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Lp(a)は「生活では変わりにくい」体質のリスク
50mg/dL以上は高Lp(a)血症、一生に一度は測ることがすすめられる
2026.09.18 更新
Lp(a)(エルピーエー)が
高いと言われたら?
──生活では変わりにくい「体質のリスク」
「Lp(a)(エルピーエー)」——聞き慣れない方がほとんどだと思います。でもこれは、悪玉(LDL)とは別に、動脈硬化や心筋梗塞のリスクになる“隠れた脂質”。しかも食事や運動ではほとんど変わらない「体質」で決まります。だからこそ、一生に一度は測る価値があり、いま世界中で新しい薬の開発が進んでいます。今回はそのLp(a)のお話です。
Lp(a)(エルピーエー)が高いと言われました。これは何? 悪玉と違うの? 生活で下げられる? 薬はあるの?
- Lp(a)は、悪玉(LDL)とは別の、独立した動脈硬化のリスク。心筋梗塞・脳梗塞・大動脈弁狭窄症などと関係します。
- 血中の値の約9割が「体質(遺伝)」で決まり、食事や運動ではほとんど変わりません。
- 目安として50mg/dL以上で「高Lp(a)血症」、30~50は境界域。値が高いほどリスクが上がります。
- 体質で決まるので、一生に一度は測っておくことがすすめられています。
- Lp(a)を標的とする新薬は開発・検証の段階です。検査値を下げる効果と、心筋梗塞などを減らす効果は分けて確認する必要があります。当面は悪玉やほかのリスクを厳しく管理します。
1Lp(a)は「生活では変わりにくい」体質のリスク
Lp(a)(リポ蛋白(a))は、悪玉(LDL)に「アポ(a)」という特殊な部品がくっついた粒子です。悪玉に似ていますが、別物。そして最大の特徴は、血中の値の約9割が生まれつきの体質で決まるということ。つまり、食事を見直しても、運動をがんばっても、Lp(a)自体はほとんど下がりません。
「じゃあ、測っても仕方がないのでは?」と思うかもしれません。でも逆です。体質で決まって一生ほぼ変わらないからこそ、一度測れば一生の参考になるのです。海外のガイドラインでは「一生に一度はLp(a)を測ろう」とすすめられています。測らないことが、動脈硬化リスクの“見落とし”につながるからです。
※単位(mg/dL)は測り方によって差が出ることがあり、あくまで目安です。
2なぜLp(a)が高いと危ないの?──3つの働き
Lp(a)は、悪玉と似た“動脈硬化を進める働き”に加えて、もう一つやっかいな性質を持っています。それは血を固まりやすくする(血栓を作りやすくする)こと。大きく3つの働きで動脈硬化と血管の事故を後押しします。
3家族性高コレステロール血症(FH)の方はとくに
生まれつき悪玉が高い体質「家族性高コレステロール血症(FH)」の方は、Lp(a)も高いことが報告されています。FHにLp(a)の高さが重なると、動脈硬化のリスクがさらに上乗せされます。つまり「体質のリスクが二重」になっている状態です。FHと言われた方、家族に若くして心筋梗塞・突然死した人がいる方は、Lp(a)もあわせて確認しておく価値があります。
4下げる薬はある?──「いまできること」と「これから」
Lp(a)を標的とした新薬は、まだ開発・検証の段階です。生活でも変わりにくい——では、どうすればよいのでしょうか。答えは、「Lp(a)以外のリスクを、いつもより厳しく管理する」です。Lp(a)が高い分、悪玉(LDL)・血圧・血糖・喫煙といった“下げられるリスク”を、しっかりコントロールして全体の危険を減らします。
2026年9月:Lp(a)HORIZONでは心血管イベントの減少を証明できず
2026年9月4日、Novartis社は、Lp(a)を標的とする開発中の薬pelacarsen(ペラカルセン)の第III相試験「Lp(a)HORIZON」の速報を発表しました。すでに心血管疾患があり、Lp(a)が高い8,323人を対象に、標準治療に薬またはプラセボを追加して比較した試験です。
pelacarsenはLp(a)を低下させましたが、心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・入院を伴う緊急の冠血行再建を合わせた主要評価項目を、プラセボより統計学的に有意に減らすことはできませんでした。現時点では企業のトップライン発表で、詳しい結果は今後公表される予定です。
大切なのは、「血液検査のLp(a)が下がること」と「実際に心筋梗塞などが減ること」は、分けて確かめる必要があるという点です。今回の結果は、pelacarsenを用いたこの試験で予防効果を証明できなかったというもので、Lp(a)が心血管疾患のリスク因子であることや、ほかの薬による治療の可能性まで否定するものではありません。新薬への期待だけに頼らず、LDLコレステロール・血圧・血糖の管理と禁煙など、いま対応できるリスクを整えることが引き続き大切です。
参考:Novartis:Lp(a)HORIZON第III相試験のトップライン結果(2026年9月4日)。試験登録:NCT04023552。
5当院でできること
当院では、Lp(a)が高い方について、ほかの動脈硬化リスク(悪玉・血圧・血糖・喫煙)の評価と管理を行います。とくに、すでに心筋梗塞や脳梗塞を経験された高Lp(a)の方は再発しやすいため、リスクのフォローアップと、下げられるリスクの厳格な管理が大切です。「Lp(a)って何? 測ったことがない」という方は、一度ご相談ください。一生に一度の測定が、将来の心臓・血管を守る手がかりになります。
6糖尿病・高血圧がある方はとくに注意
Lp(a)が高い方に糖尿病や高血圧が重なると、動脈硬化のリスクはさらに高まります。Lp(a)は下げにくいぶん、下げられるリスク(血糖・血圧)をしっかり管理することが、とても大切です。あわせてご覧ください。
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
- 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
- Kronenberg F, et al. Eur Heart J. 2022;43(39):3925-46.
- Willeit P, et al. Lancet. 2018;392(10155):1311-20.
- Shishikura D, et al. J Atheroscler Thromb. 2025;32(1):100-10.
- 日本動脈硬化学会:Lp(a)検査値標準化ツール.
- Novartis. Lp(a)HORIZON第III相試験トップライン結果の発表(2026年9月4日、公式発表).ClinicalTrials.gov:NCT04023552.※企業のトップライン発表であり、査読論文は執筆時点で未公表.
