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高血圧性臓器障害の診断と治療

脳・心臓・腎臓・血管・認知機能を守る「降圧目標」と「薬の選び方」

高血圧 臓器障害・合併症 かとう内科(愛媛県今治市)

2026.08.15 更新 脳出血後の長期的な血圧管理について、2026年8月に『The Lancet Neurology』で公表されたRECAP-ICH(個人参加者データメタ解析)の結果を「脳」の章へ追加しました。

高血圧の本当のこわさは、血圧の数字そのものではなく、長い年月をかけて脳・心臓・腎臓・血管を静かに傷めていくことにあります。そして、いったん臓器が傷み始めると、その合併症ごとに「どこまで下げるか」「どの薬を選ぶか」が変わってきます。この記事は、JSH2025の第9章にもとづき、臓器障害を合併した高血圧の治療を、SPRINT・PROGRESS・CASE-J・PARAGON-HFといった具体的な臨床試験名とともに、専門医の視点で網羅的に解説します。ネット上ではほとんど見られない深さです。各臓器の「降圧目標」と「第一選択薬」の根拠を、フォレストプロット(メタ解析の図)まで再現してお見せします。

この記事でわかること
  • 脳:脳卒中のあとは130/80未満まで下げる(再発予防の根拠:CQ8)+脳出血後の長期二次予防に関する2026年最新研究RECAP-ICH
  • 心臓:心肥大・狭心症・心筋梗塞後・心不全(HFrEF/HFpEF)・心房細動それぞれの薬の選び方(表9-2・CQ9)
  • 腎臓:CKDの降圧目標と第一選択(蛋白尿のあり/なしで変わる:表9-3・CQ10・CQ11)、カリウム上昇への対処(表9-4)
  • 血管:大動脈瘤・大動脈解離・末梢動脈疾患(PAD)の管理
  • 認知機能:中年期の高血圧は将来の認知症リスク

🧠 脳 ― 脳卒中のあとは「130/80未満」まで下げる

脳は高血圧の標的臓器の代表です。高血圧は脳梗塞・脳出血・くも膜下出血のいずれの最大の危険因子でもあります。一度脳卒中を起こした人は再発しやすく、その予防のためにしっかり下げることが極めて重要です。

脳卒中の慢性期 ― 薬の選び方

慢性期の降圧では、PROGRESS試験でACE阻害薬+利尿薬の組み合わせが脳血管障害の再発を抑え、認知症発症の予防効果も示唆されました。MOSES試験では同程度の降圧でも一次エンドポイント(全死亡・心血管/脳血管イベント)がCa拮抗薬よりARBで有意に少なく、ONTARGET試験ではACE阻害薬に対するARBの非劣性が示されました。これらをふまえ、JSH2025は脳血管障害の臨床病型を問わずCa拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・利尿薬を推奨します(過度の降圧を除き、これらは脳血流を減らしません)。くも膜下出血の慢性期は脳出血に準じます。

「症状のない」脳の病変も見逃さない

症状のないラクナ梗塞、大脳白質病変、微小脳出血(マイクロブリード)は、加齢と並んで高血圧が最大の危険因子であり、これらの存在・進展は将来の脳卒中や認知機能低下の独立した危険因子です。これらを合併する高血圧では、24時間血圧でのnon-dipper・riser(夜間に下がらない/上がる)やモーニングサージが危険因子となるため、24時間を通した降圧と早朝の血圧管理が重要です。無症候性の頸動脈狭窄や未破裂脳動脈瘤も脳血管障害の高リスク群で、くも膜下出血の家族歴や未破裂動脈瘤があれば積極的な降圧が推奨されます。

CQ
8
脳卒中の既往がある高血圧患者の降圧目標は130/80mmHg未満とするか?

→ 脳卒中の既往がある人では、再発予防のために収縮期血圧130mmHg未満への降圧を強く推奨します(ただし血圧低下に伴う有害事象に注意)。

推奨の強さ 1 / エビデンスの強さ A / 合意率 100%

脳卒中既往者を対象に積極降圧と標準降圧を比べた7件のRCT(SPS3・PAST-BP・PODCAST・RESPECT・PRESERVE・ESPRITほか)のメタ解析では、積極降圧で脳卒中再発が21%減少(RR 0.79)。とくに脳出血の再発は67%減少(RR 0.33)と大きく、脳心血管病全体も14%減少しました(RR 0.86)。一方で、下げることによる低血圧関連症状(失神・ふらつき)は増加(RR 1.30)したため、下げ過ぎへの注意も必要です。

図:脳卒中既往者の積極降圧 vs 標準降圧(統合値・相対リスクと95%信頼区間)
ダイヤが左(<1)=積極降圧で良い/右(>1)=増える。赤は「増える(害)」を表す。
脳卒中 再発
 
 
 
 
0.79 [0.65–0.96]
脳梗塞 再発
 
 
 
 
0.87 [0.71–1.08]
脳出血 再発
 
 
 
 
0.33 [0.15–0.74]
脳心血管病
 
 
 
 
0.86 [0.76–0.97]
低血圧関連症状
 
 
 
 
1.30 [1.00–1.68]
 
0.10.51210
 
 
← 積極降圧で良い標準降圧で良い →
 

出典:JSH2025 第9章「1. 脳血管障害」・CQ8(図CQ8-1~8-3、文献914ほか/PROGRESS・MOSES・ONTARGET)

2026年最新研究:脳出血後の長期降圧で再発を減らせるか ― RECAP-ICH

上のCQ8は「脳卒中既往者全般」を対象とした根拠でしたが、2026年8月、その中でもとくに脳出血(脳内出血)を経験した方の長期的な血圧管理に焦点を当てた重要な査読論文が『The Lancet Neurology』に公表されました。RECAP-ICHと呼ばれるこの研究は、4件の無作為化比較試験に参加した自然発症脳出血の既往者2,944人の個人データを統合し、強化降圧(1,487人)と対照(1,457人)を比較した個人参加者データメタ解析です。脳卒中の再発予防、つまり二次予防のための研究です。

⚠️ この研究が扱ったのは「発症直後」の治療ではありません

この研究は、脳出血発症直後の血圧をどこまで下げるかを調べた研究ではありません。発症から無作為化までの時期データが得られた試験では、初回脳出血から無作為化までの中央値は81日(四分位範囲34~256日)であり、主に急性期を過ぎた後の長期的な再発予防を検討した研究です。発症直後の血圧管理(血腫拡大を防ぐ超急性期の治療など)は、救急・脳卒中専門医療の別の基準で行われます。また、脳梗塞の急性期や血栓溶解療法・血栓回収療法の前後の血圧管理、くも膜下出血の急性期治療とも異なります。一般の高血圧患者さん全員に、今回の数値をそのまま当てはめることもできません。

表:RECAP-ICHの研究概要
項目 内容
研究の種類 4件のRCTを統合した個人参加者データメタ解析(系統的レビュー)
対象 自然発症脳出血の既往者2,944人(強化降圧群1,487人・対照群1,457人)
治療時期 初回脳出血から無作為化まで中央値81日(時期データが得られた試験での値)。急性期を過ぎた後の管理
追跡期間 中央値42か月(四分位範囲24~66か月)
血圧差 追跡中の収縮期血圧の平均群間差 11.2mmHg
主要評価項目 最初の再発脳卒中
情報の段階 査読済み原著論文(ガイドライン改訂そのものではない)

※「中央値81日」は参加者が治療研究に組み入れられた時期の実態であり、「脳出血から81日後に治療を始めるべき」という意味ではありません。

参加者の平均年齢は59.6歳、女性が33.0%、アジア人が75.3%を占めました。追跡中の収縮期血圧は、強化降圧群で平均約127mmHg、対照群で約138mmHgでした。ここで大切な注意があります。127mmHgと138mmHgは、試験中に各群で観察された平均血圧であり、「脳出血後は全員127mmHgを目標にする」という意味ではありません。

表:既存のJSH2025 CQ8メタ解析との違い
項目 JSH2025 CQ8のメタ解析 RECAP-ICH(2026年)
主な対象 脳卒中既往者全般(脳梗塞・脳出血など) 自然発症脳出血の既往者の個人データ
主な目的 脳卒中後の降圧目標全般 脳出血後の長期二次予防
位置づけ 日本の推奨(130/80未満)を構成する根拠 既存の推奨をさらに補強する新しい根拠(2026年査読論文)

結果です。主要評価項目である再発脳卒中は、強化降圧群で96人/1,487人(6.5%)、対照群で152人/1,457人(10.4%)に起こり、調整ハザード比は0.62(95%信頼区間 0.48~0.80、p=0.0002)で、追跡期間を通じた再発脳卒中の危険が相対的に約38%低い結果でした(絶対差は3.9ポイント)。とくに注目されるのは再発脳出血で、強化降圧群33人(2.2%)に対し対照群81人(5.6%)、調整ハザード比0.39(95%信頼区間 0.26~0.59、p<0.0001)と、追跡期間を通じた再発脳出血の危険が相対的に約61%低い結果でした(絶対差は3.4ポイント)。CQ8のメタ解析で示されていた「脳出血の再発予防効果がとくに大きい」という傾向を、脳出血既往者に絞った個人データで改めて裏づけた形です。

図:RECAP-ICHで実際に観察された再発イベントの割合
追跡期間(中央値42か月)中に各群で実測されたイベント割合。0~12%の共通スケールで、棒の長さは割合に比例しています。
 強化降圧群 対照群
再発脳卒中(すべての病型)
対照群
 
10.4%
強化降圧群
 
6.5%
再発脳出血
対照群
 
5.6%
強化降圧群
 
2.2%
 
0%6%12%
再発脳卒中の絶対差は3.9ポイント、再発脳出血の絶対差は3.4ポイントでした。本文のハザード比(0.62・0.39)は追跡期間全体を考慮した相対的な指標であり、この図の単純な割合の差とは異なります。

出典:Wang X, et al. RECAP-ICH. Lancet Neurol. 2026;25(9):830-839 の報告値をもとに作図

安全性はどうだったでしょうか。重篤な有害事象は、強化降圧群で28.9%(429人/1,487人)、対照群で33.0%(481人/1,457人)に発生し、強化降圧による重篤な有害事象の増加は認められませんでした。

表:RECAP-ICHにおける重篤な有害事象
項目 強化降圧群 対照群
重篤な有害事象の発生割合 28.9%
(429人/1,487人)
33.0%
(481人/1,457人)

ただし、「強化降圧は完全に安全」ということではありません。個々の患者さんでは、ふらつき、起立性低血圧、転倒、腎機能や電解質の変化などを確認しながら調整する必要があります。上のCQ8メタ解析でも低血圧関連症状の増加が示されていた通り、「しっかり下げる利益」と「下げ過ぎの害」のバランスを取る姿勢は変わりません。

この研究にも限界はあります。4試験を統合した解析であり単一の新規RCTではないこと、脳出血患者だけを対象とした試験と、脳卒中試験の中から脳出血患者を抽出した試験が混在すること、参加者の約75%がアジア人だったとはいえ、日本人全員へ同じ治療目標を機械的に当てはめることはできないこと、などです。また、統合された4試験の介入方法は一様ではなく、2試験は目標血圧にもとづく治療戦略を、2試験は固定用量の降圧薬レジメンを検討したものでした。高齢の方、フレイルのある方、起立性低血圧・腎機能低下・転倒リスクのある方では個別の判断が必要ですし、127mmHgという到達平均値は全員に共通する目標値ではありません。急性期の降圧方法を検討した研究でもありません。

日本の診療指針は引き続きJSH2025が基本です。RECAP-ICHは、「脳卒中後は原則130/80mmHg未満」というJSH2025の方向性を、脳出血後の慢性期についてさらに補強する新しい根拠という位置づけであり、この論文だけで日本のガイドラインが変更されたわけではありません。

脳出血後の血圧管理で確認したいこと

✅ 朝と夜の家庭血圧を、決められた方法で継続して記録する

✅ 血圧の数値だけでなく、立ちくらみ・ふらつき・失神・転倒の有無も受診時に伝える

✅ 腎機能・カリウム・ナトリウムなどの採血を定期的に確認する

✅ 薬を自己判断で増量・減量・中止しない

❤️ 心臓 ― 合併症ごとに薬を選び分ける

心臓は高血圧の重要な標的臓器です。圧負荷が続くと心肥大・心筋の線維化(リモデリング)が進み、冠動脈硬化が促進され、やがて狭心症・心筋梗塞・心不全・心房細動・突然死へとつながります。心疾患の発症・進展・死亡を減らすには、血圧を十分かつ持続的に下げることが重要です(表9-2)。

① 心肥大 ― 退縮させると予後が良くなる

高血圧は心肥大を引き起こす主因の一つで、心肥大は心不全の危険因子です。降圧治療で心肥大が退縮すると心血管イベントが減少します。CASE-Jのサブ解析では収縮期130mmHg未満への降圧で心肥大合併例のイベントを非心肥大例と同等まで低下、SPRINTの追加解析では120mmHg未満を目標とすることで心肥大の発症抑制・退縮が示されました。退縮には持続的かつ十分な降圧が最も重要で、どの主要降圧薬でも効果がありますが、メタ解析ではRA系阻害薬とCa拮抗薬の退縮効果が高く、β遮断薬は小さいとされます。第一選択はRA系阻害薬・長時間作用型Ca拮抗薬です。

② 冠動脈疾患・狭心症 ― 目標は130/80未満

高血圧は冠動脈疾患の主たる危険因子です。厳格な降圧の有用性はSPRINTで示され、60~80歳の中国人を対象としたSTEP試験では収縮期110~130mmHgの厳格群が標準群(130~150)に比べ脳卒中・急性冠症候群・急性心不全などの複合イベントを26%、急性冠症候群を33%減少させました。HOPE・ACTION・CAMELOTでも厳格な血圧コントロールでイベントが低下。ただし冠血流は拡張期血圧の影響を受けるため、過度の拡張期血圧低下には注意が必要ですが、INVESTやCREDO-Kyotoのサブ解析では降圧の安全性が示されています。これらをふまえ降圧目標は130/80mmHg未満。労作性狭心症はβ遮断薬とCa拮抗薬、自律神経の影響を受ける冠攣縮性狭心症はCa拮抗薬が第一選択です。

③ 心筋梗塞後 ― β遮断薬・RA系・MR拮抗薬

心筋梗塞後は、降圧に加えて再発抑制と生命予後改善を目的に薬を選びます。内因性交感神経刺激作用のないβ遮断薬(カルベジロール・ビソプロロール)は再発・突然死を抑制。左室駆出率の低下(40%以下)を伴う心筋梗塞では、RA系阻害薬が左室リモデリング(拡張・肥大・線維化)の進展を抑え、心不全や突然死を減らし予後を改善します。さらに心機能が低下した症例では、RA系+β遮断薬+利尿薬の標準治療にMR拮抗薬を追加すると予後改善が期待できます。一方、左室駆出率が50%以上保たれた症例ではβ遮断薬の使用が予後に影響しない可能性も示されており、循環器専門医と相談しながら判断します。

④ 心不全 ― ステージで考え、HFrEFは「4本柱」

心不全は高血圧の最も頻度の高い基礎疾患で、ステージA(リスク)~D(治療抵抗性)へと進展します。高血圧はすべてのステージの増悪因子なので、症状のないステージA/Bから早期に介入して発症を予防することが重要です。降圧治療のメタ解析では、合併症によらず収縮期血圧が10mmHg下がると心不全発症が28%減少します。

心不全は左室駆出率の低下したHFrEF(40%未満)と保たれたHFpEF(50%以上)に大別されます。HFrEFでは血圧が正常か低めのことが多く、降圧というより「心不全再入院を抑え予後を改善する」ことが主眼で、標準治療はRA系阻害薬(ARNIへの切替え)+β遮断薬+MR拮抗薬+SGLT2阻害薬の4本柱。低用量から始め、忍容性がある限り目標量まで早く増やします(導入・中止は循環器専門医のもとで)。HFpEFではSGLT2阻害薬がEMPEROR-Preserved(エンパグリフロジン)・DELIVER(ダパグリフロジン)で予後改善を示し適応が拡大。CHARM-Preserved・TOPCAT・J-DHFでは心不全入院の減少が示唆されました。

CQ
9
HFpEFで収縮期血圧130mmHg未満の管理は、死亡・脳心血管病・心不全入院を抑制するか?

→ HFpEFでは収縮期血圧130mmHg未満の血圧管理を強く推奨します(血圧低下に伴う有害事象に注意)。

推奨の強さ 1 / エビデンスの強さ C / 合意率 100%

PARAGON-HF・SPRINT・TOPCAT・STRONG-HF・Aldo-DHF・PARAMOUNTなど8論文のメタ解析で、SBP130未満の管理は心不全入院を20%減少(RR 0.80)させ、全死因死亡も抑制傾向(RR 0.74)。一方で低血圧は39%増加(RR 1.39)しましたが、腎機能悪化や重篤な有害事象は増えませんでした(RR 0.92)。「しっかり下げる利益」と「下げ過ぎの低血圧」を天秤にかける、という構図です。

図:HFpEFでSBP<130の管理 vs ≧130(統合値・相対リスクと95%信頼区間)
左(<1)=積極管理で良い/右(>1)=増える。赤は「増える(害)」。
心不全による入院
 
 
 
 
0.80 [0.69–0.93]
全死因死亡
 
 
 
 
0.74 [0.53–1.04]
脳心血管イベント
 
 
 
 
0.83 [0.67–1.03]
低血圧
 
 
 
 
1.39 [1.09–1.78]
重篤な有害事象
 
 
 
 
0.92 [0.78–1.08]
 
0.10.51210
 
 
← <130で良い≧130で良い →
 

⑤ 心房細動 ― 新規発症を防ぎ、脳卒中を防ぐ

高血圧は心房細動の主要な危険因子で、SPRINTなどから収縮期130mmHg未満への降圧で新規発症を抑制できると報告されています。RA系阻害薬は左室肥大・心不全を合併する患者での新規発症抑制や再発予防に有効。心房細動患者の脳卒中・全死亡は血圧依存性に増加し、PROGRESSのサブ解析では降圧で脳心血管イベントが38%減少しました。心房細動では適切な抗凝固療法が必要となるため、出血合併症を抑える意味でも厳格な血圧管理が望まれます(第8章:薬物治療も参照)。頻拍性心房細動の心拍数コントロールにはβ遮断薬(ビソプロロール・カルベジロール)が第一選択です。

⑥ 弁膜症 ― 高血圧は進行を加速させる

血圧上昇は左心室への後負荷を増やし、弁膜症の進行を加速させます。大動脈弁狭窄症は高血圧で進行が加速することが知られ、適切な血圧管理は脳心血管イベント・心不全発症のリスクを下げるために重要です。ACE阻害薬やARB(ARNI含む)は後負荷を軽減し心筋リモデリングを抑える点で有用で、病態に応じCa拮抗薬や利尿薬も用います。ただし重症の大動脈弁狭窄症で失神既往がある場合は、前負荷を減らす硝酸薬など血管拡張薬は避けるなど慎重さが要ります。軽症は一般的な降圧目標で、中等症・重症や術後は循環器専門医と併診します。

📌 心疾患のポイント(JSH2025 POINT 9b 抜粋)
心心肥大は降圧で退縮させると予後が改善。退縮には持続的かつ十分な降圧が最重要で、RA系・Ca拮抗薬が優れる。
冠冠動脈疾患では二次予防に加え130/80未満。器質的狭窄による狭心症はβ遮断薬とCa拮抗薬、冠攣縮性はCa拮抗薬が第一選択。
梗心筋梗塞後(とくにHFrEF)はβ遮断薬・RA系/ARNI・MR拮抗薬が予後を改善。
不HFrEFの標準治療はRA系/ARNI+β遮断薬+MR拮抗薬+SGLT2阻害薬(4本柱)。HFpEFは130未満を目標、SGLT2阻害薬が予後改善。
房心房細動の新規発症抑制に130未満が有効。抗凝固中は出血予防のため厳格な降圧。
表9-2:心疾患を合併する高血圧の治療(要約)
病態 降圧目標・第一選択薬のポイント
心肥大 持続的・十分な降圧が必要。第一選択はRA系阻害薬・長時間作用型Ca拮抗薬
冠動脈疾患 目標130/80未満。狭心症:β遮断薬+長時間作用型Ca拮抗薬/冠攣縮性:Ca拮抗薬
心筋梗塞後 標準=ACE阻害薬(不耐ならARB)+β遮断薬。重症LVEF低下:RA系→ARNIへ切替・MR拮抗薬。うっ血:利尿薬
心不全
HFrEF
多くは血圧正常~低め。4本柱(RA系/ARNI・β遮断薬・MR拮抗薬・SGLT2阻害薬)。低用量から開始し漸増
心不全
HFpEF
主要降圧薬で収縮期130未満を目指す。糖尿病の有無によらずSGLT2阻害薬
心房細動 新規発症予防に収縮期130未満。RA系を中心に。抗凝固中は厳格な降圧

出典:JSH2025 第9章「2. 心疾患」・表9-2・CQ9(PARAGON-HF・SPRINT・TOPCAT・STRONG-HF・EMPEROR-Preserved・DELIVERほか)

🫘 腎臓 ― 蛋白尿の「あり/なし」で戦略が変わる

腎臓は血圧調節の要であり、高血圧と腎障害は互いを悪化させる悪循環をつくります。慢性腎臓病(CKD)に高血圧を合併すると、日内変動を含めた厳格な血圧管理が必要です。CKDの降圧目標と推奨薬は、蛋白尿のあり/なしで分かれるのが最大のポイントです(表9-3)。

表9-3:CKD患者における降圧目標と推奨降圧薬
区分 降圧目標 第一選択薬 第二選択(併用)
蛋白尿なし
(糖尿病-)
130/80未満
(原則・要個別対応)
RA系阻害薬・Ca拮抗薬・サイアザイド系利尿薬 他の第一選択薬から
蛋白尿なし
(糖尿病+)
130/80未満 同上 同上
蛋白尿あり 130/80未満 RA系阻害薬 Ca拮抗薬(脳心血管病高リスク)/サイアザイド系利尿薬(体液貯留・早朝高血圧)

蛋白尿があるCKDでは尿蛋白を減らすことが末期腎不全(ESKD)への進行抑制に直結するため、輸出細動脈を広げて糸球体の圧を下げるRA系阻害薬が第一選択です(CQ11参照)。ただしRA系単剤では目標達成が難しく、Ca拮抗薬やサイアザイド系利尿薬を併用します。75歳以上の高齢者で腎硬化症が疑われる場合(動脈硬化が高度で蛋白尿陰性)はCa拮抗薬を第一選択とします。eGFR30未満ではサイアザイド系をループ利尿薬に変更します。糖尿病関連腎臓病(DKD)で蛋白尿があれば、RA系に加えエサキセレノンやフィネレノンなどのMR拮抗薬、そして腎・心保護を期待してSGLT2阻害薬の積極投与が推奨されます(eGFR15未満や透析中は新規開始しない)。

CQ
10
CKD合併高血圧に対して、130/80mmHg未満を目標とした降圧治療は推奨されるか?

→ CKD合併高血圧では130/80mmHg未満を目標とした降圧治療を強く推奨します(血圧低下に伴う有害事象に注意)。

推奨の強さ 1 / エビデンスの強さ A / 合意率 100%

18歳以上のCKD合併高血圧を対象に、SBP120~130未満を目標とした降圧の有効性を検討したRCT9件(AASK・ACCORD-BP・CRHCP・ESPRIT・MDRD・REIN-2・SPRINT・STEP・SPS3、解析後にBPROADも追加)のメタ解析。全死因死亡を下げる傾向(RR 0.81)、複合脳心血管イベントも低下傾向(RR 0.89)。一方、害のアウトカム(GFR50%減/Cr倍増 RR 0.95、末期腎不全 RR 0.92)は増えませんでしたが、降圧強化に伴う低血圧(RR 1.33)には注意が必要です。

図:CKDで130/80未満を目標 vs それ以上(統合値・相対リスクと95%信頼区間)
左(<1)=厳格降圧で良い/右(>1)=増える。赤は「増える(害)」。
全死因死亡
 
 
 
 
0.81 [0.65–1.00]
複合脳心血管
 
 
 
 
0.89 [0.77–1.03]
GFR50%減/Cr倍増
 
 
 
 
0.95 [0.74–1.22]
末期腎不全到達
 
 
 
 
0.92 [0.75–1.14]
低血圧
 
 
 
 
1.33 [0.88–2.01]
 
0.10.51210
 
 
← 厳格降圧で良い緩やかで良い →
 
CQ
11
糖尿病非合併CKDの高血圧で、第一選択薬はRA系阻害薬か?(蛋白尿あり/なし)

→ 蛋白尿あり:第一選択としてRA系阻害薬を推奨(推奨1・エビデンスA・合意100%)。

→ 蛋白尿なし:RA系阻害薬・Ca拮抗薬・サイアザイド系利尿薬のいずれかを提案(推奨2・エビデンスC・合意100%)。

蛋白尿のあるCKDでは、18件のRCT(AIPRI・REIN-1/2・AASK・ESPIRAL ほか)のメタ解析でRA系阻害薬が腎不全進行を有意に抑制(RR 0.63)し、尿蛋白も平均0.42g/日減少。高カリウム血症は発生率は低いものの有意に増加(RR 2.01)しました。一方、蛋白尿のないCKD(腎硬化症が多い)ではALLHATなどの探索的解析でRA系の優位性は示されず(腎イベント RR 1.13)、RA系・Ca拮抗薬・利尿薬のいずれでもよい、という結論です。

図:糖尿病非合併CKDでのRA系阻害薬(統合値・相対リスクと95%信頼区間)
左(<1)=RA系で良い。赤は「増える(害)」。
腎イベント
(蛋白尿あり)
 
 
 
 
0.63 [0.52–0.75]
腎イベント
(蛋白尿なし)
 
 
 
 
1.13 [0.84–1.51]
高カリウム血症
(蛋白尿あり)
 
 
 
 
2.01 [1.07–3.77]
 
0.10.51210
 
 
← RA系で良い対照で良い →
 

RA系阻害薬とカリウム ― 中止せず、上手に続ける

RA系阻害薬は腎を守る一方、血清カリウムの上昇に注意が要ります。重要なのは、カリウムが上がっても安易に中止しないこと。CKDステージG4・G5でRA系を中止しても3年後の腎機能に差がなく、むしろ中止群で総死亡・心血管イベントが増えたという報告(STOP-ACEi等)や、再開した群で腎イベント・死亡が少なかった日本人6,065例の研究があります。表9-4に、注意点とカリウムが上がったときの対処をまとめます。

表9-4:RA系阻害薬投与時の注意点と、血清カリウム上昇時の対策
項目 内容
開始・モニタリング 最少用量から開始。2~4週以内に電解質・腎機能を確認。Crが前値の30%以内の上昇/Kが5.5mEq/L以下なら継続。それ以上は腎臓専門医へ
腎機能悪化時に疑う原因 腎動脈狭窄(両側性)/腎血流を下げる薬(NSAIDs・シクロスポリン)/心不全/脱水(高齢者の夏場・下痢)/尿路異常(水腎症)
カリウム上昇時の対策 原因薬の減量・中止+専門医紹介。加えて:水分の十分な摂取+利尿薬/カリウム摂取制限/便秘の予防/カリウム吸着薬/アシドーシスの是正

透析患者の血圧 ― 「家庭血圧」を重視

血液透析患者では、透析前血圧を指標に積極降圧と通常降圧を比べたBID試験で両群に差がなく、透析室外の血圧が死亡率と関連したことから、診断や治療の指標は家庭血圧を重視することが勧められます(管理目標:家庭血圧135/85または診察室140/90以下を提唱するガイドラインが多い)。治療の基本は過剰な食塩摂取の是正と適切なドライウェイトの設定です。

📌 腎疾患のポイント(JSH2025 POINT 9c 抜粋)
1CKDは高血圧を合併しやすく、夜間に下がらないなど日内リズムの異常を伴うことが多い。24時間を含めた厳格管理を。
2降圧目標:蛋白尿があれば130/80未満。蛋白尿がなければ益と害のバランスで個別対応(とくに75歳以上は過降圧を避ける)。
3第一選択:蛋白尿ありはRA系阻害薬。蛋白尿なしはRA系・Ca拮抗薬・サイアザイド系のいずれか。
4蛋白尿の改善は末期腎不全への進行抑制に直結。尿蛋白量をできるだけ減らす。
5生活習慣:6g/日未満の減塩・適正体重・安全な範囲での運動。

出典:JSH2025 第9章「3. 腎疾患」・表9-3・表9-4・CQ10・CQ11(AASK・SPRINT・AIPRI・REIN・ALLHATほか)

🩸 血管 ― 大動脈と足の動脈を守る

大動脈瘤・大動脈解離

大動脈瘤は無症状で偶然見つかることが多く、いったん破裂すると死亡率が極めて高い疾患です。厳格な降圧が重要で、原則130/80mmHg未満を目標に管理します。Marfan症候群ではβ遮断薬が瘤拡大を抑え予後を改善し、喫煙は腹部大動脈瘤の拡大・破裂の危険因子なので禁煙指導が重要。瘤径はCTで定期フォローし、適切なタイミングで外科手術を考慮します。慢性大動脈解離も130/80未満の厳格降圧(β遮断薬が解離関連事故を減らす)が望まれ、良好なコントロールは再解離の発生を約1/3に減らすと報告されています。

末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症・PAD)

最も多いのは下肢の閉塞性動脈硬化症です。高血圧は糖尿病と同等の危険因子で、わが国の高血圧患者の約5%がABI(足関節/上腕血圧比)0.9未満。治療目的は虚血症状の改善だけでなく、高率に合併する脳・心血管イベントの予防です。全身の動脈硬化に対する危険因子の治療(とくに禁煙)と生活習慣の改善が基本。下肢閉塞性動脈疾患で優先すべき降圧薬はありませんが、β遮断薬はかつて下肢虚血を悪化させるとされたものの、ランダム化比較試験では明らかな悪化は認められず投与禁忌ではありません。

📌 血管疾患のポイント(JSH2025 POINT 9d)
1大動脈瘤に対する厳格な降圧は重要で、原則130/80未満を目標に。
2慢性大動脈解離では130/80未満の厳格な降圧が望まれる。
3PAD治療の目的は虚血症状の改善だけでなく高率に合併する脳心血管イベントの予防。厳格な降圧が重要。
4心不全や冠動脈疾患を合併する場合はβ遮断薬の投与も考慮する。

出典:JSH2025 第9章「4. 血管疾患」・POINT 9d

🧩 認知機能 ― 中年期の高血圧は将来の認知症リスク

高血圧は血管性認知症の危険因子であるだけでなく、アルツハイマー病にも血管障害が深く関わります。とくに中年期の高血圧は高齢期の認知機能低下・認知症の危険因子で、高血圧は「修正可能な」潜在的危険因子です。だからこそ、認知症予防の観点からも中年期の高血圧は積極的に治療すべきとされます。一方、高齢期では高血圧だけでなく低血圧も認知症と関連し、関係は一定しません(平均血圧より血圧変動の大きさが認知機能低下と関連するという報告もあります。わが国の大迫研究・久山町研究でも血圧の日間変動の増大が関連)。

降圧治療が認知症を確実に予防するという強固なエビデンスはまだありませんが、Ca拮抗薬・RA系阻害薬・ARBで有効性を示す報告があり、降圧治療が認知機能を悪化させるという成績はないことから、降圧薬治療は行うべきと考えられます。認知症を合併した高血圧では、服薬アドヒアランス不良が血圧コントロールに大きく影響するため、配合剤での錠数削減や、家族・医療スタッフを含めた服薬管理が重要です(降圧目標は健康・機能状態のカテゴリー分類を参考に個別判断、過度の降圧と転倒に注意)。

📌 認知機能障害のポイント(JSH2025 POINT 9e)
1中年期の高血圧は高齢期認知機能障害の危険因子で、認知症発症抑制の観点からも積極的に治療すべき。高齢期の高血圧と認知症の関連は明確でない。
2降圧治療が認知症を予防する明確な結論はないが、悪化させる成績はなく、降圧薬治療は勧められる。
3クラスの結論は出ていないがRA系阻害薬の有効性を示す報告が多い。
4高齢高血圧患者では、認知症の存在に留意すべき。

出典:JSH2025 第9章「5. 認知機能障害」・POINT 9e

🧭 まとめ ― 臓器を守るために「どこまで・何で」下げるか

高血圧の治療は「血圧の数字を下げること」が目的ではなく、その先の脳・心臓・腎臓・血管・脳の認知機能を守ることが目的です。臓器障害を合併すると、目標値も薬の選び方も変わります ―― 脳卒中後・冠動脈疾患・大動脈疾患・CKD(蛋白尿あり)はいずれも130/80未満を目指し、蛋白尿のあるCKDはRA系、冠攣縮性狭心症はCa拮抗薬、HFrEFは4本柱、というように。下げ過ぎによる低血圧・転倒には注意しつつ、あなたの合併症に合わせて最適な一手を組み立てます。とくに脳出血後の慢性期では、2026年のRECAP-ICHによって、長期的に安定した血圧管理を続けることが再発脳卒中、とくに再発脳出血の抑制につながることが改めて示されました。ただし、下げる速さや具体的な目標は、発症からの時期、年齢、腎機能、起立性低血圧、転倒リスクなどを踏まえて個別に判断します。

こんな方は一度ご相談を

✅ 脳卒中・心筋梗塞・狭心症の既往があり、血圧管理が今のままでよいか不安

✅ 健診で蛋白尿・腎機能低下(eGFR低下)を指摘された

✅ 心不全・心房細動があり、薬の組み合わせを見直したい

✅ 大動脈瘤・大動脈解離・足の動脈の病気(PAD)で血圧を厳格に管理したい

✅ 採血でカリウムが高めと言われ、薬を続けてよいか心配

❓ よくある質問

Q. 脳卒中をしたあと、血圧はどこまで下げればいい?

再発予防のため、原則130/80mmHg未満を目指します。とくに脳出血の再発予防効果が大きいことが示されています。ただし下げ過ぎでふらつき・失神が出ることもあるので、家庭血圧を見ながら主治医と調整します。2026年に公表されたRECAP-ICH(脳出血既往者2,944人の個人データメタ解析)でも、脳出血後の長期管理で強化降圧群のほうが再発脳卒中・再発脳出血が少ないことが示されました。ただし、試験中の平均127mmHgを全員の目標値とする研究ではなく、実際にはふらつき・起立性低血圧・転倒・腎機能などを確認しながら個別に調整します。なお、これは急性期を過ぎた後の話で、発症直後の血圧管理は別の基準で行われます。

Q. 腎臓が悪いと言われました。血圧の薬は何がいい?

尿に蛋白が出ているCKDではRA系阻害薬(ARB/ACE阻害薬)が第一選択で、尿蛋白を減らし腎臓を守ります。蛋白尿がない場合はRA系・Ca拮抗薬・利尿薬のいずれでもよく、合併症で選びます。開始後はカリウムと腎機能の採血を確認します。

Q. 採血でカリウムが高いと言われました。薬をやめるべき?

自己判断でやめないでください。RA系阻害薬は腎臓・心臓を守る大切な薬で、中止すると予後が悪くなる報告があります。多くは食事の工夫・利尿薬・カリウム吸着薬などで対処できます。5.5を超えるなどの場合は減量・中止と専門医相談を検討します。

Q. 心不全なのに血圧が低め。それでも薬を飲む意味は?

あります。HFrEF(心機能が落ちた心不全)の薬は「血圧を下げる」より「再入院を防ぎ予後を改善する」ために使います。RA系/ARNI・β遮断薬・MR拮抗薬・SGLT2阻害薬の4本柱が柱で、血圧が低めでも続ける価値があります(導入・調整は循環器専門医と)。

🩺

執筆:加藤 丈陽(かとう たけあき)/かとう内科 院長

総合内科専門医(日本内科学会認定・認定番号 029447)

愛媛県今治市の「かとう内科」院長。総合内科専門医として、高血圧・糖尿病・脂質異常症・睡眠時無呼吸・肥満症などの生活習慣病を中心に、地域のかかりつけ医として日々の診療にあたっています。脳・心臓・腎臓の臓器障害を見据えた高血圧管理を心がけ、日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』など最新のエビデンスにもとづく診療を行っています。

※この記事は一般的な情報提供を目的とした解説で、特定の製品の推奨や個別の処方指示ではありません。降圧目標や薬の選択は個人の病態(合併症・腎機能・年齢など)によって大きく異なり、自己判断で開始・変更・中止せず、必ず主治医にご相談ください。記載の内容は日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』第9章、および下記の査読済み論文にもとづいています。図のフォレストプロットはガイドライン掲載のメタ解析の統合値をもとに作図したものです。

参考文献
1. Wang X, Gao Y, Velasco MJ, et al. Intensive blood pressure lowering after spontaneous intracerebral haemorrhage for secondary stroke prevention (RECAP-ICH): a systematic review and individual participant data meta-analysis. Lancet Neurol. 2026;25(9):830-839. doi:10.1016/S1474-4422(26)00244-9. PMID: 42586098

2026.08.15 更新

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