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見た目で気づける「コレステロールのサイン」
50歳より前の角膜輪・アキレス腱の腫れは家族性高コレステロール血症(FH)を疑う
まぶたの黄色いできもの・
目の白い輪・アキレス腱の腫れ
──見た目に出る「体質のサイン」
コレステロールの異常は、ふだん痛みもかゆみもありません。でもときどき、からだの“見た目”に手がかりが現れることがあります。まぶたの黄色いできもの、黒目のまわりの白い輪、分厚くなったアキレス腱——。これらは、生まれつき悪玉が高い体質「FH」を見つける大切なサイン。シリーズ最終回は、自分や家族で気づける「体のサイン」のお話です。
まぶたに黄色いできものがあります/目のふちに白い輪が/アキレス腱が太い気がします。これってコレステロールと関係あるの?
- コレステロールの体質は、まぶた・目・アキレス腱・手などに“見た目”のサインを出すことがあります。
- とくに50歳より前の「角膜輪(目の白い輪)」、分厚い「アキレス腱」は、生まれつき悪玉が高い体質(FH)の重要な手がかりです。
- アキレス腱の腫れ(腱黄色腫)は、FHを見つける最も大切なサイン。さわるだけで気づけます。
- 小さいころから皮膚に黄色いコブがある場合は、最重症型(FHホモ接合体)を強く疑います。
- 日本ではFHの大多数が見逃されています。サインに気づいて受診することが、診断の第一歩です。
1見た目で気づける「コレステロールのサイン」
コレステロールの異常そのものは、症状がほとんどありません。だからこそ、からだに現れる“見た目のサイン”は貴重な手がかりです。とくに、生まれつき悪玉(LDL)が高い体質「家族性高コレステロール血症(FH)」では、コレステロールが皮膚や腱、目にたまって、特徴的なサインを残すことがあります。代表的な4か所を、図で見てみましょう。
2目の白い輪(角膜輪)──50歳より前なら要注意
黒目のふちに、ぐるりと灰白色や黄色っぽい輪が見えることがあります。これを角膜輪といいます。加齢でできるものは「老人環」と呼ばれ、高齢の方では珍しくなく、コレステロールとは無関係のことが多いです。
でも、50歳より前に、くっきりとした角膜輪が見えたときは話が別。生まれつき悪玉が高い体質(FH)の可能性が高く、くわしい検査をすすめます。角膜輪は痛みも視力への影響もなく、いったんできると自然には消えません。鏡で目のふちをよく見て、白い輪に気づいたら、年齢とあわせて気にかけてみてください。
3アキレス腱の腫れ──FHを見つける一番のサイン
シリーズを通して何度か登場したアキレス腱の腫れ(腱黄色腫)。じつはこれが、FHを見つけるうえで最も大切な身体のサインです。アキレス腱にコレステロールがたまって、分厚くなります。レントゲンや超音波で、厚さを数字で測ることもできます。
4そのほかの「黄色いサイン」──種類で原因が違う
コレステロールや中性脂肪のたまり方によって、黄色腫(黄色いできもの)にもいくつか種類があります。どこに・どんな形で出るかで、背景の体質のヒントになります。
| サイン | 背景に疑うもの |
|---|---|
| 結節性皮膚黄色腫 (ひじ・ひざ・お尻などのコブ) |
小さいころから出る場合は、FHの最重症型(ホモ接合体)やシトステロール血症を強く疑います。早急な専門受診を。 |
| 発疹性黄色腫 (全身に小さな黄色いブツブツ) |
中性脂肪(TG)が極端に高いときのサイン。すい炎の危険ともつながります(第10回参照)。 |
| 手掌線状黄色腫 (手のひらのしわに沿った黄色い線) |
家族性III型高脂血症に特徴的。治療によく反応し、脂質が正常化すると消えることも。 |
5サインに気づいたら──それが診断の第一歩
FHは、見つけて早く治療すれば、心筋梗塞などのリスクを大きく下げられる体質です。ところが、日本ではFHの大多数が見逃されたまま。診断されている人は、推定患者の1%にも満たないと報告されています。その大きな理由のひとつが、「サインに気づかれていない」ことなのです。
- コレステロール(とくに悪玉)が高いと言われている
- まぶたや皮膚に、黄色いできもの・コブがある
- 50歳より前なのに、目のふちに白い輪がある
- アキレス腱が分厚い・左右で太さが違う気がする
- 血のつながった家族に、コレステロールが高い人・若くして心筋梗塞や突然死した人がいる
こうしたサインは、あなた自身やご家族が最初に気づけるものばかりです。当院では、コレステロールが高い方のアキレス腱の触診や、身体のサインの確認をていねいに行い、FHの拾い上げに努めています。気になるサインがあれば、まずは受診のきっかけにしてください。検査・診断・日常の管理は当院で行い、より高度な専門治療が必要な場合は適切な施設へご紹介します。
6糖尿病・高血圧がある方はとくに注意
こうした体質のサインがある方に、糖尿病や高血圧が重なると、動脈硬化のリスクはさらに高まります。コレステロールとあわせて、全身のリスクを管理することが大切です。あわせてご覧ください。
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
- 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
- 日本動脈硬化学会 FH診療ガイドライン作成委員会:成人家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022.日本動脈硬化学会,2022.
- 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版.日本動脈硬化学会,2023.
- Nordestgaard BG, et al. Eur Heart J. 2013;34(45):3478-90a.
- Ono T, et al. JMA J. 2020;3(1):73-4.
