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  • 脂質異常症に和食はいい?The Japan Dietでコレステロール対策|今治市・かとう内科

脂質異常症に「和食」を勧めるとよい?──The Japan Diet

肉の脂身・加工肉・動物脂を控え、魚・大豆・野菜・海藻・きのこ・未精製穀類を、減塩で

 
🩸 脂質異常症シリーズ 第19回

コレステロールが
気になる人の食事は
「和食」でいい?

「和食はヘルシー」とよく言われます。たしかに、魚や大豆・野菜を使う和食には、コレステロール対策に向いた面がたくさん。でも、塩からい料理や脂の多いおかずもありますよね。今回は、卵・あぶら・食物繊維のお話の“総まとめ”として、動脈硬化を防ぐ食べ方「The Japan Diet」を紹介します。

この記事で答えること

「和食はコレステロールにいい」って本当? 結局、毎日の食事はどう組み立てればいいの?

🔑 まずここだけ押さえる
  • 脂質異常症の食事の基本は、適正体重・あぶらの質の改善・食物繊維を増やす・減塩。動脈硬化の予防がゴールです。
  • 和食には体によい面が多い一方、塩分が多い・脂の多い料理もあるので、「和食ならなんでもOK」ではありません。
  • 日本動脈硬化学会がすすめるのが「The Japan Diet」。肉の脂身・加工肉・動物脂を控え、魚・大豆・野菜・海藻・きのこ・未精製穀類を、減塩で。
  • The Japan Dietは“和風の味つけ限定”ではなく、好みに合わせて実践できる考え方です。
  • 1食は、主食・主菜・副菜2つ・汁物の組み合わせが目安になります。

1脂質異常症の食事、ゴールは「動脈硬化の予防」

これまで、卵・あぶら・食物繊維と見てきました。これらをまとめると、脂質異常症の食事療法のねらいがはっきりします。それは、コレステロールの数字を整えること自体ではなく、その先にある“動脈硬化(心筋梗塞・脳卒中)を防ぐこと”。肥満・糖尿病・高血圧といった、ほかの危険因子もまとめて良くしていくのが目標です。

📑 根拠:動脈硬化を防ぐ食事として、ガイドラインでは次のような点が示されています。①過食を避けて適正体重を保つ ②脂肪の質を改善(飽和脂肪酸・トランス脂肪酸を減らし、魚のn-3を増やす/コレステロールは1日200mg未満) ③未精製穀類・野菜・海藻・大豆などで食物繊維を1日25g以上 ④減塩(食塩6g/日未満を目標)。これらを組み合わせて、動脈硬化の発症・進展をおさえます。

2「和食はヘルシー」ってどこまで本当?

「和食」は、日本で発達してきた食事の広い呼び名で、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。魚・大豆・野菜・海藻をよく使い、精製度の低いお米を主食にする——こうした昔ながらの和食が、健康的だと注目されてきました。

📑 根拠:1960年代の国際共同研究で、当時の日本人は高血圧が多かったにもかかわらず、欧米にくらべて冠動脈疾患(心臓の血管の病気)で亡くなる割合が低いことが注目されました。その理由のひとつが、飽和脂肪酸(動物性のあぶら)の摂取が少なかったこと。当時の食事は、肉・乳製品・油が少なく、穀類・大豆・魚が多かったのです。

ただし、その後の日本人の食事は大きく変わりました。穀類・野菜・魚が減り、肉・乳製品・動物性脂肪が増加。いまでは肉が魚を上回り、「日本人の食事=健康的」とは言いきれなくなっています。さらに、和食には味つけが濃く塩分が多い料理や、揚げ物など脂の多い料理もあります。だから、「和食だから安心」ではなく、中身を選ぶことが大切なのです。

📊 いまや「日本人=低脂肪」とは言いがたい
食事の欧米化で、日本人の脂肪エネルギー比率は年々上がり、平均で30%近くに。脂肪エネルギー比率が30%以上と過剰な人は、20歳代で約半分にのぼるという報告もあります。「日本人だから脂肪は少なめ」という思い込みは、いったん横に置いて、いまの自分の食生活を見直すことが大切です。

3動脈硬化を防ぐ食べ方「The Japan Diet」

そこで日本動脈硬化学会が、血清脂質の改善と動脈硬化の予防のためにすすめているのが「The Japan Diet」。和食の“良いところ”を取り出して、栄養のねらいに合うように整理した食事パターンです。ポイントは「減らすもの」と「増やすもの」がはっきりしていること。

🔻 控えるもの
  • 肉の脂身・動物脂(牛脂・ラード・バター)
  • ハム・ソーセージなどの加工肉
  • 鶏卵のとりすぎ
  • 砂糖・果糖を含む清涼飲料・菓子
  • アルコールのとりすぎ
  • 濃い味つけ(塩分)
🔺 積極的にとるもの
  • 魚(とくに青背の魚=EPA・DHA)
  • 大豆・大豆製品(とくに納豆)
  • 緑黄色野菜を含む野菜・海藻・きのこ・こんにゃく
  • 未精製の穀類・雑穀・麦
  • 甘味の少ない果物と乳製品(適度に)
🍚 減塩して薄味に ⚠ 「和風の味つけ」限定ではありません

大事なのは、The Japan Diet=和風の味つけに限るわけではないこと。上の「控える/増やす」の考え方に沿っていれば、洋風でも中華風でも「The Japan Diet」と言えます。自分の好みに合わせて続けられるのが、いちばんの強みです。

📑 根拠:外来の脂質異常症の患者さんを対象にしたランダム化比較試験で、6カ月間The Japan Dietをすすめる栄養指導を受けた人は、悪玉(LDL-C)や中性脂肪(TG)が改善したと報告されています。「控える食品だけを指導した群」より、しっかり効果がみられました。

41食の組み立て方──主食・主菜・副菜2つ・汁物

「で、具体的にどう並べれば?」という方へ。かんたんな目安は、主食+主菜+副菜2つ+汁物の組み合わせです。それぞれで“選び方のコツ”を意識すると、自然とThe Japan Dietになります。

🍱 1食の組み立て例(主食・主菜・副菜2つ・汁)
🍚 主食
玄米・雑穀・麦を混ぜたごはん、全粒粉やライ麦のパン、そばなど。未精製のものを。
🐟 主菜
魚・大豆製品(とくに納豆)を中心に。肉は脂身・鶏皮を除く。揚げ・炒めより、刺身・蒸し・焼き・煮もの。
🥦 副菜(2皿)
1日に野菜5皿以上+海藻・きのこ・こんにゃく1皿。緑黄色野菜を積極的に。ごまだれ・マヨ・ドレッシングは控えめ。
🍲 汁物
野菜・海藻・きのこ・大豆製品の具を多めに。具を増やすと汁が減って減塩に。お茶でもOK。
🧂 そして、減塩で薄味に

間食やデザートには、甘味の少ない果物や、無脂肪・低脂肪のヨーグルト・牛乳を適度に。市販の冷凍食品・缶詰・カット野菜を上手に使えば、忙しくても実践しやすくなります。

🍳 これまでの回が、ぜんぶつながります
「肉の脂身を減らす」は第17回(あぶら)、「卵はとりすぎない」は第16回(卵)、「未精製穀類・野菜・海藻で繊維を増やす」は第18回(食物繊維)のお話そのもの。The Japan Dietは、これらを毎日のお皿の上で“まとめて実践する”考え方です。
🥚 第16回:卵は食べてもいい? →
「卵のとりすぎ」をどう考える? タイプ別の目安はこちら。
🫒 第17回:「あぶら」の種類で何が違う? →
飽和脂肪酸を減らし、魚のn-3を増やす——あぶらの選び方の基本。
▶ 次回:たばことコレステロール・動脈硬化/無理なく禁煙
食事の話がひと区切り。次は「喫煙」。たばこは脂質や動脈硬化にどう影響する? 無理なく禁煙する方法も、第20回で解説します。

5糖尿病・高血圧がある方はとくに注意

The Japan Dietは、コレステロールだけでなく血糖や血圧の改善にも役立つ食べ方です。とくに減塩は高血圧対策の要。糖尿病・高血圧が重なる方こそ、相性のよい食事です。あわせてご覧ください。

🩸 糖尿病について(解説一覧) →
未精製穀類・野菜中心の食べ方は、血糖管理にも有効。あわせて見直しを。
🫀 高血圧について(解説一覧) →
The Japan Dietの「減塩」は、高血圧対策の中心。脂質とあわせて管理を。
🩸 コレステロールについて(解説一覧) → 基準値・検査・薬・食事から、家族性高コレステロール血症(FH)まで。
監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献
  1. 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
  2. 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会,2022.
  3. 日本動脈硬化学会:動脈硬化を知る×動脈硬化を予防する食事(The Japan Diet).
  4. Maruyama C, et al. J Atheroscler Thromb. 2021;28(10):1035-51.
  5. 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版.日本動脈硬化学会,2023.
📚 脂質異常症シリーズ
第18回:食物繊維がコレステロールに効く? → 前の記事へ
第19回:食事は「和食」でいい?(The Japan Diet)(この記事)
第20回:たばこと動脈硬化/無理なく禁煙 → 次の記事へ

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