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  • 脂肪酸の種類をやさしく解説|飽和・不飽和・トランス脂肪酸とコレステロール|今治市・かとう内科

「あぶら」の種類で、体への効きかたが変わる

悪玉を上げる飽和脂肪酸・トランス脂肪酸は控えめに、魚のn-3は積極的に

 
🩸 脂質異常症シリーズ 第17回

「あぶら」の種類で、
何が違うの?
──飽和・不飽和・トランス

「あぶらは体に悪い」と言われる一方で、「オリーブオイルや魚の油は体にいい」とも聞きますよね。じつは“あぶら”にはいくつか種類があって、種類によって体への効きかたがまるで違うのです。前回の卵に続いて、今回はあぶら(脂肪酸)の種類と、上手な選び方をやさしく整理します。

この記事で答えること

「あぶらは控えめに」って言われたけど、オリーブオイルや魚は体にいいんでしょ? 結局、どのあぶらを選んで、どれを減らせばいいの?

🔑 まずここだけ押さえる
  • あぶら(脂肪酸)は、大きく飽和・一価不飽和・多価不飽和(n-3/n-6)、それにトランス脂肪酸に分かれます。
  • 悪玉(LDL)を上げやすいのは飽和脂肪酸(肉の脂身・バター・ラード・ココナッツ油など)とトランス脂肪酸。ここを減らすのが基本です。
  • 飽和脂肪酸を、魚や植物の“不飽和”に置きかえると、心臓・血管の病気が減ると報告されています。
  • 魚の油(EPA・DHA)は、中性脂肪を下げ、心臓を守るのに役立ちます。青背の魚を意識して。
  • ただし、どんなあぶらもカロリーは同じ。「不飽和だから」「オリーブ油だから」と摂りすぎないこと。

1そもそも「あぶら」って、何種類あるの?

食事からとる脂質は、大きく「脂肪(あぶら)」と「コレステロール」に分けられます。前回のコレステロールはエネルギーになりませんが、あぶら(脂肪)は大切なエネルギー源。そのあぶらをつくっている部品が脂肪酸です。

脂肪酸は、分子の中に「二重結合」という構造がいくつあるかで、次のように分けられます。むずかしい名前が並びますが、「悪玉を上げやすいか/体に役立つか」で見ると、スッキリ整理できます。

🥩 飽和脂肪酸 減らす
悪玉(LDL)を上げやすいあぶら。とりすぎ注意の代表格です。
🍖 肉の脂身・バター・ラード・生クリーム/ココナッツ油・パーム油
🫒 一価不飽和 ほどほど
オレイン酸など。比較的おだやかですが、カロリーは同じ。
🫒 オリーブ油・なたね油(キャノーラ油)など
🐟 多価不飽和 n-3 積極的に
EPA・DHAなど。中性脂肪を下げ、心臓を守る働き。
🐟 青背の魚/えごま油・あまに油・なたね油
🌽 多価不飽和 n-6 適量
リノール酸など。必須のあぶらですが、とりすぎ注意。
🌽 大豆油・コーン油・ベニバナ油など
⚠ トランス脂肪酸(マーガリン・揚げ物・菓子)は別格で控えめに

このうち「飽和脂肪酸」と「トランス脂肪酸」を減らし、魚や植物の「不飽和」に置きかえる——これが、あぶらと上手につき合う基本の考え方です。順番に見ていきましょう。

2悪玉を上げる「飽和脂肪酸」を減らそう

飽和脂肪酸は、血液中の悪玉(LDL)を上げやすいあぶらです。肉の脂身やバター、ラード、生クリームなどの動物性脂肪に多く、意外なところではココナッツ油やパーム油といった植物油にもたっぷり含まれます(「植物油=ヘルシー」とは限りません)。

📑 根拠:研究をまとめた解析では、飽和脂肪酸を減らすと心血管イベント(心筋梗塞など)が約17%減り、飽和脂肪酸を多価不飽和に置きかえると約27%減ったと報告されています。摂取エネルギーの7%未満を目安に抑えることがすすめられています。日本人の飽和脂肪酸は、肉・乳製品・油脂・菓子などから幅広くとっています。

毎日の工夫

むずかしく考えず、次のような“置きかえ”から始めるのがおすすめです。

飽和脂肪酸を減らす、ちょい替えの例
こんなとき ちょい替え
お肉を選ぶ 脂身・鶏皮を取り除く。脂の多い肉・加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコン)は控えめに。
乳製品を選ぶ 牛乳・ヨーグルト・チーズは低脂肪・無脂肪のものへ。カルシウムやたんぱくはそのままとれます。
油・お菓子 ココナッツ油・パーム油を多く使う料理や、それらを使ったケーキ・カステラ・クリーム系の菓子は控えめに。

3魚の油(EPA・DHA)は、積極的にとりたい

反対に、積極的にとりたいのが魚の油。とくに青背の魚(いわし・さば・さんま・あじなど)に多いEPA・DHA(n-3系のあぶら)は、中性脂肪を下げ、心臓の病気を防ぐのに役立つことがわかっています。

📑 根拠:研究では、n-3系のあぶらを増やすことで心筋梗塞・脳卒中・突然死が減り、中性脂肪(TG)も下がると報告されています。目安は、EPA+DHAを1日0.9g以上、または週5日以上、EPA・DHAの多い魚を50~100g。生いわし(大)1尾の食べられる部分50gで、だいたいn-3系1gがとれます。
目安:週5日以上、青背の魚を50~100g
いわし・さば・さんま・あじなど。お刺身・焼き・煮ものなら、あぶらも逃しにくいです。
⚠ ただし「魚卵」(いくら・たらこ等)はコレステロールが多め。とりすぎ注意
🚨 第10回:中性脂肪がとても高いと言われたら? →
魚の油は中性脂肪を下げる味方。中性脂肪が高いときの注意点も、あわせてどうぞ。

4トランス脂肪酸は、控えめに

あぶらの中でも“別格で気をつけたい”のがトランス脂肪酸です。悪玉(LDL)を上げて、善玉(HDL)を下げるという、ダブルでよくない働きがあり、研究では冠動脈疾患を増やすことが示されています。

多く含まれるのは、植物油に水素を加えてつくるハードタイプのマーガリン・ショートニングと、それらを使った揚げ物・スナック菓子・洋菓子など。牛肉・羊肉・乳製品にも、もともと少量含まれています。

🍩 日本人は平均では“目標内”。でも偏った食生活では超えることも
日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、平均ではWHOの目標(総エネルギーの1%未満)を下回っています。ただし、脂っこい菓子やジャンクな食事に偏っていると、平均を上回ることも。「揚げ物・スナック・菓子パンが毎日」という方は、少し見直してみましょう。

5オリーブ油・植物油も「ヘルシー=無制限」ではない

「不飽和のあぶらは体にいい」と聞くと、つい安心してたっぷり使いたくなります。でも、ここに落とし穴。あぶらは、種類が何であってもカロリーは同じです。オリーブ油もサラダ油も、とりすぎればエネルギー過剰=太るもとになります。

📑 根拠:油は小さじ1杯(約5cc・約4g)でおよそ40kcal。たとえば1日1,650kcalの方なら、これだけで約2.4%に相当します。オリーブ油や魚の油も、「体にいいから」と何にでもたっぷりかけるのは考えもの。“良い油”でも、適量が大切です。

ポイントは、あぶらは「減らす種類(飽和・トランス)」と「選びたい種類(魚のn-3など)」を意識しつつ、全体の量も摂りすぎないこと。次回は、こうした食材を毎日の食事にどう組み込むか——「和食(The Japan Diet)」のお話につなげます。

💊 第7回:中性脂肪の薬 →
食事を見直しても中性脂肪が下がりにくいとき。魚の油(EPA)のお薬の話もこちらで。
▶ 次回:食物繊維がコレステロールに効くって本当?
「食物繊維が体にいい」とよく聞くけれど、コレステロールにはどう効くの? 何をどれだけとればいい? 第18回でくわしく解説します。

6糖尿病・高血圧がある方はとくに注意

あぶらの選び方は、コレステロールだけの話ではありません。飽和脂肪酸の摂りすぎは血糖や血圧にもかかわり、魚のn-3は中性脂肪の管理にも役立ちます。糖尿病・高血圧が重なる方は、あわせてご覧ください。

🩸 糖尿病について(解説一覧) →
あぶらの質は血糖管理にも影響します。コレステロールとあわせて見直しを。
🫀 高血圧について(解説一覧) →
高血圧が重なると、心筋梗塞・脳卒中のリスクが相乗的に高まります。脂質とあわせて管理を。
🩸 コレステロールについて(解説一覧) → 基準値・検査・薬・食事から、家族性高コレステロール血症(FH)まで。
監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献
  1. 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
  2. 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会,2022.
  3. 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版.日本動脈硬化学会,2023.
  4. 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書.
📚 脂質異常症シリーズ
第16回:卵は食べてもいい? → 前の記事へ
第17回:「あぶら」の種類(この記事)
第18回:食物繊維がコレステロールに効く? → 次の記事へ

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