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  • コレステロール(LDL)が低すぎると言われたら?|今治市・かとう内科

コレステロールが低いと言われたら、まず「別の病気」を確認する

急に下がったときは、ほかの病気が隠れていないか確認する

 
🩸 脂質異常症シリーズ 第12回

コレステロール(LDL)が
「低すぎる」と言われたら?
──低いのは、いつも良いこと?

「コレステロールが低い」と聞くと、ふつうは“いいこと”のように思えます。実際、悪玉(LDL)は低めのほうが動脈硬化には有利。でも、急に下がったときや、極端に低いときは、別の病気や、生まれつきの体質が隠れていることがあります。今回は「低すぎる」と言われたときに、何を確認すればよいかを整理します。

この記事で答えること

健診でコレステロール(LDL)が低すぎると言われました。低いのは良いことだと思っていたのに、何か心配なことがあるの?

🔑 まずここだけ押さえる
  • 悪玉(LDL)が70mg/dL未満だと「低LDLコレステロール血症」。多くは心配いりませんが、確認すべきことがあります。
  • 大切なのは「以前から低い」か「最近下がった」か。急に下がったときは、別の病気が隠れていないかを確認します。
  • 背景になりうる病気:甲状腺の働きすぎ、重い肝臓の病気、悪性腫瘍、低栄養、吸収不良など(二次性)。
  • ごくまれに、生まれつきコレステロールが作れない・運べない体質(FHBL・ABLなど)があり、重症型では神経や目に症状が出ます。
  • 当院は原因の見極めの“入口”。体質が疑われる重症例は専門医へご紹介します。

1コレステロールが低いと言われたら、まず「別の病気」を確認する

悪玉(LDL)コレステロールは、70mg/dL未満で「低い」と判断します(50未満をより低いとする考え方もあります)。動脈硬化の観点では、悪玉は低めのほうが有利。だから、もともと低い人の多くは心配いりません。

でも、ここで大切なのが「以前から低い」のか「最近になって下がった」のかという視点です。とくに急に下がったときは、その裏に別の病気が隠れていないかを確認します。コレステロールが低くなる「別の病気(二次性)」には、次のようなものがあります。

コレステロールを下げる「別の病気」の代表例(二次性)
背景にある病気・状態 ひとこと
甲状腺機能亢進症
(バセドウ病など)
甲状腺が働きすぎると、コレステロールがどんどん使われて低くなります。動悸・体重減少・汗かきなどが手がかり。
重い肝臓の病気 肝臓はコレステロールの工場。働きが落ちると作られる量が減ります。
悪性腫瘍(がん) 急にコレステロールが下がったときは、念のため考えるべき可能性のひとつです。
低栄養・吸収不良 やせ、食事がとれていない、腸の吸収が悪いなど。
🔎 ここを見ています
当院では、コレステロールが低い方には、「いつから低いか」をうかがい、必要に応じて甲状腺・肝臓・栄養状態(アルブミンなど)・炎症の検査を確認します。とくに「健診のたびに少しずつ下がってきた」「急にガクッと下がった」ときは、ていねいに原因を探ります。

2生まれつきの「体質」のことも(原発性)

別の病気が見当たらず、ずっと前からコレステロールが低い場合は、生まれつきの体質(原発性)を考えます。これはまれですが、いくつかのタイプがあります。やさしく整理します。

生まれつきコレステロールが低い「体質」(原発性低LDL-C血症)
体質の名前 特徴のヒント
家族性低βリポ蛋白血症
(FHBL)
軽いタイプ(ヘテロ)は無症状で、むしろ動脈硬化が少ないことも。血のつながった家族にも低い人がいるのが手がかり。脂肪肝を伴うことがあります。
カイロミクロン停滞病 乳幼児期から、脂肪性の下痢・吐き気・成長の遅れが出るまれな体質。
無βリポ蛋白血症
(ABL・指定難病264)
最重症型。脂肪やビタミンを運べず、慢性の下痢・成長障害・目や神経の症状が出ます。早期の治療が必要です。
📑 なぜ重症型は症状が出る?:ABLや重いFHBLでは、脂肪を運ぶ仕組みそのものが働かないため、脂溶性ビタミン(とくにビタミンEやA)が不足します。その結果、目(網膜)や神経に重い症状が出ることがあります。これらは脂肪を控える食事と、ビタミンの大量補充が唯一の治療法となるため、早期発見・早期治療が重要です。下痢を伴う重い低コレステロールでは、こうした体質も念頭に置きます。

逆に、軽いタイプのFHBLは無症状で、むしろ動脈硬化が少なく長生きにつながる、という報告もあります。つまり「コレステロールが低い体質」も、軽いものから重いものまで幅があるのです。

⚠ 下痢を伴う重い低値は精査 ✓ 近親者の低値も手がかり ✓ 軽症は無症状のことも

3どれくらい低いと、くわしく調べる?

低さの程度も判断の目安になります。極端に低い(とくにLDL 15mg/dL未満など)場合は、重症型の体質(ABL・FHBLホモ接合体)が疑われ、専門的な検査が必要になります。

70以上
基準内です。
70未満
低LDLコレステロール血症。まず「別の病気」がないかを確認。
きわめて低い
重症型の体質を疑い、専門的な検査へ。下痢や神経・目の症状にも注意。
🧪 測り方にもコツがある
コレステロールがとても低い領域では、ふだんの計算方法(Friedewald式)や直接測定が不正確になることがあると知られています。だから、極端に低い値のときは、測り方も含めてていねいに評価します。

4当院でできること・専門へつなぐ目安

当院では、健診などで見つかった低コレステロールについて、「いつから低いか」の確認と、別の病気(甲状腺・肝臓・栄養・がんなど)の見極めを担当します。多くの方は、もともとの体質や、改善できる原因によるもので、過度な心配はいりません。

一方で、別の病気が否定的で、生まれつきの体質(原発性)が疑われる場合や、極端に低く、下痢・神経・目の症状を伴う重症型が疑われる場合は、専門的な検査・治療が必要になるため、専門医へご紹介します。「低いから安心」と決めつけず、まずは“なぜ低いのか”を一緒に確認しましょう。

▶ 次回:HDL(善玉)が「高すぎる」と言われたら?
第11回では善玉が“低い”話をしました。次回は逆に、善玉が“高すぎる”とき。「善玉は高いほど良い」という思い込みの落とし穴を解説します。(準備中)

5糖尿病・高血圧がある方へ

コレステロールが低いこと自体は、糖尿病・高血圧の管理に直接の問題にはなりにくいのですが、背景の病気(甲状腺・肝臓など)はこれらと関わることがあります。全身の状態を一緒にみていくことが大切です。あわせてご覧ください。

🩸 糖尿病について(解説一覧) →
血糖や全身の状態とあわせて、脂質のバランスをみていきます。
🫀 高血圧について(解説一覧) →
動脈硬化のリスク全体を、血圧とあわせて管理します。
🩸 コレステロールについて(解説一覧) → 基準値・検査・薬・食事から、家族性高コレステロール血症(FH)まで。
監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献
  1. 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
  2. 日本動脈硬化学会 編:低脂血症の診断と治療 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版.日本動脈硬化学会,2023.
  3. Bredefeld C, et al. J Clin Lipidol. 2022;16(6):797-812.
  4. Hartz J, et al. J Clin Lipidol. 2019;13(3):367-73.
  5. Wakabayashi T, et al. J Atheroscler Thromb. 2024;31(7):1005-23.
📚 脂質異常症シリーズ
第11回:HDL(善玉)が低いと言われたら? → 前の記事へ
第12回:コレステロールが低すぎると言われたら?(この記事)
第13回:HDL(善玉)が高すぎると言われたら?(準備中)→ 次の記事へ

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