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  • たばことコレステロール・動脈硬化の関係/無理なく禁煙するには|今治市・かとう内科

たばこは脂質異常症・動脈硬化にどう影響する?

「本数を減らす」では不十分、加熱式も対象、禁煙は保険で受けられる治療

 
🩸 脂質異常症シリーズ 第20回

たばことコレステロール・
動脈硬化/
無理なく禁煙するには

食事のお話がひと区切り。ここからは生活習慣のお話です。じつはたばこは、コレステロールや動脈硬化にも深く関わっています。「1日数本だけ」「加熱式に変えたから安心」——そう思っていませんか? 今回は、たばこと脂質の関係と、無理なくやめるための“いまどきの方法”を整理します。

この記事で答えること

たばこって、肺やがんだけじゃなくコレステロール・動脈硬化にも関係あるの? 「減らす」じゃダメ? 無理なくやめる方法はある?

🔑 まずここだけ押さえる
  • たばこは強い酸化ストレスを与え、がん・脳心血管・呼吸器など、たくさんの病気のもとになります。
  • 脂質にも悪影響。善玉(HDL)を下げ、酸化した悪玉や中性脂肪を増やし、動脈硬化を進めます。糖尿病やメタボのリスクも上げます。
  • 「本数を減らす」では不十分。1日1本未満でもリスクは上がり、必要なのは“完全禁煙”です。
  • 加熱式たばこも、ニコチンを含むたばこ。紙巻きと同じく、やめる対象です。
  • 禁煙は根性ではなく「ニコチン依存症」という病気の治療。条件を満たせば保険診療で、お薬を使うと成功率が2~3倍に。

1たばこは「コレステロール・動脈硬化」にも効く(悪い意味で)

たばこの害というと、肺やがんを思い浮かべる方が多いはず。でも、たばこの煙は強い活性酸素(酸化ストレス)を生み、血管にもしっかりダメージを与えます。コレステロールが気になる方にこそ、知っておいてほしい話です。

🩸 脂質を悪化させる
善玉(HDL)を下げ、酸化した悪玉(酸化LDL)や中性脂肪を増やします。酸化LDLは、動脈硬化のプラークをつくりやすいタイプです。
🧱 血管を傷める
血管の内側(内皮)の働きを乱し、動脈の炎症や収縮を起こします。プラーク(こぶ)ができやすくなります。
🩹 血を固まりやすくする
血小板が固まりやすくなり、血栓(血のかたまり)ができやすい状態に。心筋梗塞・脳梗塞の引き金になります。
🍬 糖尿病・メタボも
喫煙そのものが、糖尿病やメタボリック症候群の発症リスクを上げます。これらが重なって、脳心血管病へつながります。

つまりたばこは、脂質を悪くする・血管を傷める・血を固めるという“三重苦”で、動脈硬化を強力に後押しします。せっかく食事や薬でコレステロールを整えても、喫煙を続けていると効果が打ち消されてしまうのです。

2「減らす」じゃダメ?──完全禁煙が必要なワケ

「いきなりゼロは無理だから、まず本数を減らそう」——気持ちはとてもよく分かります。でも残念ながら、「減らす」だけでは不十分です。

📑 根拠:1日1本未満のわずかな喫煙でも、心血管疾患の発症・死亡リスクは上がることが報告されています。受動喫煙(まわりの人の煙)でもリスクは上がります。だからこそ「本数を減らす」のではなく、完全にやめること(完全禁煙)が目標になります。

 

💨 「加熱式に変えたから大丈夫」も誤解です
加熱式たばこを使ったときの血液中のニコチン濃度は、紙巻きとほぼ同じ。煙の有害物質は一部少ないとされますが、ニコチンを含み、依存性がある点は変わりません。発生するエアロゾルにも有害物質が含まれ、血管や呼吸器への影響が確認されています。形を変えても“たばこ”はたばこ。加熱式も、紙巻きと同じく禁煙の対象です。

3禁煙は“根性”じゃなく“治療”──だから楽にやめられる

「やめられないのは意志が弱いから」——そう思って自分を責めていませんか? じつは、なかなかやめられないのには理由があります。たばこにはニコチン依存症という、れっきとした“依存”の仕組みがあるからです。だからこそ、自己流より、治療として取り組むほうが楽にやめられます。

📑 根拠:禁煙補助薬(ニコチンの貼り薬・ガム、ニコチンを含まない飲み薬など)を使うと、禁煙の成功率が2~3倍に高まることが分かっています。ニコチン依存症は、TDSという簡単な質問票(5点以上で依存症)で見きわめられ、条件を満たせば保険診療で治療できます。プログラムは12週間に5回の通院が基本です。

 

自己流がつらいのは「離脱症状」のせい

自己流でやめようとすると、たばこを切らしたときに、「吸いたくてたまらない」「イライラ・落ち込み・不安」「集中できない」「眠れない」といった離脱症状が出て、くじけやすくなります。治療では、お薬でこの離脱症状をやわらげながら進めるので、ぐっと楽になります。

📅 再喫煙の多くは“最初の3カ月”に
もう一度吸ってしまう「再喫煙」の多くは、禁煙開始から3カ月以内に起こります。この時期を、お薬と周囲のサポートで乗り切るのが成功のコツ。スマートフォンのアプリを使った治療が保険で受けられる仕組みもあり、平日に通院しにくい方の選択肢も広がっています。

4やめたあとに待っている「いいこと」

禁煙は、つらいことばかりではありません。むしろ、やめてみるとうれしい変化がたくさん待っています。「先のいいこと」をイメージしておくと、続けやすくなります。

🌱 禁煙で感じられる「いいこと」の例
  • 咳や痰が減る
  • 呼吸が楽になる
  • 目覚めがさわやか
  • 食べ物がおいしく感じる
  • 肌・胃の調子が良くなる
  • 口臭・衣服のにおいが消える
  • 少し走っても息切れしにくい
  • お小遣いが減らずにすむ
  • 孫を安心して抱っこできる
  • 「やればできる」自信がつく
受診のきっかけは「いま」がチャンス
病気をしたとき、健診で指摘されたとき、手術の前——こうした“節目”は、禁煙を決意しやすい絶好のタイミング(teachable moment)です。
体重増加は「想定内」にしておく
禁煙後、食事や間食が増えて体重が増えることがあります。あらかじめ知っておけば慌てません。ただし、まずは禁煙を優先して大丈夫です。
ひとりで頑張らない
「よく頑張っていますね」の一言が、続ける力に。周囲の励ましと、医療のサポートを上手に使いましょう。

たばこと脂質・動脈硬化は、切っても切れない関係です。コレステロールを真剣に管理するなら、禁煙はとても効果の高い“治療のひとつ”。やめたいけれど難しい——そんなときは、がまんを続けるより、かかりつけ医や禁煙外来にご相談ください。いまは、楽にやめるための方法がそろっています。

▶ 次回:運動でコレステロールは下がる?どれくらい動けばいい?
「運動が大事」とは聞くけれど、どんな運動を・どれくらい? 第21回は、脂質を改善する運動のコツと“続けられる工夫”を解説します。

5糖尿病・高血圧がある方はとくに注意

たばこは、糖尿病・高血圧と重なると、脳心血管病のリスクをいっそう高めます。逆に言えば、禁煙は糖尿病・高血圧の管理にも大きくプラス。あわせてご覧ください。

🩸 糖尿病について(解説一覧) →
喫煙は糖尿病の発症・進展リスクを上げます。禁煙は血糖管理にも有効。
🫀 高血圧について(解説一覧) →
喫煙+高血圧は心筋梗塞・脳卒中のリスクを相乗的に高めます。あわせて管理を。
🩸 コレステロールについて(解説一覧) → 基準値・検査・薬・食事から、家族性高コレステロール血症(FH)まで。
監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献
  1. 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
  2. 飯田真美:LUNG.2019;27(1):53-6.
  3. Inoue-Choi M, et al. JAMA Intern Med. 2017;177(1):87-95.
  4. 日本循環器学会,他:禁煙治療のための標準手順書 第8.1版.2021.
  5. 喫煙の健康影響に関する検討会 編:喫煙と健康.2016.
📚 脂質異常症シリーズ
第19回:食事は「和食」でいい?(The Japan Diet)→ 前の記事へ
第20回:たばこと動脈硬化/無理なく禁煙(この記事)
第21回:運動でコレステロールは下がる? → 次の記事へ

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