• トップ
  • ブログ
  • 尿糖が出ていないのに糖尿病?血糖値・HbA1cで診断される理由|今治市かとう内科

なぜ私が糖尿病なのか?

症状がなくても診断される理由と、血糖値・HbA1cの見方

🔬 糖尿病の検査・診断

尿糖が出ていないのに糖尿病?血糖値・HbA1cで診断される理由

「尿糖は出ていないのに、糖尿病と言われた」「体調は普通なのに、HbA1cが高いと言われた」「何も困っていないのに、本当に治療が必要なの?」——そんな疑問を、今治市のかとう内科がわかりやすく整理します。

この記事のテーマ

尿糖は出ていないのに、どうして糖尿病なんですか?

📌 この記事の要点
  • 尿糖は“参考”にすぎず、診断の主役は血液検査(血糖値・HbA1c)です
  • 初期は無症状がふつう。症状がなくても診断されます
  • 血糖値(その時点)とHbA1c(1~2か月の平均)を組み合わせて判断します
  • 「糖尿病型」を確認しても、原則は別の日に再検査して確定します
  • 「少し高め(境界型)」は黄信号。今が生活を見直すチャンスです

1尿糖が出ていなくても、糖尿病のことがある

「尿糖が陰性だったから大丈夫」と思っていませんか。実は、尿に糖が出るかどうかは、糖尿病の診断に直接は関係しません。

糖尿病とは、血液の中の糖(血糖)が高い状態が慢性的に続く病気です。尿糖はあくまで目安のひとつで、血糖値がある程度以上に高くならないと尿には出てきません。つまり、尿糖が陰性でも、血糖値やHbA1cが高ければ糖尿病と診断されることがあります。

とくに高齢の方では、もともと尿糖が出にくい体質の方もいます。「尿検査ではずっと異常なし」という方が、血液検査で初めて糖尿病と分かるケースも珍しくありません。

⚠️ 尿糖は「参考」、診断の主役は血液検査
尿糖が出ていないから糖尿病ではない、とは言い切れません。健診で「尿糖なし」だった方でも、血液検査で糖尿病が見つかることがあります。血糖値とHbA1cの確認が大切です。

2症状がないのに、なぜ糖尿病と診断されるの?

糖尿病の初期は、ほとんどの方に自覚症状がありません。のどが渇く、尿が増えるといった症状が出てくるのは、血糖値がかなり高くなってからのことが多いのです。

むしろ、症状がない段階で見つかることには大きな意味があります。早い段階で対処すれば、合併症を防ぎながらふだんどおりの生活を続けられます。「何も感じていないから」と受診を先延ばしにすると、気づかないうちに体の中で変化が進んでしまいます。健診の血液検査は、まさにこの“無症状の異常”を拾うためにあります。

3診断は血糖値とHbA1cで判断する

糖尿病の診断には、主に2つの血液検査を使います。血糖値は「その時点」の血液中の糖の量を示し、食事や運動の影響を受けます。一方、HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、過去1~2か月間の血糖の平均的な状態を反映します。たまたまその日だけ高かったのか、慢性的に高いのかを見分けるため、2つをあわせて確認します。

「糖尿病型」と判定される目安(日本糖尿病学会の診断基準より)
検査糖尿病型の目安何を見ている?
空腹時血糖値126 mg/dL 以上朝食前など、空腹時のその時点の血糖
随時血糖値200 mg/dL 以上食事の時間に関係なく測った血糖
75g 負荷試験 2時間値200 mg/dL 以上糖を飲んだ後の血糖の上がり方
HbA1c6.5% 以上過去1~2か月の平均的な血糖

なお、空腹時血糖が110~125 mg/dL の範囲は「正常高値~境界域」と呼ばれ、糖尿病ではないものの注意が必要なゾーンです。

41回の検査だけで決まるの?

血糖値は、体調・ストレス・前日の食事などで変動します。そのため、1回の検査で「糖尿病型」が出ても、原則として別の日にもう一度確認してから確定診断とします。一時的な体調の影響で誤って糖尿病と判断しないための、安全のしくみです。

📋 1回の検査でも診断されることがあります
次のような場合は、その1回で診断が確定することがあります。
・同じ採血で、血糖値とHbA1cの両方が糖尿病型だったとき
・血糖値が糖尿病型で、かつ強いのどの渇き・多尿・体重減少などの症状や糖尿病網膜症があるとき
反対に、HbA1cだけが高い場合は、別の日に血糖値を含めた再検査が必要になります。

5「血糖値が少し高め」と言われたら

結果が「正常」でも「糖尿病」でもない、血糖値が少し高めの状態(境界型・糖尿病予備群と呼ばれることもあります)の方もいます。空腹時血糖110~125 mg/dL、HbA1c 6.0~6.4% あたりが、その目安です。

これは「血糖値の黄信号」です。そして、まだ十分に間に合うタイミングでもあります。食事・運動・体重管理など生活習慣を少し見直すことで、糖尿病への進行を防いだり、遅らせたりできることが多くあります。今すぐ薬が必要というわけではありませんが、何もしないまま数年が経つと、気づかないうちに糖尿病の診断域に入ってしまうことがあります。

「少し高め」と言われたこの時点こそ、生活を見直す一番のチャンスです。何をどう変えればよいかは、HbA1cや体重・血圧・脂質・家族歴なども含めて一緒に考えていきます。

6内臓脂肪が多いと血糖値が上がりやすい

糖尿病と肥満には深い関係があります。インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、おなかのまわりに内臓脂肪が増えると、その働きが悪くなり(インスリン抵抗性)、血糖値が下がりにくくなります。とくに、見た目ではわかりにくいおなかの深部の脂肪が多い方は注意が必要です。

内臓脂肪が増える
おなかの深部に脂肪がたまる。
インスリンが効きにくくなる
同じ量のインスリンでは血糖が下がりにくくなる。
血糖値が上がりやすくなる
高血圧や脂質異常症も重なりやすい。
動脈硬化のリスクが高まる
心筋梗塞・脳卒中の危険が積み上がる。

ただし、体重やウエストが基準以下でも糖尿病になることはあります。数字だけで安心せず、血液検査での確認が大切です。

🏥 受診前の食事について(当院の場合)
初めて受診される方は、できれば空腹の状態でお越しください。腹部エコーで内臓脂肪を確認したり、インスリンの分泌能を調べる検査を正確に行えます。通院中・再診の方は、担当医から指示がなければ、ふだんどおり食事をしてお越しいただいてかまいません。なお、糖尿病の薬を服用中の方は、自己判断で食事を抜いての受診はお避けください。
❓ よくある質問
尿糖が陰性なら、糖尿病の心配はないですか?
いいえ。尿糖はあくまで参考で、血糖がある程度高くならないと尿には出ません。尿糖が陰性でも、空腹時血糖やHbA1cが高ければ糖尿病と診断されることがあります。とくに50代以降は尿糖が出にくいことがあり、尿検査だけでは安心できません。
HbA1cはいくつから糖尿病ですか?
HbA1c 6.5%以上が「糖尿病型」の目安です。ただしHbA1cだけで即確定ではなく、血糖値とあわせ、場合によっては別の日の再検査で総合的に判断します。6.0~6.4%あたりは予備群(境界型)として、早めの見直しが大切な範囲です。
糖尿病は1回の検査で診断されますか?
原則は、別の日にもう一度「糖尿病型」を確認して確定します(誤診を避けるため)。ただし、同じ採血で血糖値とHbA1cの両方が基準を満たした場合や、強いのどの渇き・多尿・体重減少などの症状を伴う場合は、1回で診断されることもあります。
血糖値はいくつから糖尿病ですか?
空腹時血糖126mg/dL以上、随時血糖200mg/dL以上、ブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dL以上のいずれかが「糖尿病型」の目安です。空腹時110~125mg/dLは境界域として注意が必要です。
▶ 次の記事:糖尿病の原因は食べすぎだけじゃない?1型・2型・妊娠糖尿病の違い
「なぜ自分が糖尿病に?」——タイプごとの成り立ちの違いをわかりやすく解説します。
🏥 糖尿病トップページ(まとめ) →
糖尿病の記事をテーマ別に一覧できるハブページです。
🩺 高血圧トップページ →
内臓脂肪が増えると高血圧も重なりやすくなります。あわせて管理したい一つ。
🧈 脂質異常症(コレステロール)の話 →
血糖・血圧・脂質は「メタボの三兄弟」。3つセットで血管を守ります。
この記事の監修
医療法人 かとう内科 院長 加藤 丈陽(たけあき)
日本内科学会 総合内科専門医(認定番号 029447)
日本神経学会 神経内科専門医(第5474号)・神経内科指導医(第3843号)
日本認知症学会 認知症専門医・指導医/日本老年医学会 老年病専門医
愛媛県今治市立花町1-10-5 TEL 0898-23-2310
参考文献・情報源
  1. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病診療ガイドライン2024』第1章 糖尿病診断の指針
  2. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病治療ガイド』(最新版)
  3. 厚生労働省 標準的な健診・保健指導プログラム

※この記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療については必ず医師にご相談ください。

PAGE TOP