく、コレステロールや血管の病気とも深く関わっています。
脂肪肝(MASLD)は、コレステロールや動脈硬化とどう関係する? 放っておくとどうなる? どうすればいい?
- 脂肪肝は珍しくありません。日本人の約3割・1,000万人以上と推計され、お酒を飲まない人にもみられます。
- 2023年から、新しい呼び名MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)が使われるようになりました。
- 脂肪肝は肝臓だけの問題ではなく、心筋梗塞や脳卒中などの血管リスクを上げます(およそ2倍以上)。
- 脂質異常は高LDL・高TG・低HDL+小型のLDL。糖尿病やCKDと似たパターンです。
- 治療の基本は食事・運動(体重を7~10%減)。脂質異常にはスタチンが有効です。
1「脂肪肝」は珍しくない、そして肝臓だけの話ではない
脂肪肝は、肝臓に脂肪がたまった状態。お酒の飲みすぎが原因と思われがちですが、お酒をほとんど飲まない人にも多く、日本人の約3割、1,000万人以上にみられると推計されています。背景にあるのは、肥満やインスリン抵抗性といった“代謝の問題”。そこで2023年から、これをMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼ぶようになりました。
そして大切なのは、脂肪肝が肝臓だけの病気ではないということ。肝硬変や肝臓がんのリスクになるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中といった血管の病気のリスクも上げます。研究では、MASLDがあると心血管イベントがおよそ2.3倍、肝臓の線維化(硬くなること)が進むと2.5倍に増えると報告されています。
2MASLDの脂質異常も、やっぱり“質”の悪化
MASLDの脂質異常も、これまでの糖尿病・CKDと似たパターンをとります。
肝臓に脂肪がたまると、中性脂肪をたっぷり積んだ“大型の運び屋(VLDL)”が肝臓からたくさん作られます。その玉突きでHDL(善玉)が減り、小型で動脈硬化を起こしやすいLDL(sd-LDL)が増えるのです。LDLの数字だけでなく、中身(質)まで悪くなる――この点は、これまでの回と共通しています。
3治療 ── まず体重、そして脂質にはスタチン
MASLDの治療の土台は、なんといっても食事・運動です。体重が多めの方は、体重の7~10%の減量で、肝臓の炎症や線維化が改善することが分かっています。やせ型の脂肪肝(lean MASLD)でも、3%の減量で効果が期待できます。食事は極端な糖質制限より、地中海食のようなバランスのよい食事を。運動は有酸素運動に加え、筋トレ(レジスタンス運動)も肝臓の脂肪を減らすのに役立ちます。
そのうえで脂質異常があれば、スタチンが有効です。糖尿病があればGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬、中性脂肪が高ければペマフィブラート(肝臓の数値も改善します)など、合併する病気にあわせてお薬を選びます。
4いちばん大事なのは“線維化”が進んでいないか
脂肪肝でいちばん見ておきたいのは、肝臓が線維化(だんだん硬くなること)を起こしていないかどうかです。これは、血液検査の数値(FIB-4など)や血小板の数から見当をつけられます。進んでいそうなときは、消化器(肝臓)の専門医にバトンタッチします(2023年の「奈良宣言」でも、こうした連携が勧められています)。
5糖尿病・高血圧がある方へ
脂肪肝・糖尿病・高血圧・脂質異常は、根っこでつながった“代謝の仲間”です。あわせて整えることが、肝臓も血管も守る近道になります。
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
- 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
- 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会,2022.
