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ほかの病気で体調不良のとき(シックデイ)や手術を受けるときはどうするのか?

シックデイの対応・受診の目安・食事のとり方・手術前後の血糖管理

糖尿病 シックデイ・手術 体調不良時の備え かとう内科|今治市

かぜや胃腸炎などで体調を崩すと、糖尿病のある方は血糖が乱れやすくなります。こうした「シックデイ(病気の日)」や、手術を受けるときは、血糖が高くなったり低くなったりして、ときに危険な状態につながることもあります。だからこそ、もしものときの対応を前もって知っておくことが大切です。シックデイと手術時の血糖管理のポイントをまとめました。

🤒シックデイとは?

糖尿病のある方も、かぜをはじめさまざまな病気にかかります。発熱・下痢・嘔吐・食欲不振などで体調を崩し、血糖が乱れやすくなった状態を「シックデイ(Sick Day=病気の日)」と呼びます。

病気はストレスとなってさまざまなホルモンを分泌させ、インスリンの働きを抑えるため、血糖は高くなりがちです。対応を誤ると糖尿病性昏睡(ケトアシドーシス)を起こすこともあります。逆に、食事がとれないのにいつもどおり薬を飲んだり注射をすると、低血糖になることもあります。つまりシックデイでは、血糖が「乱高下」しやすいのです。

表1:シックデイが起こりやすい病気

呼吸器の感染症 かぜ症候群、急性気管支炎、急性肺炎、インフルエンザ
尿路系の病気 尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎、尿路結石症
皮膚の感染症 皮膚の感染症 など
消化器の病気 急性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、急性腸炎、急性肝炎、胆石症、急性膵炎
けが・やけど 外傷、やけど、凍傷 など

🌡シックデイのとき、薬はどうする?

シックデイでは、食事や水分がどのくらいとれるか、病気の重さがどうかによって、飲み薬や注射薬(インスリン、GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬)の扱いが変わります。迷ったら、自己判断せず早めに担当医の指示を受けましょう。

食事がふつうにとれるとき

ふつうに食べて飲めるなら、薬や注射はいつもどおり続けて構いません。ただし、食欲が落ちてきたり、高熱や強いだるさで寝込むような感染症では、急に高血糖になりケトアシドーシスの危険もあります。血糖自己測定の回数を増やし、できればケトン体も調べて、念のため受診しましょう。

食事が十分にとれないとき

「食事がとれない」と一口に言っても、程度はさまざまです。食事・運動療法だけで治療している方は、安静にして水分が十分とれていれば、食事量が減っても大きな問題にはなりにくいです。ただし水分がとれず脱水になると、危険な状態になることもあります。

飲み薬やインスリンで治療している方は、一般に2型糖尿病では食事量が半分以下なら薬を減量・中止します。とくに発熱や下痢で脱水のおそれがあるときは、メトホルミンやSGLT2阻害薬は休薬します。ただし、食事が減ったからといって必ず低血糖になるとは限らず、病気のストレスで逆に高血糖になることもあります。

🚑 1型糖尿病の方へ:インスリンを完全に止めないで

食事がとれなくても、インスリン注射を完全に中断してはいけません。中断すると、ケトアシドーシスによる昏睡の危険があります。量の調節は担当医に相談し、血糖自己測定も欠かさないようにしましょう。

⚠️ SGLT2阻害薬を使っている方は「正常血糖ケトアシドーシス」に注意

とくに1型糖尿病でSGLT2阻害薬を内服している場合、血糖が正常に近くてもケトアシドーシスになっていることがあります。強いだるさ・吐き気・嘔吐・腹痛などがあるときは、ケトン体を確認し、SGLT2阻害薬は中止して担当医に相談してください。脱水があるときは医療機関での点滴が必要です。

🏥こんなときは担当医へ(受診の目安)

シックデイは病気の種類も重さもさまざまです。「様子をみる/連絡して相談する/すぐ受診する」の判断を、普段から担当医と決めておくと安心です。次のようなときは、担当医に連絡・受診しましょう。

  • ▸まったく食事がとれない
  • ▸下痢や嘔吐が続く
  • ▸38℃以上の高熱が続く
  • ▸強い腹痛がある
  • ▸高い血糖(350mg/dL以上)が続く
  • ▸(血中ケトン体測定器がある方)血中ケトン体が中等度以上(1.5mmol/L以上)
  • ▸(尿検査用紙がある方)尿ケトン・尿糖が強陽性
  • ▸飲み薬や注射薬をどうすればよいか分からない

🍵シックデイの食事・水分のとり方

食事がとれないと、体はエネルギー源として脂肪を使い、血液が酸性に傾いて意識を失う危険があります。これを防ぐため、すぐエネルギーになる消化のよい炭水化物(おかゆ・雑炊・うどん・果物など)をとりましょう。

嘔吐や下痢が続くと水分やミネラルが失われ脱水になりやすいので、みそ汁・野菜スープ・果物ジュース・経口補水液などもおすすめです。冷たいものより体が温まるものを、ゆっくりとるのがコツです。

💚 シックデイにとるとよいもの

エネルギー補給:おかゆ・雑炊・うどん・果物 など(消化のよい炭水化物)
水分・ミネラル補給:みそ汁・野菜スープ・果物ジュース・経口補水液 など。
冷たいものより温かいものを、ゆっくりと。

🔪手術を受けるときの血糖管理

大きな手術では、手術というストレスで血糖を適正に保つのが難しくなります。食事・運動療法や飲み薬で治療している方でも、手術の前後はインスリンに切り替えて管理することがあります。

大切なのは、血糖が適正な範囲に保たれていることです。あわせて、細い血管の合併症(網膜症・腎症・神経障害)や太い血管の合併症(心筋梗塞・脳卒中)が手術後の経過に影響することがあるため、術前にこれらの状態を評価しておくことも重要です。緊急の手術では、血糖が整わないままやむをえず行うこともあります。

📋 手術・検査の前の「休薬」ルール

SGLT2阻害薬で治療している方は、手術の3日前から休薬します。メトホルミン(ビグアナイド薬)で治療している方が、ヨード造影剤を使う検査(造影CTなど)を受ける場合は、乳酸アシドーシスを防ぐため、検査の前にいったん中止し、検査後48時間(2日間)は再開しません。その後、腎機能を確認してから再開します。いずれも自己判断せず、担当医の指示に従ってください。

💚 当院でできること

かとう内科(今治市)では、シックデイ(体調不良時)の薬・インスリンの調整ルールづくりや、手術・検査を控えた方の休薬の確認、術前の合併症チェックなどに対応しています。血液検査の結果は当日にお伝えできます。「もしものとき」の対応を、普段から一緒に決めておきましょう。意識障害など重い症状があるときは、まず救急要請(119)を優先してください。

❓よくあるご質問

かぜで食欲がないとき、薬やインスリンはどうすればいいですか?

薬の種類や食事のとれ方で対応が変わります。一般に、メトホルミンやSGLT2阻害薬は脱水のおそれがあるとき休薬します。一方、1型の方のインスリンは完全に止めてはいけません。判断に迷うときは自己判断せず、早めに担当医へ連絡してください。前もって「シックデイのときどうするか」を決めておくと安心です。

熱があるのに血糖が高いのはなぜですか?

病気そのものがストレスとなり、血糖を上げるホルモンが増えてインスリンが効きにくくなるためです。食欲がなくても血糖が上がることがあり、対応を誤るとケトアシドーシスにつながります。高血糖が続くときは血糖・ケトン体を確認し、受診してください。

シックデイのとき、水分は何を飲めばいいですか?

脱水を防ぐため、こまめな水分補給が大切です。みそ汁・野菜スープ・経口補水液・果物ジュースなどが向いています。食事がとれないときは、おかゆやうどんなど消化のよい炭水化物で最低限のエネルギーも補いましょう。冷たいものより温かいものを、ゆっくりと。

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監修:加藤 丈陽(かとう内科 院長)
日本内科学会 総合内科専門医(029447)/日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)/日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
かとう内科 〒794-0821 愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310(1986年開業・19床)

※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。シックデイ・手術時の対応は薬や病状によって異なります。意識障害など緊急の症状があるときは、すぐに医療機関へご連絡ください。
参考:日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド/メトホルミンの適正使用に関するRecommendation(2026年時点)

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