• トップ
  • ブログ
  • 低血糖とは?症状・対処法・予防をわかりやすく解説(無自覚性低血糖・CGMも)|今治市 かとう内科

低血糖にどのように対応するのか?

症状の3段階・正しい対処・無自覚性低血糖と日常の注意点

糖尿病 低血糖 症状と対処 かとう内科|今治市

低血糖(ていけっとう)は、糖尿病の治療中にもっとも身近な「もしも」のひとつです。血糖が下がりすぎると、冷や汗やふるえから、ひどいときには意識を失うことまであります。でも、症状と正しい対処を知っておけば、多くは自分で、あるいは周りの助けで乗り切れます。ご本人もご家族も知っておきたいポイントをまとめました。

🍬低血糖とは? なぜ起こるの?

低血糖とは、血液中のブドウ糖が少なくなりすぎた状態で、目安としては血糖値がおよそ70mg/dL未満になったときをいいます。

多くは、インスリン注射や、インスリンの分泌を促すタイプの飲み薬(スルホニル尿素〔SU〕薬、速効型インスリン分泌促進薬など)の作用が強すぎたときに起こります。とくにSU薬は血糖を下げる力が強く、いったん回復しても低血糖がぶり返しやすいので注意が必要です。薬の量が同じでも、食事の量が少なかったり、いつもより体を動かしたときにも起こります。

⚠️低血糖の症状は3段階で進む

低血糖は、血糖の下がり方に応じて症状が進みます。大きく分けて次の3段階です。

  • 🟡① 交感神経症状(血糖値 約70~55mg/dL)
    空腹感・だるさ・冷や汗・動悸(ドキドキ)・ふるえ・体のほてり・不安感・吐き気など。「警告症状」とも呼ばれ、ここで気づいて対処すれば重い低血糖を防げます。
  • 🟠② 中枢神経症状(血糖値 約50mg/dL)
    脳のエネルギー(ブドウ糖)が不足し、ぼーっとする・眠気・めまい・疲労感・集中力の低下などが出てきます。
  • 🔴③ 大脳機能の低下(血糖値 約30mg/dL)
    意識を失う・けいれん・一時的な体の麻痺など。長く続くと命にかかわることもあります。

💚 自分の「警告症状」を知っておきましょう

症状の出方には個人差があります。「自分はどんな症状から始まるか」を知っておくと、軽いうちに早く気づいて対処できます。

📋こんなときに低血糖になりやすい

経口薬やインスリンで治療している方は、次のようなときに低血糖が起こりやすくなります。

  • ⚠️食事の量が少なかった/食事の時間が遅れた
  • ⚠️運動や仕事で体を動かす量が多かった
  • ⚠️薬の量を増やした/飲む・打つ時間を変えた
  • ⚠️解熱薬・鎮痛薬・抗不整脈薬などの薬や、アルコールを飲んだ
  • ⚠️女性で、生理(月経)が始まるタイミング

🆘低血糖が起きたときの対処法

軽い低血糖(自分で対処できるとき)

低血糖の症状を感じたら、がまんせずにすぐブドウ糖10g(なければ砂糖20g)をとりましょう。ブドウ糖を含むジュース・清涼飲料水なら150~200mLが目安です(人工甘味料の飲料は血糖が上がらないので確認を)。普段から、手の届くところに常備しておくことが大切です。

アメやチョコレートは吸収に時間がかかり、緊急時の対処には向きません。糖分をとったら安静にし、15分ほど経っても症状が続くときは、同じ量をもう一度とります。症状が落ち着いたら、食事の時間が近ければ食事を、そうでなければおにぎりやパンなど炭水化物の多い食品を補って、ぶり返しを防ぎましょう。低血糖を起こしたら、早めに担当医に伝えて今後の対策を相談してください。

🍬 低血糖のときにとるとよいもの

ブドウ糖の粉末/ブドウ糖のゼリー(市販の補給用ゼリーなど)/スティックシュガー・角砂糖/ブドウ糖・砂糖を含むジュースや清涼飲料水。手のひらサイズで持ち歩けるものを、かばんや机に常備しておくと安心です。

⚠️ α-グルコシダーゼ阻害薬を使っている方へ

この薬を飲んでいると、砂糖(ショ糖)が分解・吸収されにくくなります。低血糖のときは、砂糖ではなく必ず「ブドウ糖」で対処してください。

重い低血糖(自分では対処できないとき)

十分に注意していても、急に意識がもうろうとする強い低血糖が起こることがあります。普段から「自分は糖尿病である」とわかるもの(糖尿病連携手帳やIDカード/日本糖尿病協会)を身につけ、すぐに対応してもらえるようにしておきましょう。家族・友人・同僚にも、低血糖のことを伝えておくと安心です。

意識がはっきりせず自分で対応できないときは、周りの人に助けを求め、砂糖やジュースを口に入れてもらいます。

🚑 飲み込めないほど意識が低下しているときは

無理に飲食させると、のどに詰まる危険があります。すぐに救急車(119)を呼び、医療機関でブドウ糖の点滴・注射を受けてください。いったん回復しても、SU薬やインスリンでは低血糖がぶり返すことがあるため、必ず受診してください。

📋 緊急時の「グルカゴン点鼻薬」という備え

低血糖に気づきにくく意識障害を起こしやすい方は、血糖を上げるホルモン「グルカゴン」の点鼻薬(バクスミーなど)を自宅・職場などに用意しておく方法があります。容器の先を鼻に入れてボタンを押すだけで、注射に慣れていない家族でも緊急時に使えます。医師に相談すると処方され、保育園・幼稚園・学校などの関係者が、医師や家族の指示に基づいて使えるようにもなっています。使い方は、あらかじめ家族や周囲の人と確認しておきましょう。

🌫気づきにくい「無自覚性低血糖」

低血糖が起きているのに、冷や汗やふるえなどの「警告症状」が出ず、気づけないことがあります。これを「無自覚性低血糖」といい、前ぶれなく意識を失うことがあるため注意が必要です。低血糖を何度もくり返すと体が慣れてしまい、警告症状が出にくくなるのが主な原因と考えられています。

低血糖を起こさないように気をつけていると、本来の警告症状が戻ってくることもあります。「血糖値が50mg/dL以下でも症状が出ない」といった心当たりがある方は、担当医に相談しましょう。

📋 24時間の血糖を「見える化」するCGM

持続血糖モニター(CGM)は、皮下のセンサーで24時間の血糖の動きを記録できる機器です。自分では気づけない低血糖を見つけたり、低血糖を減らして警告症状の回復につなげたりするのに役立つことがあります。当院でも対応していますので、無自覚性低血糖が心配な方はご相談ください。

🧠くり返す重い低血糖と「認知機能」

近年、入院を要するような重い低血糖をくり返すことが、将来の認知機能の低下と関連すると報告されています。逆に、認知機能が低下していると低血糖に気づきにくく、起こしやすくなるという側面もあり、両者は影響し合うと考えられています(いずれも「関連」であり、必ずそうなるという意味ではありません)。

そのため、とくに高齢の方では、血糖は高すぎても低すぎても望ましくなく、年齢・認知機能・体の状態に合わせて目標をゆるやかに設定することがあります。低血糖をくり返さない管理そのものが、認知機能を守るうえでも大切です。くわしくは 「糖尿病と認知症」の記事 もあわせてご覧ください。

🚗治療中に気をつけたいこと

自動車の運転

運転中の低血糖発作は、重大な事故につながりかねません。低血糖のおそれがある方は、近距離でも運転前に血糖を確認しましょう。車内にブドウ糖を含む食品を常備し、少しでも低血糖の気配を感じたら、安全な場所に停めてすぐ対処してください。

心臓・腎臓の病気がある方、高齢の方

狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患がある方は、とくに低血糖に注意が必要です。低血糖になると交感神経が活発になり、弱った心臓に負担がかかります。腎臓の働きが低下している方は薬が体に長く残りやすく、低血糖を起こしやすくなります。

高齢の方は、低血糖を起こしやすいうえに症状に気づきにくく、重症化しやすい傾向があります。ご本人もご家族も、いつもと様子が違わないか気をつけておきましょう。

💚 当院でできること

かとう内科(今治市)では、低血糖を起こしにくいお薬の選び方や、無自覚性低血糖・CGM(持続血糖モニター)を用いた評価、ご高齢の方に合わせた血糖目標の調整など、一人ひとりに合わせてご相談に応じます。血液検査の結果は当日にお伝えできます。「低血糖が心配」「正しい対処を知っておきたい」という方は、診察時にお声がけください。

意識障害など重い症状があるときは、まず救急要請(119)を優先してください。

❓よくあるご質問

低血糖のとき、チョコレートやアメではだめですか?

緊急時には向きません。チョコや洋菓子は脂肪分が多く糖の吸収が遅れ、アメも溶けるのに時間がかかります。すぐ血糖を上げたいときは、ブドウ糖(なければ砂糖)やブドウ糖入りの飲料を選んでください。落ち着いてからの補食には、おにぎりやパンなどの炭水化物が向いています。

低血糖をくり返すと、認知機能に影響しますか?

入院を要するような重い低血糖をくり返すと、将来の認知機能の低下と関連するという報告があります。逆に、認知機能が低下していると低血糖に気づきにくく、起こしやすくなる面もあります。あくまで「関連」で個人差はありますが、とくに高齢の方では低血糖を避ける管理が大切です。

寝ている間の低血糖(夜間低血糖)はどう気づけばいいですか?

朝起きたときの頭痛・強い倦怠感・寝汗、悪夢などが手がかりになることがあります。気になるときは、持続血糖モニター(CGM)で夜間の血糖を確認する方法があります。就寝前の血糖が低めのときは、補食を検討することもあります。担当医にご相談ください。

糖尿病でなくても低血糖になることはありますか?

あります。食後しばらくして起こる「反応性低血糖」や、胃の手術のあと、特定のホルモンの病気などで起こることがあります。くり返す場合は原因を調べる必要があるので、医療機関にご相談ください。

― あわせて読みたい(生活習慣病の三兄弟)―

監修:加藤 丈陽(かとう内科 院長)
日本内科学会 総合内科専門医(029447)/日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)/日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
かとう内科 〒794-0821 愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310(1986年開業・19床)

※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。低血糖の対処は薬の種類や体調によって異なります。診断・治療は必ず医師にご相談ください。
参考:日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド/高齢者糖尿病診療ガイドライン2023(日本老年医学会・日本糖尿病学会)(2026年時点)

PAGE TOP