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糖尿病が長く続くとどうなるのか?

合併症・併存疾患を知って、全身を守る

⚠️ 糖尿病の合併症

糖尿病が長く続くとどうなる?合併症・併存疾患を全身で理解する

「血糖値が少し高いだけだから大丈夫」と思っていませんか。糖尿病が長く続くと、目・腎臓・神経だけでなく、心臓・足・歯・脳・免疫など全身に影響が出てきます。でも合併症は「怖いもの」ではなく「知って、防ぐもの」。今治市のかとう内科が、全身への影響と予防のポイントを解説します。

この記事のテーマ

血糖値が少し高いだけなら、放っておいても大丈夫ですか?

📌 この記事の要点
  • 合併症の根っこは血管の傷み。細い血管も太い血管も傷みます
  • 三大合併症は神経・目・腎臓(しめじ)。大血管障害は足・脳・心臓(えのき)
  • 多くは初期に無症状。症状が出てからでは進んでいることがあります
  • 足・歯・脳(認知症)・感染症・がんなど、全身に関わるのが近年の考え方
  • 合併症の多くは血糖・血圧・脂質の管理で予防・進行抑制ができます

1糖尿病の合併症は全身に出る

血糖値が高い状態が長く続くと、全身の細い血管と太い血管が少しずつ傷んでいきます。これが合併症の根本的な原因です。糖尿病は「血糖の病気」であると同時に、「血管の病気」とも言われます。

糖尿病の主な合併症(細小血管=しめじ/大血管=えのき)
分類合併症進むと起こること
細小血管
「しめじ」
し:神経障害/め:網膜症/じ:腎症しびれ、視力低下、透析
大血管
「えのき」
え:足の壊疽/の:脳梗塞/き:心筋梗塞切断、まひ、心臓の障害
その他歯周病・認知症・感染症・がん など全身の健康・生活の質に影響
💡 覚え方「しめじ」と「えのき」
細い血管の三大合併症はしめじ(しんけい/め=網膜/じんぞう)、太い血管の障害はえのき(えそ=足/のうこうそく/きょけつ性心疾患)。近年は、血糖だけでなく全身(脳・足・歯・免疫)を守ることが糖尿病治療の目標と考えられています。

2目の合併症「糖尿病網膜症」

目の奥にある網膜には、光を感じるための細い血管が張り巡らされています。高血糖が続くとこの血管が傷み、出血や弱い新しい血管が増えてきます。初期はほぼ無症状で、気づかないうちに進行することが多いのが特徴です。進行すると視力が低下し、失明に至ることもあります。糖尿病網膜症は、成人の中途失明の主要な原因のひとつ(近年は第3位とされます)です。

⚠️ 「見えているから大丈夫」ではありません
網膜症の初期には自覚症状がありません。「視力が落ちた」と感じたときには、すでにかなり進行していることがあります。糖尿病と診断されたら、症状がなくても年1回以上は眼科を受診してください。網膜症の治療(レーザー・手術など)は眼科と連携して進めます。

3腎臓の合併症「糖尿病腎症」

腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として出す、体のフィルターです。高血糖が続くと腎臓の細い血管(糸球体)が傷み、ろ過機能が低下します。初期は尿に少量のたんぱく(アルブミン)が漏れ出すことで見つかります。進行すると腎臓の働きが落ち、重症になると透析が必要になります。糖尿病腎症は、透析導入の原因の上位を占めます。

腎症も初期は無症状のため、定期的な尿検査・血液検査での早期発見が大切です。血糖に加えて、血圧・脂質の管理、塩分やたんぱくの摂りすぎへの注意、禁煙が進行を遅らせます。腎機能が低下してきた場合は腎臓内科と連携します。

4神経の合併症「糖尿病神経障害」

糖尿病の合併症の中でもっとも早期から起こりやすいのが神経障害です。両足の裏のしびれ・痛み・感覚の鈍さなどで始まることが多く、進むと感覚が鈍くなって傷ややけどに気づきにくくなり、足の壊疽につながることもあります。胃腸の働き・心臓のリズム・立ちくらみなど、内臓を調節する自律神経に影響が出ることもあります。

5太い血管の合併症「動脈硬化」

糖尿病では動脈硬化が通常より早く進みます。血管の壁が硬くなり、内側に脂質がたまって詰まりやすくなる状態で、これが脳梗塞・心筋梗塞・足の動脈の病気(末梢動脈疾患)の原因になります。近年の糖尿病治療では、血糖を下げるだけでなく「心臓・血管を守ること」が中心的な目標とされ、血圧・脂質・体重・禁煙を含めた総合的な管理が重視されます。

6足病変とフットケア

足病変は、神経障害+血流障害+免疫力の低下が重なって起こります。足の感覚が鈍くなると、小さな傷や水虫に気づかないまま悪化し、最悪の場合は壊疽となって切断が必要になることもあります。日本では毎年多くの方が糖尿病が関係する足の切断を受けており、日ごろのフットケアが足を守る最大の武器です。

🦶 足を守るフットケアの基本
  • 自分の足に合った靴をはく
  • やけどに気をつける(感覚が鈍いため)
  • 足を毎日洗い、清潔に保つ
  • 爪は深爪せず、まっすぐ切る
  • 毎日、足の裏まで観察する習慣を
  • 小さな傷でも早めに受診する

7歯周病との深い関係

糖尿病と歯周病は、互いに悪化させ合う「双方向の関係」があります。高血糖が続くと歯周病が悪化しやすく、逆に歯周病があると血糖のコントロールが難しくなります。歯ぐきの出血・はれ・口臭・歯のぐらつきがある方は、歯科受診と血糖管理の両方が大切です。

8認知症との関係

糖尿病があると、アルツハイマー型・血管性の認知症の発症リスクが高くなることがわかっています。高血糖だけでなく、繰り返す低血糖も認知機能に悪影響を与えます。認知機能が落ちると食事や薬の管理が難しくなり、血糖がさらに乱れるという悪循環にもつながります。血糖の安定した管理は、脳の健康にもつながります。

🧠 くわしく:糖尿病と認知症|血糖の管理が将来の“脳”を守る →
認知症専門医の視点で、リスク・原因・予防をくわしく解説しています。

9そのほかの併存疾患(感染症・がん)

高血糖の状態では免疫の働きが落ち、感染症にかかりやすく・治りにくくなります。肺炎・腎盂腎炎・足の感染症などが重症化しやすいため、インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種が特に大切です。また糖尿病は、肝臓・膵臓・大腸などのがんのリスクを高めることもわかっています。血糖管理・食事・運動・禁煙・節酒はがん予防にもつながり、症状がなくても定期的ながん検診をおすすめします。

💚 合併症は「怖いもの」ではなく「防げるもの」
合併症のほとんどは、血糖・血圧・脂質を適切に管理することで予防し、進行を遅らせることができます。すでに合併症が出ていても、治療を続けることでそれ以上の進行を防げることが多くあります。「知ること」が、合併症を防ぐ第一歩です。当院は検査・診断・日常管理の入口を担い、専門的な治療が必要な場合は眼科・腎臓内科などと連携してご紹介します。
❓ よくある質問
糖尿病の三大合併症とは何ですか?
細い血管が傷んで起こる神経障害・網膜症・腎症の3つです。「しめじ(し=神経、め=網膜、じ=腎臓)」と覚えると分かりやすいです。これに、太い血管の動脈硬化による脳梗塞・心筋梗塞・足の病気が加わります。
合併症は何年くらいで出ますか?
高血糖が年単位で続くと現れます。たとえば網膜症は、発症からおよそ10年で半数前後の方に見られるという報告もあります。ただし初期は無症状なので、症状が出る前から定期的に検査を受け、対策することが大切です。
糖尿病で足を切断するのはなぜですか?
神経障害で傷に気づきにくくなり、血流障害と感染が重なって壊疽(組織が壊死)に至るためです。日本でも毎年多くの方が切断を受けていますが、毎日のフットケアと早めの受診で、その多くは防げます。
合併症が出る順番はありますか?
個人差はありますが、一般に神経障害 → 網膜症 → 腎症の順で現れやすいとされています。いずれも初期は症状が乏しいため、順番を待つのではなく、診断後から全身を定期的にチェックすることが大切です。
▶ 次の記事:糖尿病の経過観察と目標値(HbA1c・血圧・脂質・CGM)
合併症を防ぐために、何をどこまで管理すればよいのか——目標値をまとめます。
🏥 糖尿病トップページ(まとめ) →
糖尿病の記事をテーマ別に一覧できるハブページです。
🩺 高血圧トップページ →
大血管障害(脳・心臓)の予防には、血圧の管理も欠かせません。
🧈 脂質異常症(コレステロール)の話 →
動脈硬化を抑えるには、脂質の管理も「三兄弟」の一つです。
この記事の監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献・情報源
  1. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病治療ガイド』(最新版)・『糖尿病診療ガイドライン2024』
  2. 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター(合併症・足病変・フットケア)
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット(糖尿病の合併症)

※この記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療については必ず医師にご相談ください。

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