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運動は脂質異常症にどれくらい効く?どう動けばいい?
中強度を1日30分・週180分、今より+2000~2500歩、座りすぎを減らし「+10」から
運動で
コレステロールは
下がる?
「運動が大事」とはよく言われますが——どんな運動を、どれくらいすればコレステロールに効くのでしょう。じつは運動は、中性脂肪を下げ、善玉(HDL)を上げるのが得意。今回は、脂質を改善する運動の“目安”と、忙しくても続けられる工夫をまとめます。
この記事で答えること
運動でコレステロール(中性脂肪・HDL)は本当に変わる? 何を・どれくらいやればいいの? 時間がなくても大丈夫?
🔑 まずここだけ押さえる
- 有酸素運動を続けると、中性脂肪が下がり、善玉(HDL)が上がります。悪玉(LDL)も少し下がることが期待できます。
- 目安は「ややきつい」中強度を1日30分以上・週180分以上(できれば毎日)。歩数なら今より+2000~2500歩。
- まとめて続けなくてOK。10分×3回など、合算でも効果はあります。家事・通勤・買い物も立派な運動です。
- 「座りっぱなし」そのものがリスク。30分に一度立ち上がるだけでも違います。
- いちばん大事なのは“続くこと”。まずは「+10(プラステン)」=今より10分多く動くところから。
1運動でコレステロールはどう変わる?
運動が脂質に効くのは、気のせいではありません。体を動かすと、血液中の脂肪を分解・利用する力が高まり、とくに中性脂肪(TG)と善玉(HDL)がはっきり反応します。
🔥
中性脂肪(TG)
▼
運動でいちばん下がりやすい
🛡️
善玉(HDL)
▲
続けると上がってくる
🧱
悪玉(LDL)
▽
少し下がることも
📑 根拠:有酸素運動を続けると、中性脂肪の低下と善玉(HDL)の上昇が、多くの研究をまとめた解析で確認されています。HDLは運動量が多いほど上がりやすい傾向があります。さらに運動は、体重・血圧・血糖の改善や、動脈硬化そのものの予防にもつながり、脂質の数字以上の“おまけ”がたくさんあります。
🍚 ためずに「使う」体になる
運動を続けると、筋肉が血液中の中性脂肪をエネルギーとして取り込みやすくなり、脂肪をためこみにくい体質に近づきます。食事の見直し(第16~19回)と組み合わせると、効果がぐっと高まります。2どれくらい動けばいい?──「中強度」を30分・週180分
運動の強さは「メッツ」という単位で表します。じっと座っている状態が1メッツ。3メッツ以上が、脂質改善のねらい目「中強度」です。難しく考えず、「ややきついけど会話はできる」くらいが目安です。
~2
メッツ 安静・ゆっくり歩く・立ち話 … 軽すぎて運動効果は小さめ
メッツ 安静・ゆっくり歩く・立ち話 … 軽すぎて運動効果は小さめ
3~4
メッツ ふつう~やや速歩き・掃除・庭仕事・自転車 … ★ここが「中強度」のねらい目
メッツ ふつう~やや速歩き・掃除・庭仕事・自転車 … ★ここが「中強度」のねらい目
4~6
メッツ 速歩き・軽いジョギング・階段・水中歩行 … 慣れてきたら
メッツ 速歩き・軽いジョギング・階段・水中歩行 … 慣れてきたら
量の目安は、中強度を1日30分以上・週に合計180分以上(できれば毎日)。歩数で言えば、今より1日2000~2500歩ふやすのがちょうどよい目標です。一度にまとめなくても、10分×3回のように分けて合算すればOK。通勤・買い物・家事も、立派な“運動”に数えてかまいません。
📑 根拠:国の身体活動・運動のガイドでも、成人は1日約60分(≒8000歩)以上の身体活動がすすめられ、そのうち中強度(3メッツ以上)を週23メッツ・時程度とされています。脂質異常症の診療でも、中強度の有酸素運動を毎日30分以上、または週180分以上が目安として示されています。
3見落としがちな「座りすぎ」に注意
意外と知られていませんが、長時間の座りっぱなし(坐位行動)そのものが、健康リスクになります。デスクワークやテレビで何時間も動かないと、運動の習慣がある人でも、その分のリスクは残ってしまいます。
🪑 「30分に一度、立つ」だけでも
長く座り続けたら、30分~1時間に一度は立ち上がる・歩く・伸びをする。トイレやお茶のついでで十分です。「座る時間を細切れにする」だけでも、血糖や中性脂肪の処理によい影響があるとされています。エレベーターより階段、ひと駅手前で降りる——こうした“ちょい動き”の積み重ねが効きます。4続けるコツ──「+10」から、筋トレも少し
運動は、がんばりすぎて三日坊主になるのが一番もったいない。大切なのは“続けられること”です。完璧をめざさず、小さく始めましょう。
まずは「+10(プラステン)」
今より10分多く体を動かすだけ。ひと駅歩く、エレベーターをやめる、犬の散歩を少し延ばす。これだけでも始める価値があります。
「ながら」で生活に組み込む
テレビを見ながら足踏み、歯みがきしながらかかと上げ、買い物は遠いスーパーへ。わざわざ時間を作らないのが続くコツ。
筋トレも週2~3回プラス
有酸素運動に、自重スクワットやかかと上げなどの筋トレを足すと、筋肉が増えて脂肪を使いやすい体に。転倒予防にもなり、高齢の方にもおすすめです。
歩数計・スマホで“見える化”
歩数が数字で見えると、続ける励みになります。「昨日より+2000歩」を合言葉に。記録は立派なごほうびです。
⚠ 持病のある方は、無理せず主治医に相談を
心臓・ひざ・腰に持病のある方、ふだん運動していない方が急に強い運動を始めるのは禁物です。どのくらい動いてよいかは、体調や持病によって変わります。心配なときは、始める前にかかりつけ医にご相談ください。「ややきつい」が「苦しい」になったら、それはやりすぎのサインです。🍱 第19回:食事は「和食」でいい?(The Japan Diet) →
運動と食事はセットで効きます。食べ方の総まとめはこちら。
▶ 次回:お酒はコレステロールにいい?悪い?
「少量の飲酒は体にいい」って本当? 中性脂肪との関係や、適量の考え方を第22回で正直に解説します。
5糖尿病・高血圧がある方にも、運動は効く
運動は、脂質だけでなく血糖・血圧の改善にも有効。糖尿病・高血圧が重なる方ほど、得られるメリットは大きくなります。あわせてご覧ください。
🩸 糖尿病について(解説一覧) →
運動は血糖を下げ、インスリンの効きをよくします。食後の軽い運動も有効。
🫀 高血圧について(解説一覧) →
有酸素運動は血圧を下げる効果も。脂質・血圧をまとめて管理しましょう。
🩸 コレステロールについて(解説一覧) →
基準値・検査・薬・食事から、家族性高コレステロール血症(FH)まで。
監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献
- 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
- 厚生労働省:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023.2024.
- 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会,2022.
- 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版.日本動脈硬化学会,2023.
- Kodama S, et al. Arch Intern Med. 2007;167(10):999-1008.
