今治の内科|糖尿病・睡眠時無呼吸症候群・いびき外来・禁煙外来に対応。土曜日も診療しています。
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中性脂肪が高いと言われたら、まず「どれくらい高いか」を見る
1,000mg/dLを超えると「急性すい炎」の危険が顔を出す
中性脂肪(TG)が
とても高いと言われたら?
──じつは「すい炎」の危険サインかも
「中性脂肪が高い」と聞くと、なんとなく“太っているから”くらいに思いがちです。でも、ある値を超えると、中性脂肪は動脈硬化だけでなく急性すい炎という、命にかかわる別の危険を連れてきます。逆に、ほどほどの高さなら別の意味を持ちます。今回は「中性脂肪がどれくらい高いか」で意味がガラッと変わる、というお話です。
健診で中性脂肪(TG)がとても高いと言われました。何が危ないの? どれくらい高いとまずいの? お酒や食事のせい?
- 中性脂肪は「どれくらい高いか」で意味が変わります。ほどほどの高さと、桁違いの高さは別物です。
- 1,000mg/dLを超えるような重度では、急性すい炎という命にかかわる危険があります。500~1,000を超えたら要注意。
- そこまでではないマイルドな高さでも、動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)のリスクになります。
- 原因は「体質(遺伝)」に「環境(食べすぎ・お酒・肥満・糖尿病・薬など)」が重なって悪化。まず環境の見直しが基本です。
- 若いころからの極端な高さ、繰り返すすい炎、血のつながった結婚の家族歴などがあると、まれな体質(原発性高カイロミクロン血症=指定難病)も考え、専門医へご紹介します。
1中性脂肪が高いと言われたら、まず「どれくらい高いか」を見る
中性脂肪(トリグリセライド=TG)は、食事のあぶらや、体の中で作られる脂が血液を運ばれる姿です。高くなる原因の多くは食べすぎ・お酒・肥満などですが、大切なのは“高さの程度”です。同じ「高い」でも、ほどほどなのか、桁違いなのかで、心配することがまったく変わってきます。
つまり、中性脂肪の高さには2つの顔があります。下の図のように、ざっくり分けて考えると整理しやすくなります。
2重度のとき──「急性すい炎」という別の危険
中性脂肪が桁違いに高くなると、血液の中に大きな脂の粒(カイロミクロン)がたまります。これがすい臓で分解されるときに出る物質が、すい臓そのものを傷つけ、急性すい炎を引き起こすことがあります。急性すい炎は、みぞおちや背中に激しい痛みが出て、ときに入院・集中治療が必要になる、けっして軽くない病気です。
ですから重度の高中性脂肪では、動脈硬化よりも先に、まず「すい炎を起こさせない」ことが治療の目標になります。具体的には、TG 1,000mg/dL以下を目指して、少しでも値を下げていきます。
若いころからの「桁違い」は、まれな体質かも
とくに、幼いころや若いうちから中性脂肪が極端に高い、すい炎を繰り返す、お薬を使ってもなかなか下がらない、血のつながった者どうしの結婚が家族にある——こうした場合は、原発性高カイロミクロン血症という、まれな体質(指定難病262)の可能性があります。脂を分解する酵素(LPL)やその仲間の遺伝子の生まれつきの不具合が原因で、こうした方は専門的な検査と管理が必要になるため、当院では専門医へご紹介します。
3マイルドな高さでも──動脈硬化のリスクになる
「すい炎を起こすほどではない」高さでも、安心はできません。ほどほどに高い中性脂肪は、じわじわと動脈硬化を進めることが、多くの研究からわかってきています。中性脂肪が高い人は、ほかの脂質のバランスも崩れやすく(善玉HDLが低い・質の悪い小型LDLが増えるなど)、それも動脈硬化を後押しします。
マイルドな高中性脂肪では、中性脂肪そのものだけでなく、血圧・血糖・喫煙・LDL(悪玉)といった、ほかの動脈硬化リスクもまとめて管理することが大切です。中性脂肪が高い方の薬(フィブラートやEPAなど)については、シリーズの治療編でくわしく解説しています。
4なぜ高くなる?──「体質」に「生活」が重なる
高中性脂肪は、生まれつきの体質(一次性)に、生活・環境の要因(二次性)が重なって悪化します。つまり、多くの方は「下げられる余地」があるということ。とくに次のような環境要因は、見直すことで中性脂肪が大きく改善します。
| 要因 | ひとこと |
|---|---|
| 食べすぎ | とくにあぶら・炭水化物(糖質)のとりすぎ。甘いものや清涼飲料も効きます。 |
| お酒 | 飲酒は中性脂肪を上げやすい代表。節酒で目に見えて下がる人も多いです。 |
| 肥満 | 内臓脂肪が増えると中性脂肪も上がりやすくなります。 |
| 糖尿病 | 血糖のコントロールが悪いと中性脂肪も上がります。糖尿病の治療で改善することも。 |
| 薬・その他 | ステロイド、一部のホルモン剤、妊娠など。背景として確認します。 |
5当院でできること・専門医へつなぐ目安
当院では、健診などで見つかった高中性脂肪について、「どれくらい高いか」の見極め、原因さがし(お酒・食事・糖尿病など)、日常の管理を担当します。マイルドな高中性脂肪は、生活の見直しと、必要に応じたお薬で管理していきます。
一方で、TGが500~1,000mg/dLを超えてコントロールに難渋する場合や、急性すい炎を繰り返す場合、若いころからの極端な高値で原発性高カイロミクロン血症が疑われる場合は、専門的な検査・管理が必要になるため、適切な専門施設へご紹介します。「中性脂肪が高いだけ」と放置せず、まずは“どの顔の高さなのか”を一緒に確かめましょう。
6糖尿病・高血圧がある方はとくに注意
中性脂肪が高い方は、糖尿病や高血圧を併せ持っていることがとても多いです。これらが重なると、動脈硬化のリスクは大きく高まります。中性脂肪は糖尿病の治療で改善することも多いので、あわせてご覧ください。
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
- 小倉正恒 編:新装改訂版 見直し!脂質異常症.日本医事新報社,2026.
- 日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会,2022.
- 難病情報センター:原発性高カイロミクロン血症(指定難病262).
- Bhatt DL, et al. N Engl J Med. 2019;380(1):11-22.(REDUCE-IT/EPA)
- 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「原発性脂質異常症に関する調査研究班」資料.
