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  • 卵は食べてもいい?コレステロールとの本当の関係|今治市・かとう内科

卵とコレステロール、結局どう付き合えばいい?

「食べたコレステロール」がそのまま「血液中のコレステロール」になるわけではない

 
🩸 脂質異常症シリーズ 第16回

卵は食べてもいい?
コレステロールとの
本当の関係

「卵は1日1個まで」——昔よく言われたこのルール、じつは数年前にコレステロールの“上限値”が撤廃されました。「じゃあ、いくら食べてもいいの?」と思いますよね。でも答えは、そう単純ではありません。今回から新しい章「食事・生活習慣編」。第1回は、みんな気になる卵とコレステロールのお話です。

この記事で答えること

「卵は1日1個まで」って昔は言われたけど、今は気にしなくていいって本当? コレステロールが高い私は、卵をどうすればいいの?

🔑 まずここだけ押さえる
  • 2015年に、日本でもアメリカでも「食事のコレステロールの上限値」が撤廃されました。でも、これは「いくら食べてもいい」という意味ではありません。
  • 食べたコレステロールが、そのまま血のコレステロールになるわけではないのがポイント。吸収のされ方には個人差が大きいのです。
  • 血液中の悪玉(LDL)を決めているのは、おもに肝臓の“受け取り口”の数。食べた量だけで決まるわけではありません。
  • とはいえ、卵やコレステロールをたくさん摂る人ほど、心臓病や死亡が増えるという大規模研究の報告もあります。
  • 悪玉が高い人・動脈硬化の危険因子がある人は、卵は1日1個未満が目安。健康な人も「体にいいから」と意図的に増やす必要はありません。

1「卵は1日1個まで」はもう古い?──ルールが変わった話

かつては、コレステロールには「1日◯mgまで」という上限の目安がありました。ところが2015年、アメリカの公的な食事ガイドラインが「コレステロールは、摂りすぎを制限しなければならない栄養素ではない」として、1日300mgまでという上限を撤廃しました。

日本でも同じころ、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で、それまであったコレステロールの上限値(男性750mg/女性600mg)が撤廃されました。「卵は1日1個まで」という昔のイメージは、ここから少しずつ見直されてきたのです。

📌 「上限を外した」=「いくらでもOK」ではありません
上限が撤廃されたのは、「健康な人に当てはまる“ちょうどよい上限の数字”を、科学的にきっちり決めるのが難しかった」というのが大きな理由です。「コレステロールを気にしなくていい」とお墨付きが出たわけではない、という点は知っておきたいところです。動脈硬化を防ぐ立場からは、今でも「低めに抑えるのが望ましい」とされています。

2食べたコレステロール=血のコレステロール、ではない

「卵をたくさん食べたら、その分だけ血のコレステロールが上がる」——多くの方がそう思っています。でも実際は、そう単純ではありません。食べたコレステロールが血液中のLDL(悪玉)にどれくらい反映されるかは、人によってかなり違うのです。

カギをにぎっているのは、肝臓。じつは血液中のLDLの量は、食べた量よりも、肝臓にある“LDLの受け取り口(LDL受容体)”の数で大きく決まっています。受け取り口がたくさんあれば、肝臓が血液中のLDLをどんどん回収してくれるので、血のLDLは下がります。逆に受け取り口が少ないと、回収されずに血液中にLDLがたまり、悪玉が高くなります。

🍳
① 食べたコレステロールは、まず小腸から吸収される
この“吸収のされ具合”に個人差があります。少し食べただけで血のLDLが上がる人もいれば、たくさん食べてもあまり変わらない人もいます。
🫀
② 吸収されたコレステロールは、肝臓に集まる
肝臓の中にコレステロールがたまってくると、肝臓は「もう十分ある」と判断します。
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③ すると、肝臓の“受け取り口”が減る
受け取り口(LDL受容体)が減ると、肝臓が血液中のLDLを回収しきれなくなり、血のLDL(悪玉)が上がる——これが、悪玉が高くなる本当の仕組みです。
📑 根拠:血液中のLDL値を実際に調整しているのは、肝臓のLDL受容体の数(発現量)だと考えられています。食事由来のコレステロールが肝臓にたまると、ネガティブフィードバックという仕組みでこの受容体が減り、血液中のLDLが蓄積して高LDL-C血症が起こります。だからこそ、「食べた卵の数」だけで血のコレステロールが決まるわけではないのです。

3じゃあ卵はいくらでもOK?──「制限不要」と「増やしていい」は違う

ここまで読むと、「なんだ、卵は気にしなくていいんだ」と思うかもしれません。でも、ちょっと待ってください。「神経質に制限しなくてよい」ことと、「どんどん食べていい」ことは、別の話です。

大きな研究では、むしろ反対の結果も出ています。アメリカで行われた6つの研究・約3万人分のデータをまとめた解析では、コレステロールの摂取量や卵の摂取量が多い人ほど、心臓の血管の病気(冠動脈疾患)や、亡くなる割合が高いという関係が報告されました。

📑 根拠:2019年に発表された約29,600人を対象にした解析では、食事のコレステロール摂取量・卵の摂取量と、冠動脈疾患の発症や総死亡率との間に「多いほどリスクが高い」という正の相関がみられました。日本人はもともと、欧米にくらべて卵からのコレステロール摂取の割合が大きいこともわかっています。

つまり、上限の数字が外れたからといって、意図して卵やコレステロールを増やすことは、すすめられていません。「制限不要」はあくまで“ふつうに食べる範囲なら神経質にならなくてよい”という意味で、「増量のおすすめ」ではないのです。

4結局、卵は1日何個まで?──タイプ別の目安

では実際のところ、どう付き合えばいいのでしょうか。これはその人のリスクによって変わります。健診で異常を指摘されていない人と、すでにコレステロールが高い人とでは、目安が違ってくるのです。

中くらいの卵 1個 ≒ コレステロール 約250mg
卵は、コレステロールがぎゅっと詰まった食材。だから「何mgまで」を考えるとき、卵は大きなウェイトを占めます。
あなたはどのタイプ? 卵・コレステロールの目安
タイプ 卵・コレステロールの目安
健診のコレステロールが正常で、
動脈硬化の危険因子もない
神経質に制限しなくてOK。ふつうに楽しんで大丈夫です。ただし「体にいいから」と意図的に増やす必要はありません。
高血圧・糖尿病・喫煙など、
動脈硬化の危険因子がある
コレステロールは1日300mg未満が目安。卵だけで考えると、ほぼ1個ぶんに相当します。
悪玉(LDL)が高い
(高LDL-C血症・FHの体質など)
コレステロールは1日200mg未満が目安。卵は1日1個未満を意識し、ほかの食品ぶんも合わせて考えます。
⚠ 悪玉が高い人は卵1日1個未満が目安 ⚠ 卵黄は飽和脂肪酸も多め

もう一つ大切なのが、卵には飽和脂肪酸(あぶら)も多いこと。じつはこの飽和脂肪酸も、血の悪玉を上げる働きがあります。コレステロールの面からだけでなく、あぶらの面からも、卵の摂りすぎには少し注意——というのが、今のところの落としどころです。次回は、この「あぶらの種類」をくわしく見ていきます。

🥚 こわがりすぎないで、でも“なんとなく毎日2~3個”は見直しを
卵はたんぱく質やビタミンも豊富な、すぐれた食材です。健診で問題のない方が、料理に使う卵を一つひとつ数えてピリピリする必要はありません。気をつけたいのは、「健康のために」と意図的に毎日たくさん食べているケースや、すでにコレステロールが高いと言われているケース。心当たりがあれば、一度ご相談ください。
▶ 次回:「あぶら」の種類で、何が違うの?
飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸・トランス脂肪酸……名前は聞くけれど、何がどう体に効くの? 第17回は、あぶらの種類と上手な選び方をやさしく解説します。

5糖尿病・高血圧がある方はとくに注意

コレステロールに、糖尿病や高血圧が重なると、動脈硬化のリスクはさらに高まります。食事の工夫は、コレステロールだけでなく血糖・血圧の管理にもつながります。あわせてご覧ください。

🩸 糖尿病について(解説一覧) →
コレステロールに糖尿病が重なると、リスクはぐっと高まります。あわせて管理を。
🫀 高血圧について(解説一覧) →
高血圧が重なると、心筋梗塞・脳卒中のリスクが相乗的に高まります。脂質とあわせて管理を。
🩸 コレステロールについて(解説一覧) → 基準値・検査・薬・食事から、家族性高コレステロール血症(FH)まで。
📊 第1回:コレステロールの基準値 →
そもそも、コレステロールの数字はいくつから気にすべき? シリーズの出発点をおさらい。
監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献
  1. 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
  2. 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書.
  3. 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会,2022.
  4. 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版.日本動脈硬化学会,2023.
  5. Zhong VW, et al. JAMA. 2019;321(11):1081-95.
📚 脂質異常症シリーズ
第1回:コレステロールの基準値 → 記事を読む
第15回:まぶた・目・アキレス腱のサイン → 前の記事へ
第16回:卵は食べてもいい?(この記事)
第17回:「あぶら」の種類 → 次の記事へ

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