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  • 脂肪肝(MASLD)はコレステロール・動脈硬化と関係する?放置リスクと治療|今治市・かとう内科

脂肪肝は肝臓だけでなく血管のリスクも上げる

治療の基本は減量、脂質にはスタチン、線維化が進めば専門医へ

 
🩸 脂質異常症シリーズ 第28回

「脂肪肝」と言われたら
── MASLDとコレステロール

健診で「脂肪肝ですね」と言われたこと、ありませんか? お酒をほとんど飲まない人にも多く、日本人の約3割にみられます。実はこれ、肝臓だけの問題ではなく、コレステロールや血管の病気とも深く関わっています。

この記事で答えること

脂肪肝(MASLD)は、コレステロールや動脈硬化とどう関係する? 放っておくとどうなる? どうすればいい?

🔑 まずここだけ押さえる
  • 脂肪肝は珍しくありません。日本人の約3割・1,000万人以上と推計され、お酒を飲まない人にもみられます。
  • 2023年から、新しい呼び名MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)が使われるようになりました。
  • 脂肪肝は肝臓だけの問題ではなく、心筋梗塞や脳卒中などの血管リスクを上げます(およそ2倍以上)。
  • 脂質異常は高LDL・高TG・低HDL+小型のLDL。糖尿病やCKDと似たパターンです。
  • 治療の基本は食事・運動(体重を7~10%減)。脂質異常にはスタチンが有効です。

1「脂肪肝」は珍しくない、そして肝臓だけの話ではない

脂肪肝は、肝臓に脂肪がたまった状態。お酒の飲みすぎが原因と思われがちですが、お酒をほとんど飲まない人にも多く、日本人の約3割、1,000万人以上にみられると推計されています。背景にあるのは、肥満やインスリン抵抗性といった“代謝の問題”。そこで2023年から、これをMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼ぶようになりました。

そして大切なのは、脂肪肝が肝臓だけの病気ではないということ。肝硬変や肝臓がんのリスクになるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中といった血管の病気のリスクも上げます。研究では、MASLDがあると心血管イベントがおよそ2.3倍、肝臓の線維化(硬くなること)が進むと2.5倍に増えると報告されています。

2MASLDの脂質異常も、やっぱり“質”の悪化

MASLDの脂質異常も、これまでの糖尿病・CKDと似たパターンをとります。

LDL ↑ 中性脂肪(TG) ↑ HDL(善玉) ↓ 小型LDL(sd-LDL) ↑

肝臓に脂肪がたまると、中性脂肪をたっぷり積んだ“大型の運び屋(VLDL)”が肝臓からたくさん作られます。その玉突きでHDL(善玉)が減り、小型で動脈硬化を起こしやすいLDL(sd-LDL)が増えるのです。LDLの数字だけでなく、中身(質)まで悪くなる――この点は、これまでの回と共通しています。

3治療 ── まず体重、そして脂質にはスタチン

MASLDの治療の土台は、なんといっても食事・運動です。体重が多めの方は、体重の7~10%の減量で、肝臓の炎症や線維化が改善することが分かっています。やせ型の脂肪肝(lean MASLD)でも、3%の減量で効果が期待できます。食事は極端な糖質制限より、地中海食のようなバランスのよい食事を。運動は有酸素運動に加え、筋トレ(レジスタンス運動)も肝臓の脂肪を減らすのに役立ちます。

そのうえで脂質異常があれば、スタチンが有効です。糖尿病があればGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬、中性脂肪が高ければペマフィブラート(肝臓の数値も改善します)など、合併する病気にあわせてお薬を選びます。

🔖 「脂肪肝だとコレステロールの薬は飲めない?」
これはよくある誤解です。スタチンを始めるときに肝臓の数値(ALTなど)は確認しますが、脂肪肝があってもスタチンは基本的に使えます。むしろ、命にかかわる病気や肝臓の合併症を減らすという報告もあります。「脂肪肝だから薬はやめたほうがいい」と自己判断で中断しないでください。

4いちばん大事なのは“線維化”が進んでいないか

脂肪肝でいちばん見ておきたいのは、肝臓が線維化(だんだん硬くなること)を起こしていないかどうかです。これは、血液検査の数値(FIB-4など)や血小板の数から見当をつけられます。進んでいそうなときは、消化器(肝臓)の専門医にバトンタッチします(2023年の「奈良宣言」でも、こうした連携が勧められています)。

🔖 当院の役割
当院では、脂肪肝と、その背景にある代謝(血糖・血圧・脂質)の管理、そして線維化のチェックを行います。より専門的な評価や治療が必要なときは、適切な施設へおつなぎします。「脂肪肝くらい大丈夫」と放置せず、まずは一度ご相談ください。
▶ 次回:高齢になったら、コレステロールはどう考える?
年齢を重ねたら、コレステロールの薬はどこまで続ける? 高齢の方ならではの考え方を、次回やさしく解説します。

5糖尿病・高血圧がある方へ

脂肪肝・糖尿病・高血圧・脂質異常は、根っこでつながった“代謝の仲間”です。あわせて整えることが、肝臓も血管も守る近道になります。

🩸 糖尿病について(解説一覧) →
脂肪肝と糖尿病は、おたがいに深く影響し合います。
🫀 高血圧について(解説一覧) →
血圧管理も、血管を守る大切な柱です。
🩸 コレステロールについて(解説一覧) → 基準値・検査・薬・食事から、家族性高コレステロール血症(FH)まで。
監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献
  1. 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
  2. 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会,2022.
📚 脂質異常症シリーズ
第27回:腎臓が弱っていると言われたら(CKD)とコレステロール → 前の記事へ
第28回:脂肪肝(MASLD)とコレステロール(この記事)
第29回:高齢になったら、コレステロールはどう考える? → 次の記事へ

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