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卵とコレステロール、結局どう付き合えばいい?
「食べたコレステロール」がそのまま「血液中のコレステロール」になるわけではない
卵は食べてもいい?
コレステロールとの
本当の関係
「卵は1日1個まで」——昔よく言われたこのルール、じつは数年前にコレステロールの“上限値”が撤廃されました。「じゃあ、いくら食べてもいいの?」と思いますよね。でも答えは、そう単純ではありません。今回から新しい章「食事・生活習慣編」。第1回は、みんな気になる卵とコレステロールのお話です。
「卵は1日1個まで」って昔は言われたけど、今は気にしなくていいって本当? コレステロールが高い私は、卵をどうすればいいの?
- 2015年に、日本でもアメリカでも「食事のコレステロールの上限値」が撤廃されました。でも、これは「いくら食べてもいい」という意味ではありません。
- 食べたコレステロールが、そのまま血のコレステロールになるわけではないのがポイント。吸収のされ方には個人差が大きいのです。
- 血液中の悪玉(LDL)を決めているのは、おもに肝臓の“受け取り口”の数。食べた量だけで決まるわけではありません。
- とはいえ、卵やコレステロールをたくさん摂る人ほど、心臓病や死亡が増えるという大規模研究の報告もあります。
- 悪玉が高い人・動脈硬化の危険因子がある人は、卵は1日1個未満が目安。健康な人も「体にいいから」と意図的に増やす必要はありません。
1「卵は1日1個まで」はもう古い?──ルールが変わった話
かつては、コレステロールには「1日◯mgまで」という上限の目安がありました。ところが2015年、アメリカの公的な食事ガイドラインが「コレステロールは、摂りすぎを制限しなければならない栄養素ではない」として、1日300mgまでという上限を撤廃しました。
日本でも同じころ、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で、それまであったコレステロールの上限値(男性750mg/女性600mg)が撤廃されました。「卵は1日1個まで」という昔のイメージは、ここから少しずつ見直されてきたのです。
2食べたコレステロール=血のコレステロール、ではない
「卵をたくさん食べたら、その分だけ血のコレステロールが上がる」——多くの方がそう思っています。でも実際は、そう単純ではありません。食べたコレステロールが血液中のLDL(悪玉)にどれくらい反映されるかは、人によってかなり違うのです。
カギをにぎっているのは、肝臓。じつは血液中のLDLの量は、食べた量よりも、肝臓にある“LDLの受け取り口(LDL受容体)”の数で大きく決まっています。受け取り口がたくさんあれば、肝臓が血液中のLDLをどんどん回収してくれるので、血のLDLは下がります。逆に受け取り口が少ないと、回収されずに血液中にLDLがたまり、悪玉が高くなります。
3じゃあ卵はいくらでもOK?──「制限不要」と「増やしていい」は違う
ここまで読むと、「なんだ、卵は気にしなくていいんだ」と思うかもしれません。でも、ちょっと待ってください。「神経質に制限しなくてよい」ことと、「どんどん食べていい」ことは、別の話です。
大きな研究では、むしろ反対の結果も出ています。アメリカで行われた6つの研究・約3万人分のデータをまとめた解析では、コレステロールの摂取量や卵の摂取量が多い人ほど、心臓の血管の病気(冠動脈疾患)や、亡くなる割合が高いという関係が報告されました。
つまり、上限の数字が外れたからといって、意図して卵やコレステロールを増やすことは、すすめられていません。「制限不要」はあくまで“ふつうに食べる範囲なら神経質にならなくてよい”という意味で、「増量のおすすめ」ではないのです。
4結局、卵は1日何個まで?──タイプ別の目安
では実際のところ、どう付き合えばいいのでしょうか。これはその人のリスクによって変わります。健診で異常を指摘されていない人と、すでにコレステロールが高い人とでは、目安が違ってくるのです。
| タイプ | 卵・コレステロールの目安 |
|---|---|
| 健診のコレステロールが正常で、 動脈硬化の危険因子もない |
神経質に制限しなくてOK。ふつうに楽しんで大丈夫です。ただし「体にいいから」と意図的に増やす必要はありません。 |
| 高血圧・糖尿病・喫煙など、 動脈硬化の危険因子がある |
コレステロールは1日300mg未満が目安。卵だけで考えると、ほぼ1個ぶんに相当します。 |
| 悪玉(LDL)が高い (高LDL-C血症・FHの体質など) |
コレステロールは1日200mg未満が目安。卵は1日1個未満を意識し、ほかの食品ぶんも合わせて考えます。 |
もう一つ大切なのが、卵には飽和脂肪酸(あぶら)も多いこと。じつはこの飽和脂肪酸も、血の悪玉を上げる働きがあります。コレステロールの面からだけでなく、あぶらの面からも、卵の摂りすぎには少し注意——というのが、今のところの落としどころです。次回は、この「あぶらの種類」をくわしく見ていきます。
5糖尿病・高血圧がある方はとくに注意
コレステロールに、糖尿病や高血圧が重なると、動脈硬化のリスクはさらに高まります。食事の工夫は、コレステロールだけでなく血糖・血圧の管理にもつながります。あわせてご覧ください。
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
- 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
- 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書.
- 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会,2022.
- 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版.日本動脈硬化学会,2023.
- Zhong VW, et al. JAMA. 2019;321(11):1081-95.
